アクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載するヘッドフォンやイヤフォンに、簡単なソフトウェアアップデートを加えるだけで心拍数検知機能を追加する「オーディオプレチスモグラフィ(APG)」の研究について、Googleが共有しました。

Audioplethysmography for cardiac monitoring with hearable devices - Google Research Blog

https://blog.research.google/2023/10/audioplethysmography-for-cardiac.html



Google turned ANC earbuds into heart rate sensor

https://9to5google.com/2023/10/27/google-anc-earbuds-heart-rate/

APGは、ANC対応ヘッドフォンまたはイヤホンのスピーカーから「低強度の超音波信号」を耳に向けて送信することで機能するとのこと。スピーカーから送られた信号はエコーを引き起こしますが、外耳道のわずかな皮膚の変位と心拍の振動により、エコーが変調します。変調したエコーをマイクで受信することで、心拍数を読み取ることができるそうです。

Googleは上記の処理を行って心拍数を読み取り、心拍の間隔「心拍変動(HRV)」を読み取ることができるモデルを作成。この技術は、音楽が流れていても、イヤホンの密閉度が悪くても機能するとのことです。



外耳道は深耳介動脈から血液の供給を受けていて、この動脈は複雑なネットワークを形成して聴神経管に広く浸透しています。心拍と血圧によって引き起こされる血管の形状のわずかな変化は、外耳道の容積と圧力の微妙な変化につながり、耳からの心拍検知を容易にしているとのこと。

Googleは153人を対象に2つの研究を行い、APGで一貫して正確な心拍数と心拍変動を測定することに成功したと発表しました。



近年の研究では「光電式容積脈波(PPG)」や「心電図」といった多数のセンサーをマイクロコントローラーと一緒にパッケージングしてヘッドホンに搭載し、心拍数や血圧を測ることが検討されています。しかし、このようなセンサーを搭載すると、必然的にコストや重量、消費電力の増加につながることから、実現には障壁があるのが現状だとのこと。

Googleは、「簡単なソフトウェアアップグレードであらゆるANCヘッドホンをスマート・センシング・ヘッドホンに変身させることができます。処理時の信号はユーザーに聞こえず、音楽再生による影響もありません」と述べ、この技術は「従来の光電式容積脈波や心電図センサーよりも優れたアプローチ」だと考えていることを明らかにしました。