中国はビットコインなどの仮想通貨取引を法律で禁じていますが、世界最大の仮想通貨取引所「Binance」には中国人ユーザーが大量に存在しています。海外メディアのCNBCがBinanceのコミュニティに潜入した結果、Binanceの従業員やボランティアが中国人ユーザーに対して居住地の偽装方法を指南している現状が明らかになりました。

Binance employees, volunteers tell users how to evade China crypto ban

https://www.cnbc.com/2023/03/23/binance-employees-volunteers-tell-users-how-to-evade-china-crypto-ban.html



中国政府は2021年6月に民間企業に対して仮想通貨の取り扱い禁止を指示しており、2022年2月には中国の最高人民法院が「仮想通貨の取引は違法な資金調達とみなす」という決定を下すなど仮想通貨取引を厳しく取り締まる姿勢を見せています。また中国では仮想通貨のマイニング行為も違法とされており、2021年7月〜8月頃には中国国内の総マイニング量が実質ゼロになっていました。しかし、中国国内には規制の目を掻い潜って仮想通貨取引やマイニングを行う人々が多く存在しており、2022年には中国国内の総マイニング量が世界2位にまで増加したことが報じられています。

仮想通貨マイニングが完全違法の中国で「闇のマイニング」が増加して中国のマイニング市場シェアが世界2位に浮上 - GIGAZINE



上記のように、中国では規制を逃れながら仮想通貨を取引する活発化しており、世界最大の仮想通貨取引所であるBinanceにも中国人ユーザーが数多くいます。Binanceのチャンポン・ジャオCEOは本人確認システムに10億ドル(約1300億円)規模の資金を投入したことを明かしていますが、中国人ユーザーは厳格な本人確認システムを回避してBinanceを利用していることになります。





しかし、Binanceが運営するDiscordサーバーやTelegramコミュニティにCNBCが潜入した結果、Binanceの授業員や「Angels」と呼ばれるボランティアが中国人ユーザーに対して本人確認システムの回避方法を指南していることが明らかになりました。

BinanceのDiscordサーバーで交わされていた会話の例が以下。「中国国内に居住する人がユーザー登録するにはどうしたらしいですか?」という問い合わせに対して、Binanceの従業員であるyaya氏が「VPNを用いて台湾居住者になりすます」「アメリカやシンガポール、香港の居住者になりすますことは避ける」「OutlookやGmail、Proton Mailなどの外国産メールシステムを使う」といった居住地偽装方法を案内しています。



CNBCがBinanceに上記の調査結果についてコメントを求めた結果、Binanceの広報担当者は「Binanceの従業員は、ユーザーに現地の法律や規制を回避する方法を指示したり支援したりすることを明確に禁じられています。この規則に違反した場合、当該従業員は解雇または監査の対象となります」と述べ、規制回避方法指南の事実を否定しています。