井上尚弥選手(写真:松尾/アフロスポーツ)

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米スポーツ専門局「ESPN」(WEB版)が2023年7月25日、プロボクシングのWBC・WBO世界スーパーバンタム級新王者・井上尚弥(大橋、30)の特集記事を公開し、世界6階級制覇の可能性に言及した。

井上は25日に東京・有明アリーナでWBC・WBO世界同級王者スティーブン・フルトン(米国、29)に挑戦し、8回TKOで王座を獲得。ライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級に続いて世界4階級制覇に成功した。

「井上は体重をどこまで増やせるか」

フルトン戦を米国で放送したESPNは、「井上尚弥は世界最高のファイターで、史上最高の選手だ」とのタイトルで記事を公開した。井上は異世界のスピードとパワーで試合をストップするまでの全てのラウンドで明らかにフルトンを上回り、圧倒してフルトンに勝利したと伝えた。

そしてパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級の垣根を超えた最強ランキング)トップの座は、スーパーバンタム級初戦でこの階級のナンバーワン選手をいとも簡単に退けた井上のものだとし、現在のボクシング界で井上のようなことを成し遂げた選手は他にいないと称賛した。

試合に関しては、フルトンは非常に優れたファイターだが、井上をどう扱えばよいか分からない様子だったと指摘し、フルトンが効果的なパンチを放ったのは数えるほどだったと振り返った。これに対して井上のパンチは鋭くコンパクトで、フルトンのミスをほとんど許さなかったと解説した。

2団体王者を破り世界4階級制覇を達成した井上。ESPNは「井上の才能は階級に縛られない」とし、「真に偉大なファイターは体重を大幅に上げて初めてその真価が問われる」との見解を示した。

そして「井上は体重をどこまで増やせるか」と投げかけ、「偉大なマニー・パッキャオのスタイルに倣えば、おそらく井上も130ポンド(58.9キロ=スーパーフェザー級)以上でも世界の第一線で戦うことができるだろう。井上がこれまでに成し遂げてきたすべてのことを考えると、彼を疑うことは愚かなことだ」とした。

井上の次戦はWBA・IBF世界スーパーバンタム級王者マーロン・タパレス(31)との4団体王座統一戦の可能性が高い。もし将来フェザー級、スーパーフェザー級を制すれば世界6階級制覇となり、世界的ボクサーでフィリピンの英雄マニー・パッキャオ氏(44)と並ぶ。