2022年10月27日にイーロン・マスク氏がTwitterを買収して以降、同社のCEOやCFO、従業員の約半数、さらには4400人の契約社員までもが解雇されています。そんなTwitterの大規模人員整理の中で、マスク氏のツイート内容が間違っていると指摘したエンジニアが解雇されたことが明らかになりました。

Elon Musk Publicly Punishes Twitter Engineers Who Call Him Out Online - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-11-14/musk-publicly-punishes-twitter-engineers-who-call-him-out-online

Elon Musk says he fired engineer who corrected him on Twitter - The Verge

https://www.theverge.com/2022/11/14/23458247/elon-musk-fires-engineer-correcting-twitter

Twitter engineer calls out Musk for technical incompetence • The Register

https://www.theregister.com/2022/11/14/musk_twitter_rpc_spat/

Elon Musk appears to fire software engineer who argued with him on Twitter

https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/elon-musk-appears-fire-software-engineer-argued-twitter-rcna57170

事の発端となったのは、2022年11月14日にマスク氏が投稿した以下のツイート。ツイートの内容は「ところで、多くの国でTwitterの動作が非常に遅いことをお詫びします。アプリはホームのタイムラインをレンダリングするためだけにバッチ処理が不十分なRPCを1000回も実行します」というもの。





マスク氏の上記ツイートに反論したのが、6年間にわたりAndroid版Twitterアプリの開発に取り組んできたというエンジニアのEric Frohnhoefer氏。同氏は「マスク氏のツイートでの指摘は間違っている」と指摘していました。





マスク氏はメディアの報道に対してTwitter上で「この報道は間違っている」とたびたび指摘してきた過去があるため、Frohnhoefer氏もこれに倣ってツイートを投稿したものと思われます。





これに対してマスク氏は、「それでは私の指摘を訂正してください。正しい数字はいくつでしょう?」とリプライ。





Frohnhoefer氏は、TwitterアプリはRPCを全く使用しておらず、代わりにアプリ起動時に約20回のバックグラウンドリクエストを実行すると説明。すると、マスク氏は「誰かがTwitterアプリを使うと、最大で1200もの『マイクロサービス』が呼び出されていることに気づかないということは、あまりいいことではありません」とツイートし、謎の呼び出しが最大1200回も行われていると指摘。これに対してFrohnhoefer氏は、「実際に呼び出しされるサービスの総数を数えたことはありませんが、ホームタイムラインを生成するために必要な数は1200よりも200に近いです」と返答しています。





マスク氏とFrohnhoefer氏のTwitter上でのやり取りはかなり乱雑で、複数のスレッドにまたがっているためすべてを時系列で追うことはかなり困難です。しかし、このやり取りの中でマスク氏はFrohnhoefer氏に対して、「Android版Twitterアプリの動作の遅さを修正するために個人的に何を行ったか」を尋ねており、これに対してFrohnhoefer氏は不要な機能の削除やアプリの動作を妨げているシステムの再構築などを提案しています。ただし、マスク氏はこのツイートに返信していません。





加えて、Frohnhoefer氏はマスク氏に対して、アプリを公然と非難するのではなくSlackなどを使って非公開の場でエンジニアチームに指摘すべきだったとツイート。





すると最終的にマスク氏は「彼は解雇されました」と一方的にツイートし、Frohnhoefer氏を解雇したと言及。





なお、マスク氏の最初のツイートに対しては、Twitterのタイムラインインフラストラクチャーを構築したという元テクニカルリードであるBen Leib氏が、「この男が自分が話している内容を全く理解していないと自信を持って言えます」とツイートし、技術的に間違った指摘であると言及しています。





TwitterのコアAPIプラットフォームチームで共同技術責任者を務めたSasha Solomon氏は、「インフラ関連のほぼすべてのスタッフをレイオフしたあげく、バッチ処理の方法についてまで生意気な発言をしてますね。GraphQLがどのように動作するかちゃんと勉強しましたか?」「一度解雇したスタッフの再雇用に奔走している間、それが何をするものなのか分からないなら、私たちのインフラに文句をつけないでください」とツイートしています。なお、Solomon氏もFrohnhoefer氏同様解雇されていますが、マスク氏により直接解雇されたのか否かは不明です。





また、マスク氏によるFrohnhoefer氏を解雇したツイートに対しても、「これはTwitterのコードベースを理解した主要開発者を解雇するという大胆な動きです。イーロンは私がこれまでに見てきた中で最も無能で有毒なソフトウェア集約型システムの管理者です」という指摘が行われています。





なお、マスク氏は経済紙のForbesに対して「TwitterがFrohnhoefer氏を会社のコンピューターから締め出すのに約5時間かかった」と語っており、Frohnhoefer氏はThe Vergeに対して「解雇について人事チームから何も連絡を受けなかった」と語っています。また、Frohnhoefer氏はTwitter上にログインできなくなったMacの写真を投稿しており、突如社内システムにアクセスできなくなったことを示唆しています。