苦手な人も多い「片づけ」。仕事でさまざまな「片づかない家」を訪れた経験のある、ライフオーガナイザー・ファイナンシャルプランナー・家計アドバイザーの下村志保美さんによると、片づけが上手な家の人は、お金を貯めるのも上手なのだそう。そこで今回は、片づけのお仕事で数々のおうちへ伺った経験から、「貯まらない家」にありがちなものや、NG習慣についてご紹介します。

「貯まらない家」に共通してありがちなもの

ここでは、下村さんが片づけの仕事でさまざまな家を訪問して感じた、「貯まらない家」に共通してありがちなもの3つをまとめました。

【写真】「買わないと損!」と聞き購入してしまった便利グッズ

●1:「安くなっていたから」買った服

セールのときに偶然見つけた服。普段なら買わないタイプの服を「安くなっているし」と買ったものの、自宅に持ち帰って来てみたら手持ちの服とのコーディネートしづらい。

せっかく買ったのだからとその服に合いそうなものを買いたすけれど、買いたした服や小物も結局普段持っているものと合わせにくいので、「コーディネートしにくい服」がたまっていく悪循環。まさに「タンスのこやし」です。

洋服を買うときは、手もちの服を思い出し、最低でも3パターンの着こなしが思いつくものを購入すること。「安くなっているから」ではなく「定価でも買いたい服」を買いましょう。

●2:「買わないと損!」と言われて買ったもの

SNSを見ている、たとえば100円ショップの商品を「100円でこのクオリティーなのだから買わないと損!」というような投稿を見かけます。

が、冷静に考えてみてください。
いくら安くて優秀な商品であっても、自分にとって不要なものを買ってしまったらそれこそ「損」です。

「これ便利そう!」の「そう」が曲者。だれかの「便利そう」が自分の便利とは限りません。自分がそれを使うシーンを具体的に思い浮かべながら、たとえ100円であっても慎重に購入することこそ節約です。

●3:印字が薄くなった「古いレシート」

そしてもうひとつ言いたいのが「レシート」をためるな、お金を貯めよということ。
私が片づけのプロになったころ、とあるお客様のお家にはレシートが入った紙袋が3つありました。

「ちゃんと家計を管理したいから家計簿をつけようと思っているけれど、時間がなくてたまってしまった」とのこと。そのレシートたちは古く、既に印字が薄くなっているものもありました。

結論から言うと、「家計簿をつけるだけ」ではお金はたまりません。

家計簿をつけて支出を見直し、次月にその反省を生かしてこそ貯まる家計になっていくのです。つまり印字が薄くなるくらい古い支出分のレシートを必死でつけたとしてもあまり効果はありません。

それよりも
・「今月は7万円でやりくりしよう」と予算を決めること
・「予算が余ったら貯金しよう」ではなく、少額でもいいので「先取り貯金」をすること
この2つを実行すれば、レシートをためなくてもお金は貯まります。

もちろん家計簿をつけて家計の状態をしっかり俯瞰することはとても大切なこと。だったら記憶もおぼつかない過去の買い物を振り返るより、今日買った買い物から家計簿をつけていけばいい。今日の買い物を振り返り、明日の買い物に生かすことの方がずっと効果的です。

記事の初出は2023年6月。内容は執筆時の状況です。

ムダな出費が多い家にあるもの3つ

片づけのプロとしてたくさんのお宅を訪問してきた下村さん。そこで気がついたのは、片づいていないおうちは無駄な出費が多く、家を片づける目線を持つと出費が減るということです。ここでは、家にあると要注意なものを3つ教えてもらいました。

●1:5本以上あるビニール傘

片づけが苦手…というお家に多くあるのが、不意の雨でコンビニで買ったビニール傘。玄関の傘立てにあふれそうに入っています。どれもまだ使えるものですし、「来客が困っているときに差し上げたいから」などの理由で捨てにくいものです。
使わないけど捨てられない、そしてまた出先で雨に降られたら買ってくるからどんどん増えていく。

じつはわが家には出先で慌てて買ったビニール傘がありません。雨が降りそうなときは必ず折りたたみ傘を携行するからです。また多少の雨なら小走りなどで対応し、傘を買うことを可能な限り避けようと思います。
これは無駄な出費をしたくない&ものを増やして収納をパンパンにしたくないという気持ちからです。

コンビニの傘は500円かもしれませんし、一本一本はさほど場所を取りません。だけどチリも積もれば…ですし、「雨が降ったら傘を買えばいいや」というのは無駄遣いであり、ものが増えていく思考癖だと思います。

●2:引き出しからあふれている使い捨ての割りばしやスプーン

キッチンの引き出しからあふれんばかりにつめ込まれているコンビニなどのおしぼりや割りばし、スプーンなど。これはコンビニなどでお弁当をたくさん買っている、ということです。もちろん忙しいときや体調が悪いときにお弁当は本当に便利でありがたいのですが、やはり自炊に比べると割高な出費になります。

使い捨てのおしぼりや割りばし、スプーンは「ここに入るだけ」とスペースを決め、そこからあふれそうになったときは「少しお弁当を買いすぎているかも?」と出費を見直すタイミングにしましょう。

●3:使いこなせていない、使いかけの洗剤

家を掃除しよう! きれいにしよう! そう思ったらまず洗剤を買って気合を入れたくなります。そしてドラッグストアには強力な洗剤から、ナチュラルクリーニングまでたくさんの種類の洗剤があって目移りしますし、トイレ用、浴室用、キッチン用などあれこれ使い分けたくなります。

けれど掃除熱が冷めてしまったり、使いこなせなかったりで収納の奥に使いかけの洗剤がどんどん溜まっていく。これでは使わない洗剤に使ったお金はもったいないし、収納の中も片づきません。

「便利そう!」とすぐ買うのではなく、まずは手持ちの洗剤で掃除できないかを試してみましょう。また「使いきる」ことを意識して掃除をがんばれば、その分おうちもきれいになります。こまめに掃除をすれば洗剤もそんなに買わなくてすみますから、結果節約にもつながります。

記事の初出は2022年11月。内容は執筆時の状況です。

お金が貯まりにくく片づかないNG習慣3つ

「貧乏な家」と聞くと、なぜかゴチャゴチャした家を想像しませんか? 映画やドラマなどの演出でも、お金持ちの家はスッキリ片づいた家、貧乏な家はゴチャゴチャとものがあふれた家にしているそうです。

お金があるはずの家にものが少なくて、貧乏な家にものが多いって、よく考えたら不思議な話ですね。でもじつは、お金と片づけには大きな関係があります。ここでは、下村さんが片づけの仕事で気づいた秘密を紐解いていきます。

●NG習慣1:送料無料にこだわる

○円以上で送料無料! とうたっている通販ショップだと送料を支払うのはなんだかもったいない気がして、ついつい「なにかほかに買うものないかな」と必要ないものまで買ってしまいがち。
ですが、そうすると確実に「必要ないもの」が家の中に入り込みます。

送料は無料ならラッキー、かかってしまってもお店に行く交通費と割りきる方が、少なくとも無駄なものが家の中に増えません。

買おうとしているもの、追加でカートに入れたものは送料がかかってでも欲しいのか? 自分に問いかけてみてはいかがしょう。

●NG習慣2:定期購入が多い

洗剤、サプリ、食品など毎月届くものはありませんか?
私が整理収納のお手伝いに伺うお宅のほとんどは、この定期購入の「届く量」と「使う量」のバランスがとれなくて、収納からものがあふれています。

定期購入だとお得なこともたくさんあります。

・忙しくて買い物の時間が取れなくても勝手に届く
・ストックぎれの心配をしなくてよい
・お得になったりする

ですが、結局使いきれる量より買う量が多ければムダになってしまいます。毎月届く定期購入がさばききれなくて、段ボールのまま山積みになっている…なんて、見た目にもよろしくないし、収納場所ももったいないですね。

洗剤などはうっかりきらしてしまっても近くのコンビニで調達可能。もちろん割高にはなりますが、使いきれないほど購入する方がお金も空間もムダになります。

●NG習慣3:ポイント大好き

これは私もついついやってしまうのですが、「ポイント10倍デー」や、「たくさんのショップで買い物すればするほどポイント倍率が上がる」系の通販のイベント。「せっかくだからこの機会に」と、普段だったら買わないようなものまで買ってしまうことも。

結果的に今すぐ必要でないものまで買ってしまったり、どうせ使うものだからと日用品などをまとめ買いした結果、収納に入りきらないもので家が散らかってしまったり。

ポイントはもちろんありがたいものですが、ポイントをアップするための買い物は本末転倒になってしまいます。ポチッとする前に「これ、本当に必要?」とひと息つくことも重要。

だったら思いついたときにまとめ買いするのではなく、上手に利用してみませんか?
私はこのポイントアップのイベントがある周期を把握し、1か月に一度、1か月で使いきる量の米、キャットフード、シャンプーや洗剤などを計画的に買っています。

記事の初出は2023年4月。内容は執筆時の状況です。