写真はイメージです。(以下同じ)

 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 多くの夫婦が悩むというセックスレスの問題。そこには、性の悩みだけでなく、コミュニケーションの不満なども複雑に絡んでいることが少なくありません。

 前回、前々回と、カウンセラーの潮英子さんに、セックスレスの問題について語ってもらいました。今回は悩みを解決するための再構築について、出来ることやポイントを聞きました。

◆セックスの改善に役立つ「セックスの再定義」とは?

 セックスレスからの再構築は、一般的にとても難しいイメージがありますが、夫婦生活が何十年も続くと考えると、放置することはできれば避けたいところ。専門家から見て、再構築に向けた取り組みとして有効なものはあるのでしょうか。

「夫婦のご年齢や、交際&婚姻期間の長さによって分ける必要があると思っています。まずは、皆さんが想像しやすい改善案から説明します。

 若いカップルや婚姻期間の短い夫婦に有効なケースですが、セックスにドキドキ感を高める要素を入れてみる手法があります。旅行をしたり、ホテルに行ったり、各種グッズを活用してみるなどがこれに当たります。

 場所や雰囲気、やり方を変えることで、セックスを盛り上げていくことで改善を図ります。またこの手法には、テクニック自体を見直すといった話も含まれます」

 こうした刺激を加えるやり方は、多くの人が想像し、また失敗した経験を持つ人も多いのではないでしょうか。

◆セックスは必ずしも「ムラムラ」から始まるものではない

 実はこのやり方は、婚姻期間が長い夫婦や、中高年には通用しないのだと言います。

「長期的な交際によりマンネリ化したカップルや、家族化が進んでいるご夫婦には、今ご紹介した方法は上手くいきません。こうした相談には2つの提案をしていきます。

 一つは、『セックスの再定義』をすることです。多くの方がセックスとは『ムラムラするから始めるもの』と思っているのですが、そうではなく、『セックスとは、凄く興奮しなくてもするもの』と再定義をするところから始めてみてほしいとお話します。

 そもそも中高年には、ムラムラから始まるセックスは無いと思ってもらったほうがいいです。テンションは下がっているのですが、放置したら可能性がゼロになってしまう。だからこそ、ある程度意識し維持するための取り組みが必要です。

 具体的には、以前もお伝えしましたが、まずはスキンシップ(ハグやキス)を積極的に取り、お互いのぬくもりを気持ちよく安心して感じられるようにしてください。

 自然な流れとして、触っていると物理的な興奮も少し出てくることが多いです。『性欲から興奮する』といった従来の流れではなく『タッチから興奮を生み出す』といった流れを知っていければ、セックスへのハードルも下がると考えます」

◆“最後まで”でなくてもOK

 ちなみにこういったスキンシップから発展してセックスになったとしても、愛撫だけで終わってもいいし、挿入や射精に至らなくてもいいそうです。

 これもセックスの再定義の一つのポイントで『セックスは挿入して射精に至るもの』という従来の価値観から『心地よい体のコミュニケーションを楽しむもの』という価値観に変えていくことが大事です。

 あくまでも目的は、触れ合いに安心感を持ち、セックスに過剰な期待をしないこと。まずは若い頃のセックスから、意識をアップデートすることが大切です。

◆「ルーティン化」することで向き合いやすくなる

「2つめは、『セックスの義務化・ルーティン化』です。こういうと、気持ち的に萎える人もいるかもしれませんが、セックスはそもそも家庭内における重要なタスクの一つです。