Windows 11に搭載されている「スマートフォン連携」から、SamsungのGalaxyシリーズスマートフォンのモバイルホットスポット機能をオンオフできるようになっている。これを使うと、スマートフォンを操作することなく、モバイルホットスポットを有効にでき、Windowsからどこでもインターネット接続が可能になる。これは、「インスタント・ホットスポット」と呼ばれている(日本語版ではインスタントWi-Fiスポットと表記されている)。

スマートフォン側で、ユーザーが操作して「Wi-Fiテザリング」をオンにすれば、どのスマートフォンでもWindowsからインターネット接続は可能になるが、いちいち操作するのはかなり面倒である。筆者も、これが面倒で、できるだけモバイルネットワーク機能を持つPCを買うようにしている。

すでにChromebookには、同様の機能「インスタントテザリング」があり、Androidスマートフォンを登録すると、スマートフォン側の携帯ネットワーク接続を使ってインターネットに接続できる。

Windowsの機能は、対象がGalaxyシリーズに限定されている。これは、独自のChromebookとは異なる仕組みを使うからと考えられる。かつてWindowsには、Windows Phoneで同様の機能があったのだが、Windows Phoneが絶滅したため、自動でネットワーク接続することができなくなった。

しかし、Windows 10世代では、モバイルネットワーク機能(Windowsではモバイルブロードバンドと呼ぶ)を内蔵したPCが増え、最近では、比較的簡単に手に入る。しかし、まだ、搭載機種は限定的で、使いたいノートPCがこの機能を搭載しているとは限らない。メーカーによっては、オンラインの直販サイトでしか手に入らないこともある。

インスタント・ホットスポットを動作させるためには、PC側はWindows 11 Ver.22H2で、無線LANとBluetoothが使えればよい。手元にある何機種かでためしてみたが、ARM64プロセッサをふくめ、Windows 11が動作する機種ならば利用は可能だった。

スマートフォン側は、GalaxシリーズのうちOpen UIのバージョンが4.1.1以上になっている必要がある。目安としては、Android 13になっていれば、Open UIのバージョンは5.0以上になっているはず。これは、事業者によりOpen UIのバージョンアップに対応するしないがあるからだ。筆者が調べた範囲では、ドコモのGalaxyシリーズは、AndroidのバージョンアップのタイミングでのみOpen UIがバージョンアップされる。逆にauなど他の事業者では、Android 13を待たずにOpen UIのバージョンが上がっているものもあったと聞く。

MicrosoftとSamsungは、スマートフォンの連携で協力関係にあり、他社にない機能が利用できる。このインスタントホットスポットもそうした機能の1つ。通常、モバイルホットスポットは、Androidのアプリケーションからは制御ができない。しかし、端末メーカー組み込みのソフトウェアであれば、この問題を回避できる。このため、インスタントホットスポットも他社のスマートフォンで利用できる可能性は低いと思われる。

筆者は、昨年末にドコモのFOMA契約を5Gに切り替え、Galaxy A23を入手した。この機種のOpen UIは4.1でインスタント・ホットスポットを有効にすることができなかった。しかし、2月末、ようやくアップデートが行なわれ、AndroidとOpen UIのバージョンが上がった。

設定は、スマートフォン、PCの両方で行なう必要はあるが、最初だけである。スマートフォン側は「Windowsにリンク」アプリの設定 ⇒ インスタントホットスポットをオンにする(もちろん、スマートフォン側で「Wi-Fiテザリング」が利用可能になっている必要がある)

PC側は、Windows 11の「スマートフォン連携」アプリの設定 ⇒ 機能 ⇒ インスタントWi-Fiスポットをオン(写真01)にして、WindowsのWi-Fi接続フライアウト(クイック設定で無線LANアイコン横の矢印ボタン)を開き、スマートフォンを探す。接続開始ボタンで、自動的にスマートフォン側のWi-Fiテザリングがオンになり、無線LANでの接続が可能になる。

写真01: 設定を行なうと、Windows 11のWi-Fiフライアウトに、スマートフォンのWi-Fiテザリングで設定したネットワーク名が表示されるようになる。アイコンがスマートフォンになっているときにはWi-Fiテザリングがオフになっているが、「接続」ボタンを押すことで自動的にスマートフォン側のWi-Fiテザリングがオンになる

インスタントホットスポットの切断は、Windows側から可能だが、Wi-Fiテザリング自体は、Android設定側で指定した時間でオフになる。設定 ⇒ 接続 ⇒ テザリング ⇒ Wi-Fiテザリング ⇒ 設定 ⇒ 詳細設定 ⇒ デバイス未接続のときにOFFにするまでの時間、で設定が可能。

使い勝手に大きな問題はないのだが、1つのスマートフォンを複数のPCに接続させて、切り替えていると、ときどき、「通話」機能のために、Bluetoothのペアリングを再度、行なおうとすることがある。しかし、すでにペアリングされていると処理が進まなくなる。この場合、PCとスマートフォンで、一度ペアリングを解除して「通話」を有効にさせるとうまくいく。

Galaxyシリーズのみで、ソフトウェアバージョンなどの制限はあるものの、設定や操作は簡単だ。手元に対応のGalaxyシリーズがあれば、PCは無線LANが使えてWindow 11 Ver.22H2でありさえすればよい。SIMフリーなどで安価に対応スマートフォンが手に入るなら、試してみる価値はある。

今回のタイトルネタは、ハリイ・ハリスンの「銀河遊撃隊」(原題Star Smashers of the Galaxy Rangers。1973)である。いま読むと、今のアニメ番組のような既視感があるが、それは逆で1960年台、70年台の英米のSF小説には大きな波が来ていて、その波が日本のアニメを押したのである。