社会人になって使う機会が一気に増えたと感じるもののひとつが“有線イヤホン”。職種にもよりますが、リモート会議や研修動画の視聴など、活躍の機会が意外と多く、筆者は自宅・会社・通勤用カバンにそれぞれ1本ずつ用意しています。

完全ワイヤレスイヤホンも持ってはいますが、バッテリー残量を気にしたり、会議中にPCとの接続が切れたりしないか気にしたくないのと、ヘッドホンは重さで疲れてしまって長時間の会議に向いていないことから、筆者は必ず有線イヤホンを使うようにしています。

ズラッとならぶ有線イヤホン。「有線イヤホンなんて全部一緒でしょ? リモート会議にちょっと使うだけだからなんでもいい」と考えている人も多いのではないでしょうか?

そんな筆者ですが、新人研修にイヤホンが必要なことを直前に知り(お知らせを見逃していただけですが……)、急いで近くのコンビニで購入した過去があります。耳の形に合わないほか、マイク品質・音質がイマイチのイヤホンで受けた研修は集中しづらかったです。

新社会人に同じ轍を踏まないでほしいと思い、イヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」へ。筆者が考える、仕事に適した有線イヤホンの最低条件は「マイクを搭載していること」と「ステレオミニプラグを備えていること」の2つ。この条件を満たしつつ、1,000〜7,000円台で買える「+αの価値がキラリと光るイヤホン」を探しました。オススメの5本のほかにバリエーションモデルや、e☆イヤホンで見つけたユニークな製品も紹介します。





e☆イヤホン秋葉原店 本館へ行ってきました

e☆イヤホン 広報室 室長の三友卓哉氏(左)と、WEB本店 店長の東谷圭人氏(右)。有線・マイク搭載・ステレオミニプラグのイヤホンから「+αでメリットがあるもの」という無茶な要望にも応えていただきました

寝ながら聞いても耳が痛くならない、ADV.「Sleeper」

まずは宮地商会M.I.D.が取り扱うADV.ブランドの製品「Sleeper」。e☆イヤホンでの販売価格は1,980円とかなりお手ごろなイヤホンです。入力は金メッキのステレオミニ、ケーブルにワンボタンのインラインリモコンマイクを備え、まず筆者が求める仕事用としての最低条件はクリア。

Sleeper/ピンク

最大の特徴は名前の通り、睡眠に適しているところ。丸みを帯びたシリコンボディのハウジングとイヤーピースが一体化していて、耳を布団やまくらに押し付けて寝転がったときの圧力を軽減します。

実際に触ってみると、ハウジングのシリコンが意外と厚く、軽く触っただけだと固めのグミを触っているような感触。強く押すと内部に固いユニットがあることがわかりますが、イヤーピースからハウジングまでどの角度から触っても柔らかいです。

装着したところ、イヤホンが柔らかいので耳にしっかりフィット。耳への違和感が少なく、長時間のWeb会議・オンライン授業・出張の移動時間にもよさそうです。試しに手のひらで耳に圧力を掛けてみると、痛みや違和感をまったく覚えず、まさにストレスフリーでした。





2021年10月に登場した新機種「Sleeper Loop」。価格は2,574円(e☆イヤホン販売価格)とSleeperより若干上がっていますが、フラットな形に改良してフィット感を高めたほか、リモコンマイクにスライドボリュームを追加して音量を調整しやすくしています。また、ループ状になっている部分にステレオミニプラグを通すことでケーブルをまとめられる機能も新しく備えました

ピエール中野チューニングのHi-Unit「HSE-A2000PN」

続いては、Hi-Unitの有線イヤホン「HSE-A2000PN」。ロックバンド「凛として時雨(りんとしてしぐれ)」のドラマーであるピエール中野氏が音質をチューニングした有線イヤホン「HSE-A1000PN」の第2弾モデルです。e☆イヤホンでの販売価格は3,960円。

「HSE-A2000PN」

グラフェンコート振動板を採用した8mm径ダイナミック型ドライバーや、アルミ削り出しのハウジングといった基本仕様はベースモデルの「HSE-A2000」を踏襲しつつ、チューニングの変更に加えて1ボタンタイプのマイクを追加し、Web会議などでも使いやすくなっています。

着用イメージ

音を聴いてみたところ、ロックバンドのドラマーがチューニングしただけあって、メリハリの利いた印象でした。厚みのある低音からクリアな高音までキレイに聴こえ、3,000円台のイヤホンとは思えない良い音がします。ビジネス用のみとして使うにはもったいないと思うほど、音楽鑑賞に適した製品です。

「HSE-A2000PN」はサンリオのキャラクター「キキララ」とのコラボレーションモデルもラインナップ。キキララのかわいらしいイラストがハウジングにプリントされているほか、カラーがグリーンとピンクに色分けされ、左右がすぐに見分けられます

仕事帰りのジムで使える、JBL「ENDURANCE RUN 2 WIRED」

3本目はハーマンインターナショナルが取り扱う、JBLブランドのスポーツ向けイヤホン「ENDURANCE RUN 2 WIRED」。e☆イヤホンでの販売価格は2,475円です。IPX5相当の防水性能を備えているため、悪天候の日のジョギングや、ジムなど室内で汗をかくときもガンガン使えます。

ENDURANCE RUN 2 WIRED

ハウジングは独特な形で、激しい運動でも耳から抜け落ちにくく、高い装着感を実現する「ツイストロック」構造。ソフトシリコン素材のイヤーチップで長時間の着用でも快適に使用できるため、リモート会議が長引いても安心です。

独特なハウジング形状

イヤホン本体をひねりながら実際に装着してみたところ、密閉感が強めで耳の形にしっかりはまったため、抜け落ちることはまずなさそう。その分、周りの音もしっかり遮断するため、話しかけられても気づけなさそうです(リモート会議中に話しかけられることはほぼないですが……)。

ステレオミニプラグの角度も独特

ゲームでも活躍!懐にも優しいJBL「Quantum 50」

4本目も同じJBLブランドで、ゲーミング向けオーディオ製品シリーズ「JBL Quantum」のインナーイヤーイヤホン「JBL Quantum 50」。e☆イヤホンでの販売価格は2,844円です。

JBL Quantum 50

ゲーミング用音響技術「JBL Quantum SOUND シグネチャ」を搭載し、ゲーム内のかすかな足音から爆発による轟音までリアルに再現。迫力ある低音とプレイ中に重要な些細な音を漏らさず再生することで、より高い没入感を体験できるといいます。

ケーブル途中にはボイスフォーカスマイクと、音量調節・着信応答できるマルチファンクションボタン付きコントローラーを装備。手元でサッとミュートにできるスイッチがコントローラーについている点も好印象でした。

ケーブルの途中にはボリューム調節、ミュートボタンを備えるインラインコントローラーと、より口元に近い位置にボイスフォーカスマイクを搭載します

ハウジングは3本目に紹介した「ENDURANCE RUN 2 WIRED」と同じツイストロック構造を採用。長時間の会議やゲームでも耳が疲れにくいです。

試聴したサウンドは低音が強めの印象。今回、音楽以外に通話などの声は聞けませんでしたが、一般的にゲーミングイヤホンはゲーム中のボイスチャットに使われることが多く、人の声をより聞き取りやすい設定になっているといいます。ビジネス用途にも使う場合、人の声を聞き取りやすい点はかなり大きなメリットですね。

ゲーム・仕事・音楽・映画をこれ1本で! final「VR3000 for Gaming」

ゲーミングイヤホンでもう一歩背伸びしたい人には、finalが自社ブランド・finalの製品として扱っている「VR3000 for Gaming」という選択肢もあります。e☆イヤホンでの販売価格は7,980円。

VR3000 for Gaming

元々VRゲーム用につくられた製品で、「トランスペアレントな音」(立ち上がりが速く空間に音が浮かぶような感覚の音で、遠くに定位する音が明瞭である音)を追求したドライバーユニット「f-Core DU(エフコアDU)」を搭載しています。

元々VRゲーム用に開発されたイヤホン

実際に聴いてみると、とにかく広がりのあるサウンドが楽しめます。仕事とゲーミング用途はもちろん、音楽や映画でも迫力ある体験ができそうです。ゲームや仕事、音楽、映画などを1本で完結させたいという欲張りな要望にもしっかり応えてくれます。

なお、イヤホンの付け方は、耳の後ろにケーブルを回して装着する“耳掛け式”。ケーブルが衣服にこすれて発生するタッチノイズを軽減でき、移動中なども快適に音楽を聴ける点がメリットです。

以上、仕事に役立ちつつ+αの価値が光った有線イヤホンをさまざまご紹介しました。新しく仕事にイヤホンが必要となる人は、直前に適当に買うという未来だけは回避したいところ。趣味に合わせて、音楽・スポーツ・ゲーミングにも役立つ有線イヤホンを選んでみてください。

会社用のスマホに接続する機会が多い人はiPhoneなどのスマホに直結できる、ラディウスの有線イヤホン「HP-NEL12」「HP-NEL12C」も便利です(写真はHP-NEL12)。イヤーピースがなく、圧迫感を抑えて周囲の音も聴けるインナーイヤー型で、長時間利用でも耳の負担を減らして聴けるといいます(e☆イヤホン販売価格:2,750円)

Lightning接続のモデルと、USB Type-Cのモデルを用意





ここからは番外編。SHURE(シュア)の「AONIC215」(e☆イヤホン販売価格:15,400円)。今回は1万円を超えることから番外編となりましたが、あまりにもサウンドが良く、筆者の財布と相談して購入。東谷店長には「オーディオ沼の入口へようこそ」と言われてしまいました

SHUREのリケーブル用ケーブル(別売品。3,980円)

こちらも番外編。取材時に見つけた、e☆イヤホンで扱っている有線イヤホンの中でもっとも高価だというNoble Audio(ノーブルオーディオ)「VIKING RAGNAR Damascus」です。取材時の価格は65万8,900円! 新社会人のビジネス用にオススメできるモデルではありませんが、試聴だけでも至高の体験が楽しめます

番外編の2本は耳掛け式。VIKING RAGNAR Damascusはマイクを搭載していませんが、別売のマイク付きケーブルに交換できます