ルカク、ローマ加入を示唆も…レンタル移籍成立には大幅な減俸が必要に

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 チェルシーからの移籍を望んでいるベルギー代表FWロメル・ルカクが、ローマに加入することを示唆したようだ。27日、イギリス紙『イブニング・スタンダード』が伝えている。

 報道によると、息子の出場するユース大会会場を訪れたルカクはベルギー紙『HLN』で息子のデビューについて聞かれると、「緊張しているよ」と語りながら、「サインするために(日曜日に)ローマに行く予定だよ」と明かした模様で、ローマ移籍に近づいていることを認めたようだ。

 現在30歳のルカクは、2021年8月に当時のチェルシー史上最高額となる移籍金1億1500万ユーロ(約182億円)でインテルからチェルシーに完全移籍。2021−22シーズンは公式戦44試合の出場で15ゴール2アシストを記録したものの、パフォーマンスやクラブへの忠誠心に対する批判が集まり、トーマス・トゥヘル元監督の下で絶対的なレギュラーとしては起用されなかった。

 すると、ルカクはわずか1年で古巣への復帰を希望。クラブもその要望に応じ、昨年夏に1年間の期限付き移籍でインテルに復帰した。シーズン前半戦はケガに泣かされたものの、最終的に公式戦37試合の出場で14ゴール7アシストを記録した。

 期限付き移籍期間の満了に伴い、今夏チェルシーに復帰したルカク。しかし、本人は退団を希望し、クラブも“高給取り”の放出を望んでいることから、現在はトップチーム練習に参加せず個別での調整を続けている。

 当初、チェルシーはアル・ヒラルと移籍金4000万ポンド(約74億円)でルカク売却に合意していたものの、同選手が欧州でのプレーを希望していることから、交渉は破談。同時にインテルがルカクの再獲得に動いていたものの、ユヴェントスからのアプローチを受けたルカクがインテルとの連絡を停止したことで、インテルは獲得競争から撤退した。

 一方のユヴェントスはチェルシーが追加の移籍金を支払う形でセルビア代表FWドゥシャン・ヴラホヴィッチとのトレード案などを提案していたものの、クラブ間で合意に達することができず、この移籍の可能性も低くなっている。

 この結果、チェルシーは今夏の初めから3500万ポンド(約64億円)でルカクの完全移籍に応じる姿勢を示していたものの、ここまで売却先は決まらず。9月1日の移籍市場閉幕が迫っていることから、最も“高給取り”である同選手の給料を削減するために不本意ながら、レンタル移籍でのオファーを受け付ける方針に変更していた。

 そこでローマが獲得に向けて動き出し、上層部がロンドンを訪れて交渉を行っていることが明らかになっており、両クラブは合意に近づいていることが伝えられている。

 しかし、大きな問題となっているのが、ルカクの給与で、前政権時に同選手を獲得していたチェルシーは週給32万5000ポンド(約6000万円)で同選手と契約しており、年間では約1700万ポンド(約31億円)を支払うことになっている。

 ローマとしてはそんな高額な給与を賄うことはできず、最大でも700万ポンド(約13億円)しか払うつもりがないという。チェルシーとしても給与を全く負担するつもりがない上に、契約が満了となる2026年6月30日まで残り3年間の給与すべての減俸に応じることを要求している模様で、ルカクがそれらの減俸に応じるかが移籍成立の焦点になっているようだ。

 なお、移籍市場に精通するイタリア人記者のファブリツィオ・ロマーノ氏によると、買い取り義務オプションは含まれていないが、ローマからの500万ユーロ(約8億円)でのレンタル移籍オファーを受けて、27日夜にもチェルシーは選手側と交渉を実施。ローマとしては本気で交渉を押し進めており、今日中にもまとまることを期待していることが伝えられているが、果たして交渉は成立するのだろうか。