東急不動産/東急コミュ/ソフトバンク/日建設計がロボットフレンドリー環境構築の共同研究の成果発表 人とロボットの衝突防止など

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東急不動産、東急コミュニティー、ソフトバンクおよび日建設計は、ロボットのスムーズな運行を可能にするロボットフレンドリー(「ロボフレ」)な環境の構築に向けた調査研究として、ロボットの運用に影響を与える課題の整理、および施設・人・ロボットの観点における対策案を取りまとめた。
この取り組みは、経済産業省による補助事業「令和4年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の一環として採択され、4社共同で実施した。
●「施設」「人」「ロボット」の観点から課題を整理、対策選択肢を検討
少子高齢社会における深刻な労働力不足が懸念され、サービスロボット活用への期待が高まる昨今、オフィスビル等の施設内で人とロボットが安全かつ快適に共存できるロボフレな環境の実現が求められている。
今回実施した調査研究事業では、東急不動産が管理・運営する東京ポートシティ竹芝オフィスタワーを対象に、令和3年度の同事業で提案された評価指標「ロボフレレベル」を評価基準としてロボフレの実現に向けた課題整理を行い、各課題に対して、ロボットの導入を推進する対策の選択肢を検討を行った。

●「建築上の課題」と「運用上の課題」に課題を整理、実証実験も実施
課題については、点字ブロックや光の反射への対応といった「建築上の課題」(物理環境関連)、曲がり角や混雑する通路などで人と接触するといった「運用上の課題」(館内走行関連)のものに大きく整理。
こうした課題への対策案は、例えば、段差の解消やスペースの確保など施設側、警笛やルート設定の調整といったロボット側、走行エリアの制限や運用ルールの設定など人(運用)側の各観点で、採用のしやすさを踏まえた評価を行い、対策方針も含めて一覧化した。
●曲がり角で人とロボットの衝突を避ける実証実験
特に、運用に関する「人とロボットの共存実現」が大きな課題だったが、曲がり角における人とロボットの衝突を避ける実証実験なども行い、効果的な対策案も確認できたとしており、複数の観点から対策案をまとめることで、物理環境を変更しづらい既存の建物でもロボットの導入の検討を促進する。

今後はこの取り組みをさらに進め、ガイドラインなどを策定することで、ロボットの導入時における費用対効果の向上や導入ハードルの低下などが期待される。同時にロボフレなビルの仕様や運用について標準化を進めることも重要とし、共同研究を行った東急不動産や東急コミュニティー、ソフトバンク、日建設計は、今後もロボットに関わる多くの方々や経済産業省、ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)などの推進団体と共に、ロボフレな環境構築の実現に向けた取り組みを進めていくとしている。
●共同研究の事業概要

目的::
・ロボフレのレベル評価に基づく評価実施・利用者の安全確保や施設管理などの観点によるロボットの運用課題の抽出・施設、人、ロボットそれぞれの視点による課題解決案の検討
場所::
東京ポートシティ竹芝オフィスタワー(東京都港区海岸1-7-1)
期間::
2022年9月〜2023年3月
各社役割::
・東急不動産 プロジェクト管理、実施場所の提供、事業者目線での対策評価・東急コミュニティー 清掃・警備ロボットの運用課題の整理、課題解決案の実施・効果検証・ソフトバンク(一部の業務をアスラテック株式会社へ再委託) 配送ロボットの運用課題の整理、課題解決案の実施・効果検証・日建設計 ロボフレな環境の評価、物理環境因子の分析、課題解決案の検討