米Alphabetは4月20日(現地時間)、傘下のAI開発企業DeepMindとGoogle ResearchのAI開発チームBrainを統合すると発表した。

新組織の名称は「Google Brain」。Googleの次世代の製品やサービスの原動力になる汎用AIシステムの開発・研究を担う。DeepMindの共同創業者で現CEOのDemis Hassabis氏が新組織のCEOに就任する。



DeepMindは2010年に英ロンドンでDeepMind Technologiesとして設立され、2014年にGoogleが買収した。2016年に囲碁のトッププロ棋士を次々に破った「AlphaGo」システムが大きな話題になり、タンパク質の構造の予測を実行する「AlphaFold」、人工ニューラルネットワークによる音声合成アルゴリズム「WaveNet」といった研究成果を送り出してきた。

Google Brainは、ニューラルネットワークの最新技術をGoogleのビジネスに応用するために組織され、機械翻訳や画像識別の学習などでGoogleの製品やサービスの向上に貢献し、深層学習モデル「Transformer」の考案が自然言語処理(NLP)のブレークスルーになり、今日のChatGPTのようなサービスの台頭につながった。

DeepMind買収から10年近くが経過し、統合によってDeepMindをGoogleの事業に時間をかけて同化させる過程が完了する。買収当初、DeepMindはGoogleの他の研究活動から距離を置き、「知性の謎を解く」をミッションとした研究課題を追求していた。2018年にDeepMindの医療分野の研究成果を実用化するために、関連するDeepMindのチームをGoogleに吸収。The Vergeの報道によると、AI技術をプロプリエタリなものにしないために、DeepMindを非営利団体と同様の組織にするよう求める声が同社から上がっていた。しかし、Alphabetは今年からDeepMindを"Other Bets"部門の別事業ではなく、Alphabetの企業コストの一部として報告するように変更した。

Google Brainを率いてきたJeff Dean氏は、Google ResearchとGoogle DeepMindのチーフサイエンティストに就き、AI研究の将来の方向性を定め、AIに関連する戦略的な技術プロジェクトの責任者としてCEOのSundar Pichai氏に報告する。

Google Researchは、アルゴリズムと理論、プライバシーとセキュリティ、量子コンピューティング、ヘルス、気候、サスティナビリティ、責任あるAIといった分野で、コンピュータサイエンスの進歩をリードする研究を行う。