『ハイキュー‼』×V.LEAGUE
コラボマッチイベント DAY1レポート

 8月13日、14日に大田区総合体育館で行なわれた、人気漫画『ハイキュー‼』の10周年を記念したV.LEAGUE(Vリーグ)とのコラボマッチイベント「ハイキュー‼×V.LEAGUE ALLSTAR SPECIAL MATCH "THE VOLLEYBALL"」は、日本バレーボールの新たな可能性を感じさせる盛り上がりを見せた。


『ハイキュー‼』の「一本ナイッサー!」のポーズをとるVリーグの選手たち

 コラボマッチの開催は2回目。前回(2020年8月16日)は作品の舞台となっている仙台で行なわれたが、新型コロナウイルスの感染が拡大した時期と重なったこともあって無観客となった。それだけに、2日間とも有観客での開催となった今回のイベントを心待ちにしていたファンも多かっただろう。

 その1日目の「ウォームアップイベント」では、2日目の「スペシャルマッチ」に出場するVリーガーの中から、ともに日本代表でも活躍した清水邦広と深津英臣(パナソニックパンサーズ)をはじめ、小川猛(サントリーサンバーズ)、勝岡将斗(ウルフドッグス名古屋)、手原紳(東京グレートベアーズ)の5名が登場。元女子日本代表でタレントの大林素子さんをMCに、『ハイキュー‼』の担当編集者も加わってトークショーを行なった。

 いきなり注目を集めたのは、髪を金に染めた手原と、手原よりやや淡い金髪にした清水だ。『ハイキュー‼』に登場する稲荷崎高校の双子、宮侑・治を彷彿とさせる2人(セッターの手原は兄の侑、オポジットの清水は弟の治)に、会場から大きな拍手が沸き起こった。

 清水が「36歳、生まれて初めて金髪にしました!」と笑顔で話せば、手原は「僕は、本来は影山飛雄(烏野高校)推しなんですけど......」と断った上で、「『ハイキュー!!』
ファンのみなさんに喜んでもらえたら、頭皮をイジめた甲斐があります(笑)」とコメント。実は出番の直前に「間違い」が発見されたようで、担当編集者は「侑と治の(髪の)分け目が逆だったので指摘させていただきました」と明かしつつ、「でもこれは、古舘先生もときどき間違えるんですよ(笑)」と裏話も披露された。

 続けて話題は、選手たちが好きな登場人物の話に。そこで元日本代表の司令塔だった深津は影山の名前を挙げ、「勝負にかける気持ちが強いというところは、僕と同じだなと思っています」と理由を話した。今回のイベントに出るにあたって、「すごく人気がある漫画だということはよく知っていたので、そのファンの方々に受け入れてもらえるかどうかがちょっとだけ心配でした」と不安も述べたが、「暖かく迎えていただけてよかった」とほっとした表情で話した。

 作品の魅力や人気の高さには、他の選手たちも驚いたことがあったという。小川は、「僕たちは一瞬のプレーの中で、すごくいろんなことを考えています。それが描かれていてびっくりしました」と選手目線で魅力を語った。また、勝岡は今回のイベント出場にあたって、いつもとは違う周囲の反応に戸惑ったようだ。「イベントに出場することが決まった時に、普段はバレーの話をしない知人などからも『すごいね!』と言われることが多かったです」と、影響力の大きさに感じ入っていた。

 選手トークショーの最後には、作中で烏野高校の部員たちが青葉城西高校戦(インターハイ予選)で見せた「一本ナイッサー!」のポーズを5人全員で決めた。イベント終了後の会見によると、当初はポーズをやる予定はなかったという。しかしリハーサル後に、深津から「このままじゃつまらない。バレー選手が面白くないと思われてしまう」と提案があり、急遽考えたもの。選手たちの『ハイキュー‼』愛はもちろん、イベントに臨む本気度も見えたシーンだった。

 そんな選手たちと入れ替わりで、アニメ版の声優たちが登場。烏野高校の部員たちの声を担当する、村瀬歩さん(日向翔陽役)、石川界人さん(影山飛雄役)、日野聡さん(澤村大地役)、林勇さん(田中龍之介役)、岡本信彦さん(西谷夕役)、内山昂輝さん(月島蛍役)がクロストークを行なった。

 自己紹介の際に、選手たちがやったばかりの「一本ナイッサー!」のポーズをひとりずつ取っていったが、月島役の内山さんは頑なにそれを拒否。それをイジる他のキャストの様子から、作品を通してできあがった声優キャスト陣の"チーム感"が伝わってきた。

 アニメの1期の放送が始まったのは2014年4月。そこから期を重ね、村瀬さんは「自分にとって、なくてはならない作品」になったという。日向役の村瀬さんと、影山役としてセンター線のコンビを演じ続けてきた石川さんも、「ここまで役とシンクロするように、関係性を築けた作品はあまりないです」と感慨深げに語った。

 さらに、声優陣や会場のテンションが上がったのは、「古舘先生に質問」コーナーでのこと。作者の古舘春一先生への質問をSNSで募集し、担当編集者がリアルタイムでメッセージをやり取りしながら、先生に質問への回答をしてもらう企画だ。

 まず「各チームの2013年度以降(『ハイキュー‼』は主に2012年度の話)のキャプテンは?」という質問に対しては、2013年度の烏野は縁下力、音駒は山本猛虎、青葉城西は矢巾秀......といったように発表されていき、さらに次世代のキャプテンも明かされるなど、発表ごとに会場がざわついた。

 続いて月島のサーブに関する質問については、1年生の終わりから山口忠にジャンプフローターサーブを習い、その後にハイブリッドサーブの練習を始めると回答。ハイブリッドサーブは、「ジャンプサーブ」と「ジャンプフローターサーブ」を状況次第で打ち分けるサーブで、フォームでは判断しづらく、実際にバレー界でも数年前からトレンドとなっている。山口は月島のよき理解者であり、音駒戦ではサーブアンドブロックを決めるなどコンビプレーも見せるだけに、胸が熱くなったファンも多いだろう。

 質問コーナーがひと段落したところで、ビッグなお知らせが。今回のイベント1日目に合わせて、数日前からアニメの公式HPで始まった謎のカウントダウンが話題になっていたが、ひと足先にイベント会場と配信を見ていたファンに「劇場版2部作」が新たに制作されることが発表された。

 劇場版のキービジュアルが大きく映し出され、キャストたちは劇場版にかける意気込みを語っていった。村瀬さんは開口一番、「キービジュかっこよ!」と率直な感想。「たまんないなあ!」と日向調で述べ、劇場版に向けて気持ちを新たにした。

 さらに、「劇団『ハイキュー!!』」プロジェクトが始動し、旗揚げ公演が2023年に行なわれることも公開された。かつて、舞台版で日向を演じた須賀健太が動画コメントを寄せ、公演の演出を務めることを発表した。最後はTVアニメの主題歌を担当したBURNOUT SYNDROMESが熱唱。「ウォームアップ」と言うには熱すぎる、大充実の1日目を締めくくった。

※選手の敬称略

(DAY2:リアル『ハイキュー‼』なシーンが続出! Vリーグの選手たちが、スペシャルマッチでハイレベルな攻防を披露した>>)