メンタルクリニックで診察を受ける方が400万人を超えるなど、「心の病」は身近な存在になっています。心のモヤモヤが気になるけれど、精神科を訪れるのは不安…。そんな方へ向けたアドバイスを、YouTube登録者数50万人「精神科医がこころの病気を解説するCh」を運営する早稲田メンタルクリニックの院長・益田裕介先生に伺いました。

心の病に悩んだとき、精神科医が伝えたいこと

だれもが逃れることのできない人間関係の悩み。知らないうちにモヤモヤが積み重なり、「なんかしんどい」が想像以上に続いてしまったとき、それは自分の心が助けを求めているサインかもしれません。ほかの科なら気軽に専門医に相談したとしても、精神科は受診をためらってしまうという方が多いのではないでしょうか。

YouTube登録者数50万人「精神科医がこころの病気を解説するCh」を運営する益田先生に、精神科を受診する前に知っておきたいことを教えてもらいました。

●まずは自分の病気について知ること

そもそも益田先生がYouTubeを始めた理由は、患者さんに自分の病気について知る機会をもってもらうためだったそうです。そこには、精神科の病気特有の理由があります。

精神科の診療では、自分の病気のことを始め、自分自身を知ることがとても大切なのだそう。

「治療を進める中で大切なのは、患者さんが知識をつけること。とくに、自分や他者について理解することです。これらには『知る痛み』がつきまといます。事前に動画を見ることで、あらかじめ準備ができるので、『知る痛み』が少し軽減されるのです。

たとえば、運動不足の人が突然走り始めるとケガをしますよね。毎日少しでも運動するのがよいのと同じで、少しでも視聴を続けていれば、知る痛みへの抵抗感も減ります」

●家系図を書くと、解決の糸口が見えてくる

自分を理解することと同じように他人を理解すること、そして、それらを踏まえて、意地っ張りにならずしなやかに考えていく…ということが治療を進めるうえで大切なのだそう。ホワイトボードに書くことは、自分の主観抜きの客観的な視点で考えてもらうきっかけに。

「自分を知るうえで、『自分の家族はどんな家族だったのか』『友人とはどんな人間関係を築いてきたか』『なにが好きで影響を受けてきたか』などを改めて考えることはとても大切です。だって、過去が今の自分をつくっていますからね」

家系図を使った振り返りや自己理解を深める方法は、ほかにも会社の人間関係のトラブルでも使えそうです。

「『職場で上司にいじめられている』という悩みなら、職場の人間関係や派閥を書き出してみて、相関図を患者さんと一緒に考えて実際の診察に活用することもあるんですよ」

診療では、自分を知り、自分の置かれている状況を俯瞰して見る視点から、新たな問題解決の糸口が見えてくるのだそう。

これらのポイントを、青山ゆずこさんの漫画で解説。『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)より抜粋して紹介します。

『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社刊)では、知らせざる精神科診療のホントについてご紹介しています。どんな症状が出たら精神科に行くべきか、診断はどうやってしているのか、短すぎる5分診療のこと、診察室では医師は患者となにを話しているのか、知られざる精神科の秘密をマンガで紹介しています。