朝ごはんの定番メニューが供給不安定に…(写真はイメージです)

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食卓をめぐる状況の混乱が続いている...。

帝国データバンクの2023年5月9日に発表した「『上場主要外食100社』卵メニュー休止状況調査」と、5月10日に発表した「『酪農業』倒産動向」よると、鳥インフルエンザ感染拡大に起こった「エッグショック」による価格高騰が続くなか、生乳の生産を行う酪農家の2022年の倒産件数が過去10年で過去最高という事態が明らかになった。

鶏卵の供給不安定による価格高騰に続いて、生乳や乳製品の値上がりにつながりかねない状況に、家計を支える人の頭も痛い。

外食企業100社のうち卵メニュー休止・休売は28社でおよそ3割に

鳥インフルエンザの感染拡大に伴う卵の供給不安定など「エッグショック」の影響がいまだに続いている。卵メニューの提供の休止は、主にファミリーレストランを中心にリーズナブルなフランチャイズチェーン店などに集中している。

帝国データバンクの調査によると、上場する外食大手100社のうち、2023年に入って卵メニューの休止や休売に踏み切った、または表明した企業は5月8日時点で少なくとも29社に上ることがわかった。

一方で、鶏卵メニューへの依存度が低い居酒屋などの業態では提供が続いているほか、同じ業態でも鶏卵メニューの値下げや販売拡大に踏み切るケースもある。

帝国データバンクでは「鶏卵の調達ルートや在庫量、業態によって『エッグショック』の影響は二極化の傾向がみられる」としている。

さらに、帝国データバンクでは「JA全農たまごによれば、4月の鶏卵1kg(東京Mサイズ)の卸売価格は350円で、前年同月から139円値上がりするなど高止まりが続いた。足元では供給不足や価格高騰の長期化を前提にした代替メニュー開発の動きも広がるほか、加工用殻付き卵の輸入も始まっており、外食産業の『エッグショック』への抵抗力は高まっていくと考えられる」と指摘している。

酪農業の倒産・休廃業件数14件に増加 過去10年で最多に

また、食卓に欠かせない「牛乳」にも危機が迫っている。

帝国データバンクの調査によると、牛乳やチーズなどの原料となる生乳生産を行う「酪農業」の倒産や休廃業などが、2022年に合計14件発生した。2021年の8件から大幅に増加し、過去10年で過去最多を更新することとなった。この背景について、帝国データバンクは次のように指摘する。

「酪農業では、過去に国産生乳不足に伴うバター不足などが度々発生した。そのため、政府は施設整備や機械導入を最大半額補助する『畜産クラスター事業』を開始するなど生乳増産を要請。酪農家もこれに応える形で乳牛増頭や牛舎拡大など積極的な設備投資を行い、規模を拡大してきた」(帝国データバンク)
「しかし、増産体制が整った直後にコロナ禍が直撃し、業務用や学校給食用の牛乳消費が急減。コスト増分の価格転嫁も難しい状況が続いたなか、ロシアのウクライナ侵攻や円安による輸入コスト増でエサ代が前年から最大1.6倍まで高騰する『ダブルパンチ』に直面した。副収入の仔牛雄牛も外食需要減を背景に競り落とし価格が低迷し、コスト増を補うことも難しかった」(帝国データバンク)

まだまだ日本の食卓を覆う状況には混乱が生じ、家計管理も難しくなりそうだ。