築50年の団地をゆったりリノベーション。使いやすさにこだわったキッチンの工夫とは
今、団地に注目が集まっています。間取りが使いやすい、敷地が広い、緑が豊か…といった団地ならではのメリットがたくさん。自分らしい部屋づくりがかないます。
家族と一緒だったり、ひとり暮らしだったり、さまざまな年代、ライフスタイルの方の団地住まいの実例を紹介している『団地で見つけた身軽で豊かな暮らし方』より、料理家・エッセイストの藤原奈緒さんの住まいをご紹介します。
築50年の団地をリノベーション。働く人のための明るく機能的な部屋に
料理家、藤原奈緒さんが暮らすのは築50年ほどの団地をリノベーションした部屋です。
「以前は仕事場の近くに住んでいたんです。でも、距離が近いと仕事とプライベートの切り替えをする時間がなくて、生活が仕事に侵食されてしまうのが気になっていて…」
そこで、もう少し離れた場所に、と探して見つけたのが今の住まいです。
「地元の工務店がリノベーションした分譲物件でした。家を買うつもりはなかったのですが、下見をしたら、たっぷり使われた自然素材が心地よく、いやだと思うところがひとつもなくて」
キッチンとリビングのゆったりした空間もお気に入りです。
「家にいる日は、ほとんどの時間をこの部屋で過ごします。アイデアを練ったり、自分のための料理をしたり。好きな空間で、ほどよく仕事と生活のバランスをとりながら楽しく過ごせるようになりました」
団地の窓の外に目を向けて、まず見えるのは豊かな緑。「カーテンをつけなくても人目を気にせず、ふわっと暮らせるのが団地の好きなところです」
味わいのあるイスや作家もののオブジェが、家のあちこちに。ギャラリーのような住空間に、すんなりとなじんでいます。
収納力抜群のカウンターと一直線の動線で、思いのままに動けるキッチン
シンプルな壁つきのキッチンと長い調理台カウンターがこの空間の主役です。
●取り出しやすさ&アクセスのしやすさがよく考えられている収納
長いカウンターの裏側はオープンシェルフ。奥行きがそれほど深くないので奥のものも取り出しやすく、開口部が広いので収めたものが見渡しやすいのもいいところ。
「カウンター上は立ち上がりがつけてあるので、リビングから見たときにごちゃつきが気になりにくいメリットも」
ガス台下も収納に。ガス台と色を合わせたオーブンレンジを入れて、見た目もすっきりと。
●頭に思い浮かんだことがすぐ作業に移せる「ラボ」のようなキッチン
団地のキッチンといえば、ごくコンパクトにまとめられた規格もの、というイメージがありますが、藤原さんの家のキッチンは、コンロや水回り、調理台や収納もゆったり。
「作業スペースはしっかりありつつ、手を伸ばせば欲しいものがすぐ取れる。絶妙な広さです」
高すぎず低すぎず、ちょうどいい高さのカウンター。大きな冬瓜もスペースに余裕があれば扱うのも格段にラクです。
●形が不ぞろいなものは重ねる&立てるで取り出しやすく
ザルやまな板など、すぐ取り出したいもの、水気をしっかりきりたいものは流しの奥に立てて収納。どれも使いやすい小ぶりなサイズでそろえています。
なるべく数を抑えるようにしているという鍋類は、裏返したフタと本体を重ねるようにしまうと、すっきりまとまります。