太陽系外縁部に存在する可能性がある未発見の惑星の想像図。画像: 近畿大学の発表資料より (c) Fernando Peña D'Andrea

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 太陽系で海王星周回軌道(約30天文単位、1天文単位は地球から太陽までの距離)よりも外側かつ太陽から50天文単位までの領域は、カイパーベルト(またはエッジワース・カイパーベルト)と呼ばれ、天体密集領域と考えられている。

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 だがこの領域は、地球からかなり遠く、惑星存在の確認事例はまだない。また科学的証明はないが、イスラエルのゼカリア・シッチンが1976年に発表した著書で、公転周期3600年の惑星二ビルの存在と、そこに住む知的生命体がかつて地球に飛来し、シュメール文明に影響を与えたことを示し、注目を集めたこともある。この領域における惑星探索は、現在でも盛んに行われている。

 近畿大学は8月、カイパーベルトにおける惑星存在の可能性について、コンピューターシミュレーションにより様々な検証を行った研究結果を発表した。成果は、アメリカ天文協会誌である「The Astronomical Journal」に8月25日付けで公開されている。

 研究によれば、カイパーベルト天体は海王星の引力の影響で、長い期間にわたってその領域に留まることができない場合が多いが、特殊な条件が整った場合、海王星の引力の影響を受けずにカイパーベルト領域に長期間留まることができるケースもあるという。

 また地球質量の1.5〜3倍で、公転軌道長軸半径が250〜500天文単位、短軸半径が200天文単位、かつ公転軌道傾斜角が30度前後という条件を満たす天体であれば、カイパーベルトに長期間安定的に留まることが可能であることを突き止めたという。

 この結果は、地球に酷似した第9惑星の存在を実証したものではないが、先の条件を満たす天体をこれから捜索すれば、これに合致した惑星が発見できる可能性があることを示すものだ。この条件以外にも、複数の安定して存在できるカイパーベルト天体の条件が示されており、第9惑星探索の貴重な道しるべとなるだろう。惑星二ビル発見や知的生命体とのコンタクトが実現する日は意外に近いのかもしれない。