「いま話題の新店、行ってみない?」

この一言は、どんなときでも使える万能の誘い文句だ!

都内の新店情報は日々キャッチアップし、お店のバリエーションをできるだけ増やしておきたい。

そこでこの春、東京のレストランシーンを賑わせている話題の新店を厳選してご紹介!







1.あっと驚く食体験が大人心をくすぐるイノベーティブレストラン@三越前
『ピース/Peace』



2023/2/7 OPEN



店は「日本橋三越本店」からほど近く。ビジネスパーソンが闊歩するエリアのビル2階。キャッチーなサインがひと際目を引く


2014年にオープンし、ミシュラン一ツ星に輝くフレンチレストラン『La Paix』の松本一平シェフは、若いスタッフに新たなステージを提供して切磋琢磨し合おう、というスタンスで知られる。

まず2021年、自身の店と目と鼻の先に開いて一躍人気を博したのが、イノベーティブなおでんをコースで供する『季節のおでん 平ちゃん』。

そして今年、同じ日本橋室町エリアで新たな才能を育むステージを完成させた。それがここ、『Peace』だ。


自由な発想から生まれる料理に見出す、新しき食のプレゼンテーション


シェフに抜擢された大島孝仁さんは、イタリアンレストランでの修業を経て、2016年に『La Paix』に入店。

ゆえに、イタリアンの技術をベースに、この7年間で得たフレンチならではの知見を取り入れたおまかせコースでゲストをもてなしてくれる。




イカのミンチとサルシッチャを詰めたショートパスタを、イカのコンソメに浮かべた「烏賊のトルテッリーニ」。




「自家製唐墨と芹のタリオリーニ」は、熟成期間の長いカラスミをパスタに和え、さらに昨年仕込んだものを上にあしらっている。




八ヶ岳のジャージー牛の乳を使った「ピースソフト」は、ゲランドの大粒海塩、フルール・ド・セルとスペインの早摘みオリーブオイルを添えて。




フードロス問題を意識し、未使用魚の頭や頬肉などを余すことなく使ったトマトベースのラグーを包んだ「カルツォーネ」。

子供の手を印刷したペーパーに乗せる演出も心憎い。

料理はすべてコース(13,200円)の一例。




特注だという、斬新なデザインの照明が存在感を放つ空間。

カウンター席とキッチンを遮るものは何もなく、大島シェフをはじめ、スタッフが和やかに立ち働く様子を眼前に臨める。



フードロス問題に目を向け、流通に乗りづらい素材を盛り込みつつ楽しさのある料理を提供する同店。

大島さんを筆頭にスタッフの和やかな雰囲気も、ほっと寛げる“Peace”な時間をもたらしてくれる。


■店舗概要
店名:ピース/Peace
住所:中央区日本橋室町1-11-12 日本橋水野ビル 2F
TEL:03-6281-9845
営業時間:ランチ 11:30〜(L.O.13:00)
     ディナー 18:00〜(L.O.20:00)
定休日:木曜、月2回水曜
席数:カウンター4席、テーブル10席 ※要予約



2.軽やかで食べ疲れしない!「串揚げ」のイメージが変わる@麻布十番
『Brochette KUSHIAGE TOKYO』



2023/1/6 OPEN



コースのトップバッターを飾るのは、目にも華やかな「車海老」。活きの良い海老を、直前に下処理して揚げている。食するときは山椒塩とともに


魚介類、肉類、さまざまな野菜……と、多種多様な食材を少しずつ味わえる点が支持されるジャンルといえば「串揚げ」だろう。

その一方で、当然のことながらすべてが揚げ物なだけに、コースの終盤になるとちょっとヘビーに感じてしまうことも。

もっと食べたいのに重い……、そんなジレンマを鮮やかに解消してくれる救世主的な新店が、麻布十番に誕生した。



広々としたカウンターは、モノトーンで統一されてシックな雰囲気。ディレクターの高橋さんのユニフォームも黒一色だ。奥には個室も


ディレクター・高橋進紀さんは、華々しいキャリアの持ち主だ。

和食の名店『分とく山』に11年在籍した後、韓国の財閥系ホテルで腕を振るい、六本木『江戸前鮓 すし通』では大将に。

串揚げは初挑戦ながら、これまでの経験で培われた確かな目利きと技術が存分に生かされている上、圧倒的な軽やかさが魅力だ。


定番にとらわれない構成に、串揚げの新時代が幕を開ける


フキ、ウド、山クラゲなどの野菜を油揚げで巻いた「野菜巻」、あらかじめ煮たコンニャクで生姜を巻いた「生姜コンニャク巻」、プレーンな玉子豆腐ととびっこ入り玉子豆腐が二層になった「玉子豆腐」など、独創的な串がなんとも楽しい!

すべて「串揚げ20本コース」(16,500円)の一例。




コースの〆は、ビーフカレーや漬け丼が登場。




箸休めならぬ“串休め”的な一品が「コールスロー」。

串揚げ用の果汁を絞った後のレモンの皮を有効活用している。



串揚げに抱くイメージがアップグレードされること間違いなし!


■店舗概要
店名:Brochette KUSHIAGE TOKYO
住所:港区麻布十番1-5-18 カートブラン麻布十番 B1F
TEL:03-6447-2296
営業時間:17:30〜(L.O.22:30)
定休日:日曜、祝日
席数:カウンター17席、テーブル16席、個室2(4席、6席)※要予約



3.上海で頂点を極めた実力派が腕を振るう極上の中華@銀座
『M_Mugen』



2022/11/1 OPEN



贅を凝らしたカウンターは、さながら内田さんのステージ。天板や壁面には大理石を惜しみなく使い、アクセントとして皮革の質感を利かせている


次々に高級チャイニーズがオープンし、群雄割拠の様相を呈する街・銀座。

そんな激戦区に、本場・中国での華麗な経歴を引っさげて日本に“凱旋帰国”を果たした実力派による、話題性十分の新店が登場した。



店は、アッパーなレストランや高級クラブなどが立ち並び、夜の帳が降りてからこそ賑わいの増す、銀座7丁目エリアに。中が見えない店構えが、道行く人々の興味をかきたてる


シェフの内田達仁さんは、15歳で中国料理の世界に入って以来、この道一筋。

中華街の名店『重慶飯店』での修業を経て22歳で中国に渡ると、有名ホテルのレストランで研鑽を積み、やがて自身の店を構えるまでに。

さらには、上海レストランアワードの中国料理部門を3度制した。当然、日本人史上初の快挙である。

「上海でやれることはすべてやった」という内田さんの料理は、伝統的な中国料理を日本の優れた素材と自身のの感性によりグレードアップさせたものぞろい。


食べ込んだ人ほどこの一品の凄みを体感できる、圧倒的な味わい!


「気仙沼産フカヒレのステーキ」は、泣く子も黙る高級食材・フカヒレの、その中でも最上級と尊ばれる宮城・気仙沼産の肉厚なものを厳選。

じっくりと時間をかけて戻したものを白湯スープで煮込み、さらに仕上げにグリルすることでインパクトのある食後感に。写真は2名分。




スペシャリテの「佛跳牆(ぶっちょうしょう)」は、干しアワビなどさまざまな高級な乾物を数日かけて壺ごと蒸す、伝統的なスープ。このスープを常時提供する店は希少だ。

「調理中に辺りに漂う香りがあまりに芳しいため、修行僧までもが塀を飛び越えて来る」という逸話が名前の由来になっている。




「麻婆豆腐」も、中国で人気を博した内田さんの代名詞的一品。

料理はすべて、コース(30,800円)からの一例。



自慢の味を盛り込んだコースでは、味わえる店が限られるスープ「佛跳牆」から、唐辛子の辛味と山椒の鮮烈な痺れ感が圧巻の「麻婆豆腐」まで、余すことなく堪能できる。

銀座の大人たちを早くも虜にしているのも納得の、心に刻まれる味わいだ!


■店舗概要
店名:M_Mugen
住所:中央区銀座7-4-6 ACN銀座7ビルディング 1F
TEL:03-6263-9737
営業時間:18:00〜(L.O.21:00)
定休日:水曜、日曜
席数:カウンター8席 ※要予約



4.我を忘れて夢中になる!ラグジュアリーな大人の洋食@西麻布
『つかんと七洋軒P.O.』



2023/1/16 OPEN



あらかじめ真空低温調理を施した豚肉を低温の油でカツに仕上げ、割り下とたまごでリゾット風にしたご飯に乗せた「カツ丼」1,400円。『つかんと』ならではの人気メニューだ


西麻布事情に通じていれば、この店のある場所がかつて郵便局だったことを記憶している人もいるかもしれない。

その名残を魅力に変えた、個性派ニューフェイスが忽然と現れた。

“東京料理”を標榜し、虎ノ門横丁で人気を博する新感覚のとんかつ専門店『つかんと』と、住所非公開のイノベーティブレストラン『atirom Tokyo』がプロデュースする洋食ブランド『七洋軒』がドッキング。

『つかんと』の人気メニューと、ハンバーグやナポリタンといった定番をアップデートさせたメニューとを一緒に味わえるのだからたまらない。

しかも洋食は、老舗洋食店『小川軒』を皮切りに、銀座の有名ワインバー『シノワ』や『レストランナンペイダイ』の料理長を歴任した高橋七洋さんが監修。そのクオリティの高さは説明不要だ。


洋食と丼、究極の2択……大人になった今、迷うなら、両方食べたっていい


牛と豚の合挽き肉に香味野菜も加え、旨みあふれるハンバーグに。

これに手間ひまかけて仕込まれた艷やかなデミグラスソースと、とろけるチーズをON。

「デミチーズハンバーグ」990円。




具は、赤いソーセージとピーマンのみ!という潔さ。

敢えて茹で置きした2.2mmの極太スパゲティ300gに、濃厚なトマト味がしっかりと絡む。

「ザ・スパゲティナポリタン」1,650円。


西麻布では郵便局の跡地ですら、大人心をくすぐる空間へと進化する


店は、六本木通りから少し奥まったブロックに。透明な提灯や店名のネオン管がポップな雰囲気を醸しだす。

店名の「P.O.」は“ポストオフィス”の略だ。



建物自体が建て替えを控えており、ここでの営業は1年半ほどの見込み。

料理と空間の妙味を体験するなら、お早めに。


■店舗概要
店名:つかんと七洋軒P.O.
住所:港区西麻布1-8-11
TEL:070-7793-6014
営業時間:18:00〜(フード L.O.22:00)
定休日:日曜
席数:カウンター7席、テーブル16席



5.「パンと一緒に味わう料理」がテーマの、ハイセンスなビストロ@兜町
『Bistro yen』



2022/12/15 OPEN



壁から天井、そして卓上へと弧を描いたアームが印象的な照明と、空間内に多用された古材などの風合いが、温かみをもたらす


証券・金融の街として長年機能してきた「兜町」エリアだが、ここ数年、高感度なフード関連のスポットが次々に誕生している。

その先駆者であるパティスリー『ease』を率いる大山恵介氏が次なる展開として手がけたのが、食を軸にしたライフスタイル提案型の複合施設「BANK」。

この街の移り変わりを見守ってきた建物の2フロアに4つの異なる業態を擁するが、ゆったりと食事を楽しめるのが、ここ『Bistro yen』だ。

隣接するベーカリー『bank』の「パンと一緒に味わう料理」をコンセプトに据えている。

シェフの林 弘善さんは六本木『le sputnik』でスーシェフ、『レザンファン ギャテ』でも経験を積んできた。

こちらでは、これまで培った技術や知識を親しみやすいビストロメニューにさり気なく反映している。




ビストロらしい「パテ ド カンパーニュ」1,800円。

グリーンペッパーがアクセントのパテに、あんぽ柿やコールラビのピクルスを添えて華やかに。




名前を見ただけで興味をそそられる「よだれ牡蠣 自家製唐辛子オイル」(2,200円)は、加熱した牡蠣にマッシュルーム、トマト、バルサミコ酢などを合わせたスープとちぢみほうれん草、山椒やコリアンダーも香る唐辛子オイルを合わせた一品。




新玉ねぎの白いピュレと玉ねぎの皮から作ったパウダー、黒にんにく&黒オリーブのタプナードとともに味わう「紀州鴨のロースト」4,400円。


気鋭のシェフがその世界観を展開する複合施設「BANK」


日本橋兜町旧銀行跡地にあり、建物の印象は実に重厚。

エントランスにある樹齢1,000年のオリーブの木が「BANK」のシンボルだ。




1階には『Bistro yen』とベーカリー『bank』が。そして地下には、カフェ&バーとインテリアショップ『coin』とフラワーショップ『fête』が。

そのすべてを大山さんがプロデュース。暮らしのさまざまなシーンを演出する。



Keicondo氏、Shoshi Watanabe氏など注目の陶芸作家の器が多く使われている上、その一部は階下で購入が可能。

4種類の業態をクルーズすれば、日常がランクアップするはずだ。


■店舗概要
店名:Bistro yen
住所:中央区日本橋兜町6-7
TEL:050-3595-0835
営業時間:ランチ 11:30〜(L.O.13:30)
     ディナー 18:00〜(L.O.21:00)
定休日:火曜、水曜
席数:カウンター7席、テーブル19席 ※昼は予約不可




東京で話題の店は、どこもかしこも実力が半端ない!

グルメ通なら絶対に押さえておくべきなのである。

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※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。