ニュースを掲載したコミュニケーションプラットフォームにニュース提供者へ収益を分配することを求めるカナダのオンラインコミュニーケーション関連法案「Bill C-18」が成立したことを受け、MetaがFacebookとInstagramですべてのニュースコンテンツのブロックを開始しました。

Facebook and Instagram start blocking news in Canada - The Verge

https://www.theverge.com/2023/8/1/23815994/meta-facebook-instagram-canada-news-act-blocking

「Bill C-18」では、報道機関が作成したニュース・コンテンツをカナダ国内の人が利用できるようにする検索エンジンや、ソーシャル・メディア・サービスといったオンラインコミュニケーションプラットフォームを「デジタル・ニュース仲介者」と指定し、こうした仲介者に新聞社などのニュース提供者と公正かつ誠実に交渉することを義務づけています。

カナダ政府は「この法律により公平性が高まり、ニュース提供者の持続可能性が強まり、ニュース提供者とプラットフォームとの間の競争条件が平準化されます。政府の介入を最小限に抑え、ニュース提供者とプラットフォーム間の自主的な商業協定を奨励するものとなります」と述べていますが、法律の制定によりニュース提供者がプラットフォームに掲載料を要求することができるようになるため、MetaやGoogleなどの「デジタル・ニュース仲介者」にあたる企業が反発していました。

「ニュースを掲載したら収益を分けろ」とするカナダの法案にMetaが「成立すれば掲載をストップする」と反発 - GIGAZINE



公に「カナダでのニュース配信を停止する」と宣言していたMetaは、2023年8月1日頃からついにFacebookとInstagram上のすべてのニュースコンテンツのブロックを開始しました。この影響はプラットフォーム上にアカウントを持つニュース提供者だけでなく、一般のユーザーにも及んでおり、「外国人ユーザーが共有したリンクをカナダ人が確認できない」という事態になっていると報告されています。





Metaはニュース削除について「ビジネス上の決定」と呼び、法を順守するためにニュースをブロックすることを選択したと述べています。Metaは法律の制定経緯についても懸念を抱き、「我々がニュース・コンテンツから不当に利益を得ているという誤った前提に基づいて新しい法律が制定されてしまいました」と主張しました。

Googleもこの法律に反発し、ニュースコンテンツを削除することを発表しています。

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グローバルなニュースだけではなくローカルニュースも削除されてしまうことから、行方不明者の情報など緊急性の高いコンテンツが拡散できなくなることについての懸念も生じており、影響を受けるのは報道機関だけではなくコミュニティ全体であるとの不満もユーザーから報告されています。