若狭勝さん

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 私は酒が好きで、飲むと愉快になるんです。普段の時には見せない雰囲気になるので、それが面白いと一緒に飲む人が喜ぶんですね。それでこちらも気持ち良くなってどんどん飲んでしまう。そういう感じでした。

 酔っ払って携帯電話を2回くらい失くしていますね。どちらも後で見つかったから良かったんですが。

 これはもう時効ということで打ち明けますが、検事として現職の時、仕事納めの日に酒をいっぱい部下から飲まされたんです。酔っ払って家に帰る時に、日比谷公園で寝そべってしまいました。雨が降ってきたのが分かったんですけど、「雨降ってきたなあ」と思いながら寝続けていたくらい。それでもなんとか起き上がってタクシーで帰りました。で、家に着いたら、携帯電話がないわけですよ。

 当時、私は公安部長。携帯電話を失くすなんて大変なことです。一気に酔いがさめて、すぐに探しに行ったんですけど見つからない。翌日、妻が見に行ってくれたら、公園の花壇のところで見つかったから良かったんですが。

 酒が好きでありながら、私は甘いものも好きなんです。特に、「なめらかプリン」と「ハーゲンダッツ」のアイスクリームが大好きなんです。

 実は衆議院選挙で落選して政治家を引退すると決めた時に、やけ食いといいますか、この二つを主食のように毎日食べていたんです。

 そんな日々を過ごしていたら、テレビ局から「名医のTHE太鼓判!」という番組の出演依頼があったんですね。人間ドックみたいな感じでいろいろな数値を測って、それを基にお医者さんが出演者の余命を判定するという番組なんです。

 それに出てみたら数値が悪く、名医たちがこぞって出した結論は「余命7年」。

 これはえらい話だなとびっくり。それでもう1回検査してくれと番組に言ったんです。「なめらかプリン」と「ハーゲンダッツ」のアイスクリームをやめて食生活を改善して、3週間ほどたってから検査したら、数値が良くなっていたんですね。

 番組では「その後、若狭さんは数値の改善が見られたので、寿命が5年延びて12年になりました」と付け加えられました。

 好きなものを飲み過ぎたり食べ過ぎてはいけない。教訓というか自戒というか。絶えず反省しながら、これまで生きてきたという感じです。

 反対に、必要なものを取らないことで体が悪くなるという経験もしました。

 10年くらい前に、炭水化物を取らないダイエットをした時期があります。その頃、健康診断でいろいろな数値が悪かったので、スリムな体形にしようと思ったからです。

 徹底して炭水化物を絶ったら、相当スリムになりました。ところが脳の回転が悪くなったと感じたんです。これは私個人にだけ当てはまるのかもしれませんけど、物覚えも悪くなり、大事なことも忘れがちになって。脳に糖がいかなくなったからだと思い、ダイエットはやめました。

 食べ物は生きていくための要素。度が過ぎるほど食べるのはよくないし、必要なものを食べないのも良くない。そう思いつつ、食べ物と向き合っております。

 ただ、そうはいっても小学生の頃から、鶏の唐揚げに目がなくて。セーブしようと思っているんですが、あるとボカスカ食べてしまいますね。先週も、塩味としょうゆ味の両方をたっぷりと食べてしまいました。(聞き手=菊地武顕)

 わかさ・まさる 1956年、東京都生まれ。83年、検事に任官。東京地検特捜部検事、横浜地検刑事部長、東京地検公安部長などを歴任。2009年に退官し弁護士に。14年の衆院選で自民党から出馬し当選。17年の都議選の際に離党し都民ファーストを支援した。同年の総選挙で落選し政界引退。現在はコメンテーターとしても活躍する。