今回のテーマは、現代人にありがちな「不眠」。長時間寝ているはずなのに日中も眠気が強い人や、身体の疲れが取れにくいという人、もしかすると熟睡できていない可能性が……。そこで、熟睡へと導くために、眠る前に気を下ろす「気下降功」を取り入れてみて!きちんと身体が眠れているのか、簡単な動作でできるセルフチェックも紹介します。集中力、思考力を高める土台作りのためにもしっかりとした睡眠を。気功のレクチャーは、鍼灸院「アキュサリュート高輪」院長の瀬尾港二先生。イラストはお笑いコンビ蛙亭の中野さんです!目次「不眠」に要注意!熟睡するために取り入れたい気功まず不眠は、以下のケースが挙げられます。(1)寝つきが悪い(2)中途覚醒(3)早朝覚醒(4)熟眠障害(1)〜(3)は自分で「眠れていない」という自覚があるので改善に向かいやすいそうですが、この中で特に注意なのは(4)の「熟眠障害」。7〜8時間とたくさん睡眠をとっている人でも起こりうる症状です。睡眠時間自体は長いので"睡眠不足の状態に気がつかない”。けれど、熟睡できていないために身体の疲れが取れず、朝からだるさを感じるなど、いわゆる「隠れ不眠」の人が増えているんです。不眠は倦怠感を引き起こし、意欲や集中力を低下させる可能性も。めまいや食欲不振といった身体の症状にもつながり、寝ても寝ても身体が休まらないことで「鬱」とも結びつきやすいのだとか。つまり、心身に支障をきたす前にケアしていくことが大切です。簡単にできる“不眠セルフチェック”を睡眠がうまくとれていない人は、呼吸が浅くなっている場合が……。これらに当てはまる人は要注意。眠れていると思っていても、朝から疲れてしまっていませんか?■左右の乳頭と乳頭の中間にあるツボ「膻中(だんちゅう)」を押すと痛い■右側のお腹にハリがある■右ひざの右側にあるツボ「陽陵泉(ようりょうせん)」を押すと痛い現代人は、スマートフォンの影響などで毎日目にする情報量が圧倒的に増えています。交感神経が上がった状態で、眠るときにしっかり下げられていないのが不眠の大きな要因に。コロナ禍でテレワークも増え、仕事とプライベートのメリハリがつきにくいというのも原因のひとつでしょう。そこで、意識的に交感神経のスイッチを切るために気功を活用するのがおすすめです。今回は瀬尾先生に、より深く眠るために「気」を下へと下ろし、身体の力を抜いてリラックスさせる「気下降功」をレクチャーしてもらいます。寝起きなど、気合を入れたいときには反対に「気」を上げる「気上昇功」を試してみてください! 眠る前に行う気功その1「気下降功」をレッスン気功を始めるために、基本姿勢である「肩幅の取り方」を覚えましょう。■基本姿勢・肩幅の取り方(1)立った状態でかかとを合わせ、かかとの内側が直角になるようつま先を開く。(2)つま先を支点にかかとの位置を平行に開く。■気下降功(1)足を肩幅に開く(基本姿勢・肩幅の取り方参照)。(2)手のひらを下側に向け、鼻で息を吸いながら素早く腕を頭上に上げる。(3)鼻で吸って、口でゆっくりと息を吐きながら上げた腕を下ろす。(2)〜(3)を繰り返し行う。気下降功のポイント・目は開けていても閉じていてもOK。・体内の気が下に降りていくようなイメージで行う。 眠る前に行う気功その2「気左右下降功」■気左右下降功(1)肩幅の1.5倍程度に足を開く。(2)口で息を吐きながら右足に重心を乗せる。(3)左足のかかとを上げながら素早く鼻で息を吸って、
ゆっくりと口から吐きながらかかとを下ろすように左足に重心を乗せる。(4)反対も同様に、右足のかかとを上げながら素早く鼻で息を吸って、
ゆっくりと口から吐きながらかかとを下ろすように右足に重心を移す。(5)自分の体の気が足の裏から出ていくイメージで繰り返し行う。気左右下降功のポイント・全身を使いたい場合は、足の動作だけでなく手の動作も加える。・手のひらを下側に向け、息を吸うときに上げ、吐くときに下ろす。 寝起きや気合を入れたいときに行う気功「気上昇功」■気上昇功(1)足を肩幅に開く(基本姿勢・肩幅の取り方参照)。(2)手のひらを上側に向けて、ゆっくりと息を吸いながら頭上に腕を上げる。(3)息を吐くときは解放するように、手のひらは上を向いたまま素早く腕を下ろす。(2)〜(3)を繰り返し行う。気功は広い場所も必要なく、短時間でできるので、すぐに取り入れられるのが嬉しいポイント。特に眠る前に行う気功「気下降功」は、3ステップととても簡単です。熟睡して日々を心地よく過ごすために、仕事をスムーズに行うために、ぜひ取り入れてみてください。