日焼け後の肌はダメージを受けているため、特別なケアが必要

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 せっかく日焼け対策しても、うっかり日焼けしてしまうこともしばしばあるのが夏。日焼け後の肌は、不快な赤みやヒリヒリ感、さらには痛みを引き起こすことがあります。日焼けした後は何よりアフターケアが重要です。今回は、日焼け後の最適なケアについて、うるおい皮ふ科クリニックの豊田雅彦氏に伺いました。

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■「赤みや痛みには抗炎症ケア、黒く焼けたら美白ケアを」

 日焼けは皮膚が紫外線(UVAとUVB)に曝露された結果、皮膚がダメージを受けた結果により生じます。これによって肌の自衛メカニズムが反応し、メラニン色素の生成が増えます。つまり、日焼けはメラニン色素が紫外線を吸収して次回の紫外線暴露に備えた防御機構を働かせているとも言えます。メラニン色素は皮膚をさらなるダメージから守るために作られ、その結果、皮膚は色付き(黒くなったり焼けた感じ)に見えます。過度の紫外線曝露は焼けた肌だけではなく、長期的にみると、皮膚の老化(光老化)を加速させ(シミ、しわの形成)皮膚ガンのリスクを高める可能性があります。

「日焼けには主にUVB主因となって生じるサンバーンとUVAが主因となって生じるサンタンの2つがあります。サンバーンは日焼け後すぐに赤み、痛み、腫れや水疱を生じ、ヤケドに準じた対応が必要となります。つまり肌が炎症を起こしている状態(日光皮膚炎)ですので抗炎症ケアが必要です。サンタンはメラニン色素を作る色素細胞が刺激されてメラニンを大量に作った結果ですが、皮膚の傷害された結果としての反応であることを認識すべきです。色素除去が必要となりますので、いわゆる美白ケアが必要となります」

 日焼け後の肌はダメージを受けているため、特別なケアが必要です。適切なスキンケアをすることで肌の修復を助け、不快感を軽減し、長期的なダメージを最小限に抑えることができます。

冷却:日焼けからすぐに、冷たい水でシャワーを浴びたり、冷たい布を肌に当てたりすることで肌の温度を下げ、炎症と不快感を和らげることができます。

保湿:日焼けは皮膚のバリア機能を低下させ肌を乾燥させるので、肌をしっかりと保湿することが重要です。アロエベラやココナッツオイルなどの天然の保湿成分を含むローションやクリームを使用することをお勧めします。アルコールフリーで刺激性が弱く、保湿力の高い成分が含まれた化粧品(ヒト型セラミド配合化粧品など)の使用がおすすめです。

水分補給:日焼けは全身の脱水を引き起こす可能性があります。たくさんの水を飲むことで体全体の水分を補給し、肌の再生を助けます。

ダメージ肌を癒す製品の使用:ビタミンEやビタミンCなどの抗酸化ビタミンを含むスキンケア製品は、肌の修復を助け、日焼けによる長期的なダメージを防ぐのに役立ちます。

日焼けからの保護:日焼けした肌は特に敏感になっているため、さらなるダメージを避けるために、日差しから直接肌を守ることが重要です。太陽から遮断する帽子や衣服、日焼け止めを使用してください。紫外線は目にもダメージを与えるため(ドライアイ、加齢黄斑変性症など)、目の紫外線対策(UVカット効果のあるサングラスの使用など)も重要です。

「秋(特に9月)は夏と比べて紫外線量が大きく減るわけではありません。だから、日焼け止めを使うなどで、しっかりと紫外線対策を行いましょう。日焼け止め以外でも、衣類やサングラスで対策しましょう。秋に注意したいことは、紫外線の照射角度が夏よりも斜め横となることですから、その角度に応じた紫外線の防御方法を工夫しましょう。真冬でも紫外線は真夏の1/3〜1/5程度は必ず届いていますので冬も紫外線対策は大切です。特に屋外で過ごす時間が多い方は必ず日焼け止めを塗る習慣を身につけましょう。積雪のある地域にお住いの方は、紫外線の反射率が雪では80〜90%と極めて高いことに留意し、いわゆる“雪焼け対策”として直射日光に対する通常の日焼け止めより強い日焼け止めを使用してください」

■やってはいけない 日焼け後のNGケア

日焼け後には特に皮膚が敏感になりますので、以下の行為は避けるべきです

皮膚の剥がれを強制的に取り除く:皮が自然に剥がれるのを待つことが重要です。無理に剥がすと、新しく生えて来る皮膚を傷つけるリスクがあります。

熱いバスやシャワー:熱いお湯は日焼けした皮膚に刺激を与え、炎症を悪化させる可能性があります。代わりにぬるま湯や冷水にすると良いでしょう。

化粧品の過度な使用:日焼け後の肌は一時的に敏感になるため、刺激的な化粧品やスキンケア商品は避け、優しく保湿することが推奨されます。皮膚のバリア機能が低下しているため、肌への負担を避けるように、化粧水使用時などのパッティングやリフトアップマッサージなどの物理的刺激を避けるように心がけましょう。

日焼けからの直射日光を避けない:日焼けした肌は、さらなる紫外線に対して特に敏感です。帽子を着用する、影に入る、または日焼け止めを適用するなどして、肌を直射日光から守ることが重要です。

水分補給を怠る:日焼けは皮膚だけでなく、全体的な脱水症状や熱中症を引き起こす危険性があります。水分補給は、お肌の自然の修復能力を助けます。

「日焼け、特にサンバーンが高度な場合には皮膚の炎症を抑えるために副腎皮質ステロイド外用薬を用いることがあり、急性期には非常に有用です。しかし炎症がおさまった後も外用し続けると、皮膚の免疫力が低下したり、皮膚バリア機能の回復が遅れる可能性もあります。なかなか回復しない日焼けの場合や感染症を伴う場合は、早めに皮膚科専門医を受診してください。過度の心配は不要ですが、ソラレンという成分が紫外線による皮膚ダメージを惹起させることも覚えておきましょう(光毒性皮膚炎)。柑橘系果実(レモン、グレープフルーツなど)、香味野菜(パクチー、シソなど)、セロリ、パセリ、キウイなどがソラレンを含有しています」

【監修者プロフィール】

豊田雅彦氏

うるおい皮ふ科クリニック院長。医学博士。かゆみとニキビをなくすことをライフワークに掲げ、患者さんが希望を持てる診療に日々尽力。現在までに2,000以上の医学論文・医学専門書を執筆。国際皮膚科学会において臨床(2002年) と研究(2004年)の両部門で単独世界一を受賞(当時世界初)。また、国内外で年間最多250以上の講演会・学会発表・保健所指導を行う。受診患者の99%(年間約3万人)の症状を軽減〜消失に導いた、世界有数の皮膚病のスペシャリスト。