【確定申告】医療費控除の5大原則と注意点を公認会計士・税理士の山田真哉氏が解説
公認会計士・税理士の山田真哉が初心者〜中級者向けに、税金・ビジネス・投資・経済に関する情報や、ややこしい国の制度などを解説するチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」。今回の動画では、確定申告の医療費控除について、原則や注意点などを解説する。


この記事はYouTube配信「【完全版】本当はヤバい医療費控除。PCR検査は?漢方薬は?領収書紛失時は?確定申告2023【保険適用外/金歯・インプラント/ふるさと納税/明細書・e-Tax/セルフメディケーション税制大コケ】」から、ライブドア社の自動書き起こしツールによって生成されています。

公認会計士・税理士が医療費控除について解説


はい、公認会計士・税理士の山田真哉です。

もっとも活用され、かつ、もっともミスが多い確定申告第1位「本当はヤバい医療費控除 5大原則からe-Tax入力まで」です。




お送りする内容は、「医療費控除の5大原則」。

「予防接種は?」「前払いは?」「領収書を無くした場合は?」「タクシー代は?」「漢方薬は?」「医師指導のサプリ代は?」「PCR検査は?」「マスク代は?」。

最後、「e-Taxでやってみた」などについてお話して参りたいと思います。

というわけで医療費控除なんですけれども、医療費の領収書を集めて確定申告をすれば、誰でも簡単にお得に税金が返ってくるとお思いの方、たくさんいらっしゃると思います。

しかし、実際は特定の人に限られますし、難解だし、お得かどうかも実は分からないという。もっとも活用されてるんですけれども、もっともミスが多いというのが医療費控除なんですね。いや怖いですね。しかし、今日はその辺りをばっちり解説していきたいと思います。

医療費控除の5大原則


というわけで、まず最初は医療費控除の5大原則なんですけれども、5大原則言えますでしょうか?




まず、1つ目は「納税者還付」です。「納税者じゃないと還付されないよ」という性質のものです。なので、「もともと非課税だよ」とか「扶養に入っている側だよ」っていう方は、この医療費控除の対象外になります。どれぐらい還付されるかというと、その方の所得税率に応じて15〜55%返ってきます。




このチャンネルでは、お馴染みのこの税率表ですね。

5大原則の2つ目は「10万円基準」です。「10万円を超えた部分だけが医療費控除ですよ」というルールです。ただ、例外的に5%基準というのもあります。




では、実際に事例を見ていきますと、例えば年間の給与が500万円で年間の医療費が30万円だった場合は、10万円を超えた部分ですから20万円が医療費控除になって、そこから所得税と住民税の減税が発生しますので、最終的にはこの2つを合計して4万円税金が安くなります。

なので、医療費控除が20万円ですから、その約20%が返ってくるということですね。これが年間のお給料が200万円で、医療費が30万円だった方の場合ですと、医療費控除が5%基準という例外規定の方が発動します。所得金額が200万円を切った場合に発動するんですが、この場合ですと23万4,000円が医療費控除になります。所得税・住民税の減税があった結果、合計で3万5,200円の税金が安くなります。

なので、約15%還付されるということですね。これ、「自分は所得200万円前後だから、10万円基準か5%基準かよく分からない」って方も、e-Tax・国税庁の確定申告書等作成コーナーで、実際入力していただけましたら自動的に計算されますんで、あんまり「この基準どっちだろう?」っていうのは、気にされなくても大丈夫です。

続きまして、医療費控除の5大原則3つ目ですが「医療のみ」という点です。つまり、予防だったりとか美容は対象外です。なので、予防接種もですね、これは医療じゃないから対象外という判断になってます。けちくさいですね。

介護もだいたいダメです。だいたいダメというのは、認められているのもあって、例えば特別養護老人ホームの費用は介護なんですけど医療費控除に該当します。ただ、有料老人ホームの場合はダメなんですよね。要介護3とか4とか5でも、有料老人ホームだったらダメというね。この辺がちょっとややこしいんですよね。

続きまして、4つ目は「実額主義」という点です。つまり、実際に払った金額。保険が適用されて3割負担・2割負担、その実際に払った金額だけが医療費控除になるということです。なのでその後、保険金で補填されたよとか高額療養費でお金が戻ってきたよという方は、その額を引かなければいけません。この点は、また後ほど詳しく解説します。

治療は受けたんだけど、「まだ未払い」「今度行ったときにまとめて払う」という場合は、まだ医療費控除に入れてはいけません。12月31日までに払った分が医療費控除の対象です。

ここでちょっとややこしいのが、クレジットカードについては、病院でシュッってやった日。つまり、クレジットカード明細とかをもらった日で医療費控除に入れて大丈夫です。銀行引き落としの日は、先でも大丈夫です。

さらに、まだ治療は受けていないんだけど、前払いでお金払っちゃいましたという場合も医療費控除に入れて大丈夫です。

5大原則の5つ目が「家族合算」です。同じ財布の家族ならいいですよというルールです。つまり、奥さんも働いてるから扶養じゃないから奥さんとは別々にしなきゃいけないのかな?というのは関係ないです。

同居してるといった家族や仕送りしてるといった子供とか、そういったのもひっくるめて全員の医療費を足して、いちばん所得が高い方に医療費控除の確定申告をしてもらう。これが、いちばんお得な医療費控除になります。

ですから、「医療費は、嫁姑でも手を握れ」といった川柳があるように、普段仲が悪い嫁姑でも医療費控除の時だけは仲良くしましょうね、といった冬の風物詩が全国各地で行われている。それが確定申告なんですね。

医療費控除の5大注意点


続きまして、医療費控除まだまだ注意点もあるんです。5大注意点1つ目は「保険の適用外でも関係ない」です。




よく「これ、保険効かないんだよな」と、歯の治療で言うと銀歯とかインプラントとか、保険効かないからめっちゃ高いんだよなという場合は、保険は効かなくても医療費控除の適用範囲内にはなるんです。ただ、何百万といった高すぎるとダメという規定もあるんですけどね。




5大注意点の2つ目は「セルフメディケーション税制」です。

セルフメディケーション税制というのは、例えばバファリンプレミアムとかロキソニンSテープみたいな「スイッチOTC」っていうんですけど、こういった特定の医薬品を年間1万2,000円以上買った場合、それを超えた部分に医療費控除と同じような控除やりますよと。

例えば、レシートにもこういった★マークが付いてあって、★印はセルフメディケーション税制対象の医薬品ですよといったものを見たことがあるかもしれませんが、このセルフメディケーション税制の方が、医療費控除を選択するよりも有意な方もいらっしゃるんですね。どっちか選択制ですからね。

ただですね、このセルフメディケーション税制使っている方、現在1%未満です。医療費控除だいたい750万人くらいの方が毎年確定申告するんですけど、その中でも1%未満。

本当にもう廃止した方がいいんじゃないかと思えるぐらいダダすべっている税制のひとつです。なので、このレシートをいっぱい持ってるよって方は、ちょっと気をつけてください。

じゃあ、セルフメディケーション税制と医療費控除、どっちを選択すればいいんだと悩まれる方はですね、e-taxを使えば自動計算ができますので、詳しくは後ほど実際にe-taxを使って解説します。

注意点の3つ目なんですけども「ふるさと納税の影響はあります」。医療費控除が大きければ大きいほど、ふるさと納税をする枠はちっちゃくなっちゃいます。

それと、会社員とかの方で「ワンストップ特例」をやってらっしゃる方は、医療費がいっぱいある、じゃあ確定申告をしようとする際にワンストップ特例で頑張ってやったことも、確定申告するとそれって無効になるんで、もう1回ふるさと納税の情報を確定申告で入力する必要があります。このふるさと納税については、詳しくは過去の動画をご参照ください。

そして、5大注意点の4つ目は「医療費の領収書を紛失した時どうするか」という問題です。本当は、医療費の領収書を集めて、それを自宅に保管しなければいけないというルールなんですが、なくす時ありますよね?

その場合は、病院で支払額証明書やレシートを再発行してもらうのもいいですし、それが難しい場合は、振り込んだ場合は通帳、クレカを使った場合はクレジットカード明細を証拠として取っておく。

それらもない場合は、お薬手帳で証明するか、最悪、家計簿をちゃんとつけてるとか、病院に通ってる場合は、病院日記をつける。これも証拠になります。

税務所から言われた場合は、家計簿とか病院日記を出して、それで認めてもらうっていうのも不可能ではないですので、領収書を無くしやすいタイプの方は、こういうこともやってみてください。今なら領収書の写真を撮っておくっていうのもひとつありですね。




注意点の5つ目なんですけども「もらった保険金ややこしい」問題です。病気になります、怪我します、その時に保険金入ってきますね。その保険金を差し引いた額が医療費控除の対象になるわけですが、全部が全部差し引かなきゃいけないわけでもないんですね。

例えば、社会保険とか国民健康保険から支払われる高額療養費・出産育児一時金・療養費・家族療養費などは差し引かなければいけませんが、傷病手当金とか出産手当金は、仕事ができなかった分の補填なので、これらは差し引かなくても大丈夫です。

民間の保険会社から支払われる医療保険や入院費給付金・傷害費用保険金は引かなきゃいけませんが、がん診断給付金とか休職保険とか就業不能保険・所得補償保険は、引かなくても大丈夫です。

というわけで、こういった5大原則や5大注意点を踏まえて、具体的に「これは医療費控除になる・ならない」という話をしていきたいと思います。

医療費控除になる・ならないこと





というわけで、「医療費控除になる・ならない」ですが、まず病院で使ったお金、治療とか紹介状とか医療費控除になります。

ただ、診断書作成料とかは医療費控除になりません。入院の時は、入院費や病院食もちろん医療費控除の対象なんですが、個室とかの差額ベッド代は、原則対象外です。

ただ、お医者さんの指示があった場合は対象になります。パジャマとか洗面用具といったアメニティや病院の方々への謝礼といったものは対象外です。

通院とかの交通費なんですけども、電車やバスは認められてますが、タクシーとか自家用車のガソリン代・駐車場代は、なぜか認められていません。

タクシーや自家用車に関しては、プライベートの可能性もあるという理由でダメなんですけど、電車・バスもプライベートの可能性あるのになっていうのは、ちょっとよくわかんないとこです。

ただ、タクシーでも電車やバスで行くのが困難な場合、どうしてもタクシーを使わざる得ない場合は、医療費控除になります。この辺がどうも難解の部分なんですよね。

お薬に関してなんですけど、薬局で買う薬だいたい大丈夫です。傷テープや湿布薬も大丈夫です。セルフメディケーション税制の対象外でも、医療費控除だったら大丈夫です。

ただ、なぜか漢方薬店で買う漢方薬は原則ダメです、お医者さんの処方箋があったらOKです。じゃあ、お医者さんの処方箋とかがあったら全部大丈夫かと言われるとそうでもなくて、サプリメントに関しては、お医者さんの指示とかがあってもダメです。

メガネなんですけど、お医者さんの処方箋。白内障とか緑内障のために必要だという場合は、医療費控除になるんですけども、近視や遠視や乱視、これがもう、ど近眼とかであってもメガネはダメです。なぜならば、メガネは一般的に普及してるからっていう謎の理由でダメです。ただ、レーシックとか視力を上げる目の手術に関しては対象内です。




続きまして、治療のための温泉とか運動施設に関しては、お医者さんの証明書があれば大丈夫です。そして、治療目的の針とか灸・按摩マッサージは大丈夫です、医療費控除になります。ただ、あくまでも治療目的なので、美容鍼とかはダメです。普通のマッサージとかは、医療じゃないってことでダメです。

出産関係で言うと、入院費とか出産する時のタクシーとかは大丈夫ですが、里帰り出産するための旅費とかはダメです。

ここからちょっとまた変な話なんですが、健康診断とか人間ドックに関しては、お金を払ったタイミングでは医療費控除かどうかは実は分からなくて、診断をした結果、病気が発見されたら医療費控除。異常がなかった場合は医療費控除の対象外になります。異常がなかった場合は予防と同じ扱いになっちゃうんですね。

コロナ関係で言うと、医薬品とかはもちろん大丈夫です。ただ、PCR検査に関しては、先ほどと一緒で陽性反応が出たら医療費控除。陰性になったら医療費控除対象外です。

ただ、これもお医者さんとかの要請で「あなた、PCR検査を受けなさい」って言われた場合は医療費控除になります。マスクとかはダメです。マスクは予防扱いということになっているからです、といった感じでね。

これもあくまでも一例で、まだまだ「これどっちなんだろう?」っていうのは沢山あります。ですので、詳しくは国税庁のホームページを概要欄にリンク貼っておきますが、それでも分からないの沢山あると思いますので、もういざとなったら税務所に電話した方が早いです。

それでは、最後に「確定申告書作成コーナーe-Tax」を実際やってみたいと思います。

確定申告書作成コーナー e-Tax


というわけで、確定申告書作成コーナーなんですが、こちらの画面にどうやっていくかっていう話は、過去の動画でやっておりますので、よかったらこちらをご参照ください。




というわけで、医療費控除なんですが、上から2つ目こちらを「入力する」を押します。こちらで「医療費控除」か「セルフメディケーション税制」か選択することができます。

どちらを控除したらいいのか分からない場合は、こちらの「控除額を試算する」というボタンを押すと、こういう画面が出てきまして、例えば金額をこうやって入れて「判定する」を押すと、判定結果で医療費控除の方がいいですねっていうふうに出てきます。「戻ります」と。

では、今回は「医療費控除適用する」を押します。医療費のお知らせなどを入力する場合や「領収書から入力する」、「医療費集計フォームを読み込む」といった手段もあります。今回は、「領収書から入力する」をやってみます。「入力する」で医療を受けた方の名前、病院・薬局などの支払い先の名称、医療費の区分、支払った医療費の金額、補填金などがあるかと、こうやって「続けてもう1件入力」というところで、どんどんどんどん入力していく感じですね。

こうやって出てきますね、こんな感じですね。並んでいって「次へ進む」を押しますと、こちらの計算結果の確認画面になります。この場合ですと、医療費控除額が2,880円ですね。こちら「次へ進む」を押しますと、このように確定申告書にちゃんと反映される形になります。






というわけで、今回は医療費控除について取り上げましたが、他にもいろんな大事な控除もありますので確定申告関係、今後もどんどんアップしていきたいと思います。よかったら、チャンネル登録をしてお待ちいただけますと大変嬉しいです。

そして、現在は『ラジオ確定申告』を毎週日曜朝8時45分からラジオ関西というところで放送しております。過去のアーカイブもすべてAppleとかSpotifyといったポッドキャストで配信しておりますので、よかったらこちらもお聞きいただけると嬉しいです。今度、医療費控除の話もしようと思ってます。

というわけでこのチャンネルでは、税金・ビジネス・投資・経済のお得な情報とか、医療費控除のような本当はややこしい制度について、できる限り分かりやすく解説しようとしているチャンネルでございます。

よかったら、今後ともごひいきに。それでは、またお会いいたしましょう。バイバーイ。

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