経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は酸素が結合しているヘモグロビンの割合のことで、呼吸の指標として使われています。Apple WatchをはじめとするスマートウォッチにはこのSpO2を測定する機能が搭載されているモデルが多くあり、定期的にチェックすることが可能です。そのApple WatchのSpO2測定機能は、医療用のSpO2測定機器であるパルスオキシメーターと比較しても同じくらい信頼できるという研究が発表されました。

Commercial smartwatch with pulse oximeter detects short-time hypoxemia as well as standard medical-grade device: Validation study - PubMed

https://doi.org/10.1177/20552076221132127

How reliable is the Apple Watch's blood oxygen sensor?

https://9to5mac.com/2022/10/25/apple-watch-blood-oxygen-study/

チェコ工科大学生物医学工学部生物医学工学科の研究チームは、SpO2を測定する市販のスマートウォッチが、医療用のパルスオキシメーターと比較してどれだけ低酸素血症を検出できるのかを調査しました。研究チームは、24人の健康な被験者の左手首にApple Watch Series 6を、左中指に医療用パルスオキシメーターであるMasimo Radical-7を装着させました。

さらに、研究チームは被験者に非再呼吸マスクを装着させ、まず最初の2分間に周囲の空気を吸入させてから、次の5分間に酸素混合率12%という低酸素ガスを吸入させ、SpO2を低下させました。そして、最後に再びSpO2が正常値に戻るまで周囲の空気を吸入させました。SpO2の測定はApple WatchとMasimo Radical-7の両方で、30秒間隔で行われました。

この結果、Apple WatchとMasimo Radical-7でSpO2の値はすべてのデータポイントについて偏りが見られなかったとのこと。Apple WatchとMasimo Radical-7の測定値の差は、SpO2が90%〜100%の範囲で6%以内、SpO2が90%未満で8%以内と予想されましたが、実際の結果もこの予想範囲内に落ち着いていたそうです。

以下が実際に測定されたデータを、縦軸SpO2・横軸時間のグラフに示したもの。実線がApple Watch、点線がMasimo Radical-7の測定結果で、ほぼ同等の精度でSpO2を検出できていることがわかります。



これはつまり、Apple Watchも医療用パルスオキシメーターと同等のレベルでSpO2の低下状態を確実に検出可能であるということ。研究チームは、「Apple Watchに使用されている技術は、病院外でもSpO2を測定するのに十分なほど高度です」と評価しました。