日本にとって大損失、改善したい! ポケトーク社長 松田憲幸氏のビジネス向け新製品への思い

写真拡大 (全5枚)

ポケトークは3月14日に「ポケトーク事業戦略・新製品発表会」を開催し、法人向けの3製品を発表した。

今回、「ポケトーク for BUSINESS」ブランドとして
・同時通訳
・カンファレンス
・ムービー翻訳
これら3製品が発表された。
このうち同時通訳は既に発表されていたものだが、同日からWindows版の販売が開始された。


■新製品の主な特徴
それぞれの製品を簡単に紹介していこう。

「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」は、
オンライン会議や動画視聴時だけでなく、対面でも相手の話す英語を69言語の音声と字幕でリアルタイムに出力できるパソコン(PC)向けのソフトウェア。

翻訳した内容を自動で文字起こしができるため、議事録などの作成にも活用できる。

Windows版は3月14日に発売され、
価格(金額はすべて税込)は月額2,200円。
毎月30分は無料で利用可能。
4月16日までは時間制限なしの完全無料で利用ができる。
Mac版は近日発売予定。

「ポケトーク for BUSINESS カンファレンス」は、
セミナーやカンファレンスなどを開催する主催者向けのサービス。
来場者はスマートフォンなどで専用サイトにアクセスできるQRコードを読み取り、Webブラウザで接続すると、登壇者の音声がリアルタイムで翻訳される。
2023年夏頃に販売開始を予定している。

現時点では価格は未定ながら、
ポケトーク代表取締役社長 兼 CEO の松田憲幸(まつだ のりゆき)氏は、
プレゼンの中で既存のサービスは最低でも200万円程度の費用がかかるが、
「ポケトーク for BUSINESS カンファレンス」は、20分の1以下のコストで提供できると話している。
松田憲幸氏の言葉通りであれば、数万円から十数万円程度の価格となり、かなりのコストダウンが期待できる見込みだ。


「ポケトーク for BUSINESSムービー翻訳」は、
翻訳したい動画(映像データ)をアップロードすることで翻訳ができるサービス。
「ポケトーク for BUSINESS カンファレンス」同様に、Webサービスで販売開始時期は2023年夏頃になるという。
価格も未定だが、松田憲幸氏は30分の動画で最低でも90万円ほど必要なコストが、ムービー翻訳では30分の1以下で提供できそうであることをプレゼンで話しており、こちらも言葉通りであれば3万円以下になる見込み。


法人向けの新たな製品を発表


なお、ポケトーク for BUSINESSにおける音声認識エンジンには、ChatGPT(チャットジーピーティー)で大きな注目を集めているOpenAI(オープンエーアイ)の音声認識モデル「Whisper(ウィスパー)」を採用していることも発表された。これにより、音声認識の精度向上や翻訳・発話時の正確性も向上しているとのこと。


■日本における損失を大きく改善
松田憲幸氏は発表会の質疑応答の中で、今回の新製品「ポケトーク for BUSINESSカンファレンス」について、体験すれば「感動いただけると思う」とした上で、大人数の会議での同時通訳には多額のコストが必要であることを指摘した。

これまでの大規模なイベントや大人数の会議では、多くの機材が必要で、来場者用のレシーバーも多数用意しなければならない。
さらにレシーバーは紛失した場合は、1台あたり3万7千円程度かけて弁償しなければならないそう。
もちろん利用する業者や機材により金額の上下はあるにせよ、従来サービスでは多額のコストが必要なのは間違いない。

そのため、主催者側も外国人を呼ぶことをやめたり、躊躇(ちゅうちょ)するケースも多くあるという。このため本来やりたいことの10分の1もできていないのだという。

松田憲幸氏は、
「外国人を1人呼ぶと、それだけで数百万円かかるから呼ぶのをやめようと(主催者が)断念している」
「これは日本にとって大損失だなと思っています。それを改善していきたいというのがこのポケトーク for BUSINESSカンファレンス」
と、製品への思いを語った。


質疑応答の登壇者。一番左が松田憲幸氏


発表会場で実際に「ポケトーク for BUSINESSカンファレンス」を試すことができた。取材記者らが来場者となり、外国人のプレゼンを聞くというシチュエーションだ。

あらかじめ用意されたQRコードをスマートフォンで読み込み、専用のURLにアクセスするだけだ。イヤホンやヘッドホンも普段利用しているものをスマートフォンに接続するだけでよい。音声読み上げのオン/オフ切替はワンタップで可能だ。


来場者は手持ちのスマートフォンでQRコードを読んでアクセスするだけ



アクセスした専用サイトではテキストでの翻訳や各種設定の操作が可能


受付でレシーバーの受け渡しや回収はもちろん、装着に手間取ってしまいがちなレシーバーのイヤホンではなく、使い慣れているイヤホンを使えるのは来場者的にとっても大きなメリットだ。

一方、主催者側においては、たくさんの機材やオペレーションのための人材なども必要なくなり、大幅にコストカットできるのは明らかだ。

ポケトーク for BUSINESSは、今後注目するべきサービスだといえるだろう。


S-MAX:ポケトーク 事業戦略・新製品発表会 - 「ポケトーク for BUSINESS」ブランドの「同時通訳」「カンファレンス」「ムービー翻訳」(2023年3月14日)【プレゼン】



S-MAX:ポケトーク 事業戦略・新製品発表会(2023年3月14日)【質疑応答】



外国語での会議に、「ポケトーク同時通訳」|POCKETALK(ポケトーク)



執筆:S-MAX編集部 2106bpm