YouTubeが現地時間2023年6月8日に、ユーザーがデータを追跡されずに動画を視聴できるオープンソースの代替フロントエンド「Invidious」に対して7日以内にサービスを停止することを求めるメールを送信しました。YouTubeは「InvidiousがYouTube APIサービスの利用規約と開発者ポリシーに違反している」と主張しています。

YouTube legal team contacted us · Issue #3872 · iv-org/invidious · GitHub

https://github.com/iv-org/invidious/issues/3872



I'm Not Invidious | TheFrenchGhosty's Blog

https://blog.thefrenchghosty.me/posts/im-not-invidious/

YouTube Tells Open-Source Privacy Software ‘Invidious’ to Shut Down

https://www.vice.com/en/article/88xxex/youtube-tells-open-source-privacy-software-invidious-to-shut-down

InvidiousはYouTubeからのデータ収集を防いでユーザーのプライバシーを保護できるオープンソースの代替フロントエンドで、有料サブスクリプションの「YouTube Premium」に加入せずとも動画視聴の際に広告を非表示にすることが可能です。

しかし2023年6月8日にYouTubeの法務チームはInvidiousの開発者であるTheFrenchGhosty氏に対し「我々はInvidiousと呼ばれるあなたの製品やサービスの存在を最近知りました。InvidiousはYouTube APIサービスの利用規約と開発者ポリシーに違反しているようです」と述べ、「このメールの日付から7日以内に当社の規約とポリシーに違反するInvidiousの提供を停止してください」と要求しています。



シャットダウン要求の詳細についてYouTubeは「YouTube APIサービスを利用するクライアントは、YouTubeの利用規約へのリンクを表示する」「クライアントがユーザーの情報をどのように使用および処理するかを明確かつ包括的に説明する」必要があると主張し、Invidiousではこれらの条項が守られていないことを指摘しています。

また、YouTube APIサービスのクライアントは、重要で独立した価値または機能を追加しない限り、YouTubeの機能に制限を課すことや、コアユーザーエクスペリエンスを模倣または複製することを禁止しています。



これに対して、TheFrenchGhosty氏は「IndiviousはYouTube APIを利用せず、プロキシーサービスを利用しているため、APIの利用規約に同意する必要がない」と主張。また「YouTubeはIndiviousがYouTube APIを使用していないことを理解していません」と主張し、Indiviousの運用に変更を加える予定がないことを明らかにしています。加えてTheFrenchGhosty氏はInvidiousについて「YouTubeのウェブサイトをロードし、重要なデータだけを抽出して別のウェブサイトに表示しているだけです。人間がYouTubeで動画を視聴する際にAPIを使用しないように、InvidiousもAPIを使用していません」と釈明しています。

さらにTheFrenchGhosty氏は必要でない限り何もしないことを表明していますが、「YouTubeやGoogleには豊富な資金があるので、今後裁判に発展する可能性もあります」と述べ、法的根拠に基づいてInvidiousを守ることができる組織を探していることを明かしています。



YouTubeの広報担当者はコメントを発表していませんが、TheFrenchGhosty氏は「私は違法行為をした覚えはなく、YouTubeの主張には根拠がありません。YouTubeからの要求に従うことはありません」と主張しています。