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初回 多くの人の関心を集めるSUV

「ピアス、すっかり恋に落ちちゃったわ」。妻から、電話で衝撃の一言。

【画像】英国人の共感を呼ぶSUV 新型レンジローバー スポーツとイヴォーク ディフェンダーも 全106枚

数時間会わないうちに、不倫問題が降り掛かってきたのかと一瞬勘違いしたが、後ろに座っている息子がうれしそうに叫ぶ。「これって最高のクルマだね」


ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

学校へ子どもを迎えに行った妻は、長期テスト車のランドローバー・レンジローバーを心底気に入ったらしい。実際、これほど多くの人の気持ちを掴み、関心を集めるクルマを運転したことは、これまで筆者もなかった。

駐車場では、頻繁に声をかけられる。値段はいくらなのか、譲ってもらえないか、と。お気に入りのブーツと同じ色で気に入った、と感想を話す知人もいた。英国の田舎らしい。

土地柄も、レンジローバーへ強い関心を示す理由になっているだろう。広大な農地や原野が広がるグレートブリテン島で、このSUVほど輝かしい歴史を長年築いてきたモデルは、他に例がないといっていい。

実際のところ、所有できた人は限られる。近年は、テスラ・モデルXやランドローバー・ディフェンダーも同等の役割を果たせる。それでも、レンジローバーと英国郊外に住む家族との深い関わりは、今でも多くの人の心象風景に残っている。共感を呼ぶのだ。

特別な気分にしてくれるインテリア

新しいレンジローバーは大きい。標準ホイールベース版のプラグイン・ハイブリッド、P440eがやってきたのだが、全長は5052mmもある。全幅は1990mm、全高は1870mmで、BMW X5が小さく見えるほど。狭い駐車場では気を使う。

駆動用バッテリーの容量は38.2kWhと大きく、カタログ上は最長175kmもエンジンを始動せず走れるとうたわれる。現実的には90km前後のようだが、それでも普段使いには不足ない。


ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

エンジンは3.0L直列6気筒ガソリンターボのインジニウム・ユニット。143psの駆動用モーターとの協働で、最高出力は440ps、最大トルクは63.0kg-mを発揮する。0-100km/h加速は6.0秒でこなす。

ホットハッチのように鋭くは加速しないが、車重が2.8tもあることを考えれば不満はないだろう。お望みなら、更にパワフルなP510eも用意されている。

トリムグレードは最上級のオートバイオグラフィー。装備は極めて充実している。ダッシュボード中央には13.1インチのタッチモニターが据えられ、ピヴィ・プロと呼ばれるインフォテインメント・システムが稼働する。インターフェイスは扱いやすい。

シートは、フェイクレザーのウルトラ・ファブリックと、ウールのクヴァドラ生地で仕立てられている。化粧パネルは、マット仕上げのナチュラルブラウン・ウォールナット。

すべてが美しく上質で、特別な気分にしてくれる。お高めの価格にもうなずけるインテリアだ。

モダンなデザインへ似合うグリーンの塗装

上級役員向きのリアシートは、5歳と7歳の息子には少々贅沢すぎる。センターアームレストは電動で動き、タッチモニターが内蔵され、車載機能を操作できる。いたずらしないよう、使うのを制限することになったが。

エアコンは、前後左右で個別に温度調整できる4ゾーン式。フロント側のアームレストや、細部の部品にもこだわられている。ドアにはソフトクローズ機構が備わり、優しく閉まる。


ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

少し気になった点が、展開式ドアハンドルを動かすモーターの音が大きいこと。レンジローバーらしくない。

この5代目では、ベルグラビア・グリーンというボディカラーを選択できるようになった。長期テスト車もそれで、落ち着いたグリーンがモダンなスタイリングとよく似合う。

追加されているオプションは、センターコンソール内臓の冷蔵庫と、外部電源ソケット、盗難防止GPS、牽引バー程度。22インチのダイヤモンドターン・アルミホイールは標準装備だ。

サイズは20インチへ小さくすることもできる。オフロードでは、タイヤのサイドウォールが厚い方が有利といえるが、22インチも無料で選べる。ボディサイズが大きいため、さほど大径には見えないのだが。

2023年末には、バッテリーEV版のレンジローバーが発売される予定。ジャガー・ランドローバー(JLR)は計画を見直すことが多いとはいえ、電動パワートレインの搭載は歓迎されるはず。

プラグイン・ハイブリッドは、その入口に当たる。長期テストで、5代目の仕上がりを味わってみたい。

セカンドオピニオン

特別なモデルであることは、誰の目にも明らかだろう。それ以外のクルマが洗練不足で、精彩に欠けているように感じさせる。

控えめなグリーンのボディは、ピアスが暮らすイングランド中部の郊外にぴったりだと思う。もし筆者が14万ポンド(約2520万円)近く支払うなら、インテリアは華やかな色を選ぶはず。ホイールも違うデザインがいい。 Felix Page(フェリックス・ペイジ)


ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)

テストデータ

テスト車について

モデル名:ランドローバー・レンジローバー P440e オートバイオグラフィー(英国仕様)
新車価格:13万4865ポンド(約2427万円)
テスト車の価格:13万6900ポンド(約2464万円)

オプション装備

牽引バー:1095ポンド(約19万7000円)
フロント・センターコンソール冷蔵庫 :480ポンド(約8万6000円)
セキュア・トラッカー・プロ:340ポンド(約6万1000円)
外部電源ソケット:120ポンド(約2万2000円)

テストの記録

燃費:114.4km/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし