路肩とは?

道路構造令第2条(定義)の12項によれば、路肩の定義と役割は次のようになります。

車道、歩道、自転車道または自転車歩行者道に接するように設けられている帯状の道路の部分。 役割は道路の主要構造部を保護すること、そして道路の効用を保つ2つの役割を持つ。

また、同条の13項によれば、車両運転者の視線誘導及び車両側方の余裕を確保する役割を持った車道に接続して設けられた帯状の中央帯または路肩の部分を「側帯」と定義されており、路肩がこれらの役割を担っているとわかります。

■路肩は何のためにある?

国土交通省による道路構造令の解説では、道路の主要構造物の保護、故障車等の待避スペース、側方余裕幅等、交通の安全性・円滑性を確保するためと説明されています。

道路の安全や、周辺の建物を守り、非常時のために設置されているということですね。

路肩と路側帯の違い

路肩は道路構造法で定義されていますが、路側帯は道路交通法で定義されています。道路交通法第2条(定義)3の4によれば、路側帯の定義は以下の通りです。

歩道の設けられていない道路、または道路の歩道の設けられていない側の路端よりに設置された帯状の道路の箇所。 道路表示で区画されている

歩行者の通行および車道の効用維持の目的は路肩とも路側帯も同じですが、路側帯は歩道の無い道路に設置される点が、路肩と異なります。

また、「道路表示によって区画されたもの」とあるように、白線(実線または点線)が路側帯に必ず引かれています(路肩は境界線がない場合があります)。1本だけでなく2本引かれている場合もあるので見分けやすいです。

路肩に駐車するときのポイント

人の乗り降りや荷物の積み下ろしなどでやむを得ず路肩に駐車しなければならないシチュエーションは誰にでも考えられる行為です。

もし、路肩に駐車せざるを得なくなったら、交通違反とならないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。

この項目では、路肩に駐車する際のポイントを、4つの道路条件にわけて解説します。

「歩道」のある道路=“左側端”に寄せて停める 「幅の広い路側帯」がある道路=“余裕をもって”路側帯の中に停める 「幅の狭い路側帯」がある道路=“路側帯の白線に沿って”停める 「歩道」「路側帯」がない道路=“左側端”に寄せて停める

■【ポイント1】「歩道」のある道路=“左側端”に寄せて停める

1つ目は「歩道のある道路」での駐車方法です。歩道のある道路では、車道の“左側端”に寄せて駐車します。

路側帯は、歩行者用に設けられた歩道が存在するため設けられていません。車道には白線が引かれていないため、歩道に沿う流れで車道の左側端に寄せて車両を停めます。

駐車する際に注意したいのは“車道と歩道を区切っている段差”です。

歩道が車道よりも地面が高くなるよう段差が設けられているため、端へ車両を寄せすぎるとタイヤ・ホイールや車体の左側面を擦ってしまったり、ヘコミや傷をつけてしまう可能性があります。

横を通り過ぎる車両にも気を配りつつ、車道の端に寄せ過ぎて車体にダメージを与えないよう注意してみるとよいかもしれません。

■【ポイント2】「幅の広い路側帯」がある道路=“余裕をもって”路側帯の中に停める

2つ目は「幅の広い路側帯がある道路」での駐車方法です。通路の幅が75cm以上設けられている路側帯がある道路では、車両の左側に少なくとも75cm以上のスペースを空けなければなりません。
車体の左側に少なくとも75cmのスペースを確保して、路側帯を区分している白線をまたぐ形式で駐車しましょう。

■【ポイント3】「幅の狭い路側帯」がある道路=“路側帯の白線に沿って”停める

3つ目は「幅の広い路側帯がある道路」での駐車方法です。通路の幅が75cm未満となっている路側帯が設けられた道路では、路側帯を明確化している白線をまたいだり、路側帯の中に車両を入れたりして車を駐車できません。

このようなシチュエーションでは、車道と路側帯を区切っている白線に沿って、寄せるように車を駐車しましょう。

■【ポイント4】「歩道」「路側帯」がない道路=“左側端”に寄せて停める

4つ目は「歩道や路側帯がない道路」での駐車方法です。1つ目に解説した歩道のある道路と同じく、車道の左側端に寄せて駐車します。

ただし、車道の左側端は歩行者や自転車、原付バイク、二輪車などが通行している可能性があります。巻き込み事故を起こさないよう注意して駐停車を行うようにしましょう。

路肩に駐車できない場所

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残念ながら、路肩に駐車するのを認められていない場所が複数存在します。

標識や標示で駐車禁止もしくは駐停車禁止が示されているケースがある反面、一切の注意喚起がなされていない箇所もあるため注意しなければなりません。

交通ルールを守り、路肩への駐車・駐停車で違反とならないよう気をつけましょう。

駐車・駐停車禁止の標識や標示が設置されている場所 駐車場や車庫など「自動車専用の出入口」から3m以内の場所 道路工事の区域の側端から5m以内の場所 消火栓などの標識が設置されている位置から5m以内の場所

■駐車・駐停車禁止の標識や標示が設置されている場所

駐車禁止や駐停車禁止の標識・標示が設置されている場所は、路肩に限らず車両を停めたり置いたりするのは禁止です。

設置されている場所は、駐車・駐停車を行うだけで交通渋滞や危険を引き起こすなどの状態を想定しています。もし、禁止区域でそのまま車を駐車・駐停車したら、運転免許に違反点数が加算されるほか、反則金を支払う義務が発生するため注意しなければなりません。

■道路工事の区域の側端から5m以内の場所

「道路工事の区域の側端から5m以内の場所」も、駐車禁止の対象です。

ただし、一時停車で人の乗降や荷物の積み下ろしであれば駐停車禁止にはあてはまりません。

■消火栓などの標識が設置されている位置から5m以内の場所

「消火栓などの標識が設置されている位置から5m以内の場所」も、駐車禁止に該当します。

万が一の災害時に消火栓を使うため、車両がその近辺に駐車されていると作業が妨害されかねないからです。

■交差点とその側端から5m以内の場所

「交差点とその側端から5m以内の場所」では、駐停車禁止に当てはまるため注意しなければなりません。

本来、交差点は直進だけでなく左右への進路変更もあるため、車両が駐車・一時停車した状態では車両の動きが阻害される可能性があります。

駐車禁止ではなく駐停車禁止となるため、人の乗り降りや荷物の積み下ろしでの一時停車でも違反となるため注意しましょう。

路肩の駐車・駐停車禁止違反の罰則内容

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路肩へ車両を駐車・駐停車した際、警察からの取り締まりを受ける可能性があります。
もし、「駐車・駐停車禁止違反」で取り締まられたらどうなるのでしょうか。運転免許に課せられる違反点数や反則金を挙げてみました。

■駐車・駐停車禁止違反での違反点数

駐車・駐停車禁止違反は「放置駐車違反」に該当し、「駐車禁止場所等」および「駐停車禁止場所等」のいずれかで違反点数が課せられます。

駐車禁止場所等:2点 駐停車禁止場所等:3点

■駐車・駐停車禁止違反での反則金

駐車・駐停車禁止違反での反則金は、違反点数と異なり車両の種類によって金額差があります。

「駐車禁止場所等」に該当したケースでは以下の反則金が課せられます。

「駐車禁止場所等」に該当したケースでの反則金 一覧

一方、「駐停車禁止場所等」に当てはまると、反則金が増加するため注意しなければなりません。

「駐停車禁止場所等」に該当したケースでの反則金 一覧