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2022年は9233台を販売

1月10日にランボルギーニ本社から発表された2022年の営業結果によれば、前年比で10%増となる9233台が世界にデリバリーされ、過去最高記録を樹立した。

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ランボルギーニの成長は今に始まったものではない。


販売の大半を支えるのがSUVの「ウルス」。日常使いもできるモデルとあって富裕層の支持を得た。新たに高性能バージョンの「ウルス・ペルフォルマンテ」がシリーズに加わり、今後さらに記録を伸ばすか。    ランボルギーニ

1999年にVWグループのアウディ傘下に入り、弱点だった信頼性の低さを克服し、ようやく本来のポテンシャルで勝負できる企業に変わったからだ。

2000年に296台だった年間総販売台数は、2003年には大台を超える1305台に達する。その後、右肩上がりの成長を遂げ、2008年には2430台、2015年に3245台に至った。

大きな変革点となるのが、初のSUVモデルの「ウルス」が2018年に加わったことだ。好評を持って受け入れられ同年は5750台へと急拡大し、2019年は8205台へと急伸する。

2020年はパンデミックの影響でラインが止まる事態から7430台に減らすものの、周到に計画された2021年になるとコロナ前を上回る8405台へと盛り返した。

拡大するSUV市場 1番売れている国は?

2022年は全世界の販売台数が9233台を記録し、前年比で10%増となった。モデル別で見るとウルスが予想通り全体の約6割となる5367台(2021年比7%増)を占めている。

ベントレー・ベンテイガにより誕生したプレミアムSUVカテゴリーは、ウルスに続きロールス・ロイス・カリナンも加わって確立され、現在も好調なセールスを記録しているのだ。


2022年のランボルギーニの業績一覧。EMEA(欧州/中東/アフリカ)は前年比7%増。アメリカは10%増。アジアは実に14%のプラスを記録している。全地域で過去最高を更新した。    ランボルギーニ

そしてフェラーリ・プロサングエの登場により、スーパースポーツの覇権争いがプレミアムSUVに持ち込まれた。ウルスも高性能バージョンの「ウルス・ペルフォルマンテ」で対抗するなど、さらにマーケットが拡大する気配だ。

なお、ウラカンは3113台(同20%増)と変わらぬ人気の高さを示している。アヴェンタドールは2022年9月に生産を終えたが、前年とほぼ変わらぬ753台がデリバリーされた。

国別の販売台数トップ5の順位は前年と変わらず、アメリカが2721台(前年比10%増)で首位をキープし、中華圏-本土・香港・マカオは1018台(同9%増)で続く。

3位のドイツは808台(同14%増)、イギリスが650台(同15%増)、日本は546台(同22%増-伸び率はトップ)で5位の座を堅持した。

日本での登録台数も急伸している。日本自動車輸入車組合(JAIA)の記録によればランボルギーニが統計に初めて登場するのは1988年で、その台数は僅か21台だった。

その後100台の壁を越えたのは2004年だった。ウラカンが加わった2015年に349台に伸ばしたのを契機に、コロナ禍前の2019年まで右肩上がりの成長を遂げる

2022年の登録台数は571台(JAIA発表値、並行モデルの新規登録分を含む)で、2021年の457台から24.9%増という好結果を記録してみせた。

戦略のうまさ 富裕層の動向も追い風に

右肩上がりの成長を遂げてきたランボルギーニだが、その理由を探ってみた。もちろんウルスの存在は大きいが、スーパースポーツ・モデルを育ててきたことも見逃せない。

それに“戦略的な展開”も的を得ている。


V10モデルのウラカン・シリーズには、ドライビングの楽しさを追求した「ウラカン・テクニカ(写真)」が加わったほか、オフローダー風に仕立てた「ウラカン・ステラート」も登場。新たな需要を掘り起こす企画力も見ものだ。    ランボルギーニ

ウラカン・シリーズを例に挙げると、進化版の「エボ」、公道を走るレーシングモデルとして開発された「STO」、操る楽しさを追求した「テクニカ」を送り出してきた。

さらにはデリバリーこそ2023年になるがオフローダーの「ステラート」と、思わず手を出したくなる魅力的なモデルたちを、適切な間隔とタイミングで投入してきた“戦略の巧妙さ”も見逃せない。

隠れた要素としては、子供の頃にスーパーカーブームの洗礼を受けた世代が、晴れて長年の夢であったランボルギーニを手にするようになったことも要因の1つといえる。

ここ数年は世界的な低金利政策に端を発するマネーゲームにより、富裕層が資産を増やし、ラグジュアリー・クラスのクルマに注目したことも追い風となった。

このようにすべてがうまくかみ合ったからこそ、快進撃を続けているのである。来る電動化にも正面から取り組み、ランボルギーニの成長戦略は、まだ序章に過ぎないのである。