太りやすい体質になる原因は?

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 普段、それほど食べていないのに太りやすい人もいれば、大食いなのに太りにくい人もいます。なぜ太りやすい体質になってしまうのでしょうか。太りやすい体質を改善することは可能なのでしょうか。ディオクリニック(東京都豊島区)で医療ダイエットを行う、医師の藤井崇博(ふじい・たかひろ)さんに聞きました。

基礎代謝低下、ストレスなどが原因

Q.普段、それほど食べていないのに太りやすい人もいれば、大食いなのに太りにくい人もいます。なぜ太りやすい体質になってしまうのでしょうか。

藤井さん「太りやすい人は、主に以下の要因が混在していると考えられます」

(1)遺伝的な体質
(2)加齢に伴う筋肉量の減少が原因で基礎代謝が低下
(3)ジャンクフードやアルコール飲料などを摂取する機会が多い
(4)人工甘味料などの食品添加物の過剰摂取
(5)身体的ストレスや精神的ストレスがたまっている
(6)一度に多くの量を食べる、いわゆる「ドカ食い」をすることが多い
(7)朝食を抜くことが多い
(8)動物性タンパク質などの取り過ぎが原因で、腸内で悪玉菌が増殖

そもそも食べ過ぎると、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ります。それにより、余分なエネルギーが体脂肪へと変わるため、肥満につながります。運動不足だと消費エネルギーが減るため、普通の食事量でも太ることがあります。

便利でおいしい食べ物ほど食品添加物が多く含まれており、これが原因で肥満になる可能性も指摘されているので注意が必要です。このほか、肉類などに含まれる動物性タンパク質を多く摂取すると、腸内で悪玉菌が増殖し、腸内環境が悪化するため、太りやすくなるといわれています。

Q.太りやすい人が、太りにくい体質に改善することはできるのでしょうか。

藤井さん「以下の取り組みを行うと、太りにくい体質に変わると考えられます」

(1)筋肉量を維持、増量する
運動やトレーニングに取り組む習慣を身に付けることで、筋肉量の維持や増量が可能だと考えます。

(2)食生活を見直す
朝食時に意識的に栄養バランスの取れた食事を摂取するように心掛け、昼食時や夕食時は、食品添加物の多いジャンクフードの摂取をできるだけ控えましょう。

栄養は一度に吸収可能な量が決まっています。ドカ食いのように一度に多く食べようとせず、食事は複数回に分けて、栄養をバランスよく摂取することで太りにくくなると考えます。

(3)ストレスをためない、夜更かしをしない
ストレスをできるだけためずに、規則正しい生活を送りましょう。人間はストレスを感じると食欲を増進させるホルモンが分泌され、その結果、食欲を抑えられず、必要以上に食べてしまいます。また、睡眠障害などにより昼夜逆転の生活を送ったり、夜遅くまで起きていたりすると、脂肪を体内に蓄積する作用のあるホルモンが分泌されやすくなり、太りやすい体質になることが明らかになっています。

(4)食物繊維を摂取する
太りやすさは、食物繊維の摂取量の低下と密接に関係しています。食物繊維を摂取すると、腸内で善玉菌が増え、腸内環境を整えてくれます。

Q.病気や不規則な生活などで胃腸の働きが悪くなった場合、太りやすくなる可能性はありますか。

藤井さん「可能性はあります。病気や不規則な生活などが原因で胃腸の働きが悪くなった場合、便秘になる人が多いです。便秘になると、皮下脂肪の蓄積や基礎代謝の低下が起こる可能性があります。

そもそも便とは、摂取した食事が胃や小腸で吸収された後の残りものです。その中には、吸収されなかった脂質や糖質などの栄養素が含まれており、便秘で体外に排出されずに腸内にたまっていると、水分が吸収される際に脂質や糖質も一緒に体内に再吸収され、皮下脂肪として蓄えられてしまうと考えられています。

便秘によって胃腸の働きが鈍くなると、基礎代謝が低下すると考えられています。この場合、正常時と同じ量の食事を摂取していたとしても、便秘時は摂取カロリーが消費カロリーを上回り、余分なカロリーが脂肪として体内に蓄えられることになります。

これらの理由から、便秘は肥満の要因の一つであると考えられます。しかも便秘になると、腸内にガスがたまっておなかが張ったり、肌荒れの原因になったりするなど、胃腸以外の症状が出るケースも多くあります。

便秘に伴う不調でストレスを感じると、先述のように食欲を増進するホルモンが分泌されるため、肥満の要因を増やしてしまうことになります。便秘対策をしっかりと考えることが大事です。

難治性の便秘や重症な便秘の場合、医療機関の受診を検討してください。便通を改善する薬を処方してもらうとよいでしょう。また、便秘の原因となっている病気がないかなど、精密検査を検討する必要があります」