エコバックスジャパンから、新ロボット掃除機「DEEBOT T20 OMNI」(以下、T20 OMNI)が登場しました。6月1日から予約を受け付け、6月16日に発売します。価格は179,800円。

「DEEBOT T20 OMNI」。概要は別記事『エコバックス、ほぼ全自動の水拭き&吸引ロボット掃除機「DEEBOT T20 OMNI」』を参照

T20 OMNIは、吸引と水拭き掃除を同時にできるロボット掃除機に、エコバックスのロボット掃除機では初となる温水モップ洗浄機能付きの「全自動クリーニングステーション」が組み合わさったモデルです。新機能として、カーペットに差し掛かるとモップが自動で引き上げられる「モップ自動リフトアップ」も搭載。新製品発表会で実機やモップ清掃のようすをチェックしてきました。

発表会では、女優の内田有紀さんがエコバックスジャパンのアンバサダーに就任。既存製品の「DEEBOT T9」を元々使っているという内田さんは「実際に自分が使っている製品をPRできるのは何よりうれしいこと。家事から掃除が無くなるという感覚を皆さんと共有したいです」と意気込みを語ってくれました

○水拭きモップを温水で洗って清潔さキープ

全自動クリーニングステーションに収まったロボット掃除機。全自動クリーニングステーションは高機能なだけあり、W448×D430×H578mmと大型です

ロボット掃除機本体の性能の前に、まずは同梱する全自動クリーニングステーションについて。全自動クリーニングステーションは、ロボット掃除機本体の充電、本体からのごみ収集だけではなく、モップへの給水、汚れたモップの洗浄、熱風乾燥までをすべて自動で行える点が特長です。

なお、全自動クリーニングステーションは、エコバックスのフラッグシップロボット掃除機「DEEBOT X1 OMNI」(以下、X1 OMNI。直販価格198,000円)にも付属しますが、T20 OMNIのものとは多少機能差があります。

フラッグシップモデルの「DEEBOT X1 OMNI」(左)

全自動クリーニングステーションの天面を開くと内には給水タンク(右側)と汚水タンク(左側)





給水タンクと汚水タンクはどちらも容量4Lと大きく、20平米のスペースを毎日掃除した場合、水の交換は2週間に1回で済むそう

T20 OMNIの全自動クリーニングステーションには、ロボット掃除機の汚れた水拭きモップを55度のお湯で洗う「温水洗浄機能」が新しく加わりました。この機能はX1 OMNIにも搭載しておらず、エコバックスのロボット掃除機では初となります(X1 OMNIは冷水で洗浄)。

ステーション奥側パーツには突起。この部分が洗濯板のようにこすることでモップの汚れを落とします

エコバックスによると、裸足でフローリングを歩くと床に付着する動物性油脂を落とすには、55度の温水が“最適”といいます(エコバックス調べ)。冷水での洗浄に比べて洗浄力を高めました。また、専用の洗浄液(別売)を給水タンクに注入することで、モップの汚れをより落とすことが可能です。

左2枚の写真が冷水洗浄したもので、右2枚が55度の温水で洗浄したもの。洗浄液を使わずとも温水洗浄でほとんどの汚れが落ちていることがわかります

T20 OMNIは、本体に水タンクを装備していないため、水拭き清掃をするときには、クリーニングステーション内にて自動でモップを濡らします。また、清掃途中にモップの洗浄を行う場合も同様に一度クリーニングステーションに戻る必要があります(戻るタイミングは、清掃開始後6分・10分・15分の3段階で指定可能)。

なお、このときに使われる温水は、ロボット掃除機がモップ洗浄のためにステーション内に戻ると、ステーション内のヒーターで給水タンクの水を温まり用意される仕様。かかる時間は約1〜2分です。

これに対し、X1 OMNIはロボット掃除機本体に水タンクを内蔵。ステーションへ戻らなくても、清掃しながらモップを濡らして水拭きできます(モップ洗浄の場合はステーションに戻る必要があります)。

モップを濡らすためにステーションを経由せず、中断することなく一度に水拭きしたい人にはX1 OMNIが適しています。一方で、給水のたびにステーションへ戻る必要がありますが、清掃途中でモップが温水洗浄され、よりキレイなモップで水拭きしたいという人にはT20 OMNIがオススメです。

前面の下側にあるボタンを押すと、前面の中央付近が開いてゴミパックが現れます。ゴミパックにためられるゴミの目安は最大約60日分です

○高い吸引力と加圧回転式モップを備えたロボット掃除機

T20 OMNI本体。クリーニングステーションや本体側面はホワイトですが、天面はマットなシルバーです。本体サイズはW362×D362×H103.5mm

続いてはロボット掃除機本体についてです。吸引力は業界最高クラスとうたう6,000Pa。モーターを変更したことでフラッグシップのX1 OMNIより強力に吸引します(X1 OMNIは5,000Pa)。その上、実際に清掃するようすを見ると運転音がかなり静か。住宅環境にもよりますが、ロボット掃除機の中では、夜間の稼働も大丈夫かな? と思えるモデルです。

メインブラシはエコバックス初の「ゴム製メインブラシ」を採用。ラバー素材にすることで、髪の毛が絡まりにくくなりました。触ってみると“ぷにっ”とした感触です

水拭きは、床に密着させることで汚れをしっかり落とす加圧回転式デュアルモップ「OZMO TURBO 2.0」で行います。床に圧力を加えながら1分あたり180回転し、実機デモでは水性マジックでフローリングに書いた文字をしっかり落としていました。

T20 OMNIの底面には、水拭きに使う円形の加圧回転式デュアルモップを装備。圧力をかけながら床を拭いていきます

水性マジックで床にこびりついた汚れを再現

若干伸びた汚れが残りましたが、ほぼ汚れは落ちています。このあともう一度通ると目視ではわからないくらいに汚れは落ちました

個人的に好印象だった機能は、アプリから同じ場所を2度清掃するよう設定できること。筆者には「ロボット掃除機は1回通った場所を記録して、同じ場所を通らない」というイメージがありました。T20 OMNIは同じ場所を2重に掃除させることが可能です。このため、床にこびりついた強力な汚れ、一度目の水拭きでは落としきれなかった染みなどをより確実にキレイにできます。

アプリから設定できる

○水拭きモップのリフトアップがスムーズ

注目の新機能がエコバックスのロボット掃除機として初となる「モップ自動リフトアップ」です。掃除中にカーペットを検知すると水拭きモップが自動的に持ち上がり、フローリングでは吸引・水拭き掃除をしつつ、カーペット上では吸引掃除のみを行います。これにより、フローリングとカーペットが組み合わさった部屋の清掃を一度の操作で実行できます。

フローリングとカーペットを清掃する実機デモでは、吸引と同時に拭き掃除をしていたT20 OMNIのモップが、カーペットに乗り上がるタイミングですばやく上昇。カーペットから降りるタイミングでは、モップがスッと下がりました。この一連の動きはほとんど動きを止めずスムーズです。



【動画】T20 OMNIによるモップ自動リフトアップのようす。カーペットに差し掛かると、ほとんど動きを止めることなくモップが持ち上がっています(音声が流れます。ご注意ください)

なお、この自動リフトアップ機能は「毛足が約3mmのカーペット」まで対応できるそう。ロボット掃除機自体は2cmの段差まで越えられるため、もう少し厚みがあるカーペットを使用している家庭は、実際に自宅で試してみるか、清掃モードを「吸引清掃後に水拭き」に設定するのがオススメです(「吸引清掃後に水拭き」に設定し、カーペットの位置をアプリ内で登録すると、モップを濡らさずに吸引清掃したあと、フローリング部分のみ水拭き清掃が行われます)。

床かカーペットかを感知するセンサーは底面前方にある超音波センサー



【動画】T20 OMNIが壁際を清掃するようす。「ディープエッジクリーニング」という壁際の汚れをしっかり落とす新機能も備えました。後側の水拭きモップを壁側へこすりつけるように振ることで、壁際の水拭きに対応します(音声が流れます。ご注意ください)

マッピングは、レーザーによる「D-ToF(Direct Time of Flight)」を応用した「TrueMapping 2.0」と障害物回避のための「TrueDetect 3.0」などを組み合わせて行います

○清潔性アップした全自動クリーニングステーションが魅力的

床がフローリングの住宅に住んでいる人にとってロボット掃除機の水拭き機能は魅力的ではないでしょうか? ただ、ロボット掃除機にモップが備わっている場合は、洗ったり乾燥させたりする手間が発生しますし、使い捨ての専用シートをセットするタイプはその都度付け替える必要があります。本音はやっぱり面倒……。

T20 OMNIは、全自動クリーニングステーションとモップのリフトアップ機能により、水拭き掃除、ゴミの収集、水拭きモップへの給水、汚れたモップの洗浄、熱風乾燥までが自動で行われる上、温水洗浄で清潔性も向上しました(ステーション内の汚水タンクに溜まった水と、ゴミが集まった紙パックは自分で捨てる必要があります)。

約18万円とプレミアムな価格帯のロボット掃除機ですが、水拭きができるロボット掃除機の購入を考えている人は候補のひとつに入れてみてはいかがでしょうか?

エコバックスジャパンは2022年1〜8月において、国内ロボット掃除機業界の前年成長率1位を達成。代表取締役社長 坂梨文康氏は「DEEBOT X1 Family」や「DEEBOT T10 Family」の販売台数・売り上げが好調なことが要因と語りました