インターネットに公開されている画像には、透かしとして小さな図案や文字が「ウォーターマーク」として入っていることがあります。このウォーターマークは画像の著作権表示などに使われていますが、このウォーターマークをAIの力で画像からキレイに消し去るウェブアプリ「Watermark Remover」が登場して議論を招いています。

Watermark Remover - Remove Watermarks Online from Images for Free

https://www.watermarkremover.io/

Watermark Removerはこんな感じ。「Upload Image」をクリックして、ウォーターマーク入りの画像を選択します。なお、読み込める画像のファイル形式はPNG・JPEG・WEBPで、画像解像度は2400×2400ピクセル以内となっています。



画像を選択すると、サーバーに画像がアップロードされます。



アップロードが終わるとアカウント登録をうながされますが、右上の×アイコンをクリックすればスキップできます。



左が読み込んだ画像で、右が処理した後の画像。「Download Image」をクリックすると、除去処理した画像をダウンロードできます。



実際にどれだけキレイに除去できているのかを見比べるため、ウォーターマークが入っている画像(左)と除去処理後の画像(右)を並べたのが以下。スライドバーを左右に動かすことで簡単に比較できます。実際に見比べると、ウォーターマークはかなりキレイに除去されており、修正した跡が変にゆがんでいるといったところも見当たりません。



背景に複雑な模様が写った写真で比較してみました。陰影にごくわずかな差は生まれていますが、まったく違和感なく処理ができています。



もっと色濃く透明度が低いウォーターマークを入れた画像(左)をWatermark Removerで処理してみた画像(右)と並べてみたのが以下。ネコの毛並みにもゆがみはなく、キレイサッパリとウォーターマークが消えてしまっています。



当然ながら、画像からウォーターマークを完全に削除するWatermark Removerは、ShutterStockやGetty Imagesのような有料素材サービスにとっては著作権侵害の温床となるようなアプリであり、さまざまなウェブアプリやウェブサービスを紹介するProductHuntに取り上げられて以来、著作権保護をめぐる議論を引き起こしています。

デザイナーであるトビアス・ヴァン・シュナイダー氏は「もう本当にわかりません。私たちはどこに向かっているのでしょうか?」と疑問を投げかける一方で、ProductHuntが取り上げたのはそれだけユーザーの関心が高いからだと述べ、著作権やプライバシーに関する倫理的な線引きがあいまいになってきていると批判しています。



一方、Watermark Removerの開発者はFAQの中で、「透かしを取り除いた画像を商業目的で使う場合は、元の画像の所有者の同意または承認を得る必要があります」と述べ、Watermark Remover自体は合法的であるという姿勢を示しています。