己が信じる正義を貫いて アブソリュートティターン役・安元洋貴インタビュー
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ティターンはアブソリューティアンの殺し屋ながら、ウルトラマンネクサスが展開したメタフィールドに閉じ込められ、敵であるウルトラマンリブットと共闘した。現状、ウルトラマンと手を組んだ唯一のアブソリューティアンとなったティターンに待ち受けるのは、どのような運命だろうか? 今回はそんなティターンを演じる安元洋貴さんに、ウルトラマンシリーズの思い出、ティターンへの想いを伺った。
◆メフィラス星人からアブソリューティアンへ◆
――安元さんがウルトラマンシリーズに出演したのは、2012年放送『ウルトラゼロファイト』のメフィラス星人 魔導のスライが最初です。
安元 『ウルトラマン』は子供の頃に再放送を観ていて、メフィラス星人のことは覚えていたんですよ。とても頭が良くて、ウルトラマンを倒しそうになるほど強いイメージがあり、自分が演じることになったのは嬉しかったです。
――魔導のスライは悪の戦士・ウルトラマンベリアルに仕えるダークネスファイブの一員で、5人のリーダー格という役どころでした。演じるうえで意識されたことはありますか?
安元 猛々しいキャラクターがほかにいたので、5人の中では知性を感じさせる側に立とうとは考えていました。『ゼロファイト』はスーパーロボット大戦のように、さまざまなヒーローが集結して戦う作品が、ウルトラマンにもあると知ったことも印象的で。「こういう作品もあるんだ、面白いな」と思いました。
――『ウルトラマンオーブ』では同じメフィラス星人のノストラを演じています。こちらは魔導のスライと打って変わり、惑星侵略連合のボスという立場ながらコミカルなキャラクターでした。
安元 ノストラは小悪党的な要素がありましたよね。一緒にいる仲間たちもおバカで憎めないキャラクターが揃っていて、台本の時点で面白い内容になっていたから、そのまま楽しんで演じました。『オーブ』はウルトラマン側のドラマも賑やかでテンションが高く、作品としても好きでした。
――『運命の衝突』では、アブソリュートティターンという新たなキャラクターを演じることになりました。最初にお話を聞いたときの心境はいかがでしたか?
安元 魔導のスライ、ノストラはオーディションで選んでいただいたんですが、ティターンはオファーでお話をいただいたんですよ。てっきり「オーディションなしでメフィラス来たか!」と思っていて、後で詳細な内容を聞いてビックリしました(笑)。
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◆まさかのウルトラマンとの共闘!◆
――今作の収録前に、過去のウルトラマンシリーズを観返したりはされましたか?
安元 『ゼロファイト』や『オーブ』、土曜の朝に家にいたときには放送されていた作品を観たりはしました。
――『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズの予習というよりは、ウルトラマンシリーズの雰囲気を馴染ませるような形でご覧になったと。
安元 でも、当たり前のようにウルトラマンはある気がしますね。不思議なことに、僕の周りにはウルトラマンが好きな人が常にいますから。
――安元さんが演じるティターンは、アブソリューティアンの暗殺者でありながら、敵の実力を認める心意気の持ち主でもあります。最初にティターンの登場が発表されたときは、一見矛盾するような要素を併せ持っていて不思議に思いました。
安元 暗殺者感はないですよね、正々堂々と戦っていますし。
――そんなティターンの印象や、演じるうえで意識されたことは?
安元 設定やセリフでは騎士道を重んじるキャラクターと書かれていて、愚直なまでに己の正義を貫く質実剛健な人だと感じました。見た目も装飾物が少なくシュッとしていて、ほかのアブソリューティアンと比べて悪役感が薄いところが面白いなと。騎士らしい凛とした雰囲気を出すために、清潔感を出すことを意識して演じました。
――敵であるウルトラマンリブットと共闘したティターンは、アブソリューティアンの中でも特殊な立ち位置にいるキャラクターです。
安元 そうですね。自分の正義を貫くためではありながら、リブットとちゃんと力を合わせて閉鎖空間から脱出して。リブットもティターンとベクトルは違いますが、自分の使命に真っ直ぐな男だからこそ、二人の間で共鳴に近いことが起きたんだと思いました。あの時のティターンは、リブットの爽やかな雰囲気に呑まれそうになっていた気がします。
――ティターン、リブットの関係は今作の大きなポイントの一つだと思います。
安元 たぶんティターンはリブットと関わり合ったことで、このまま自分の正義のために突き進むだけでなく、その在り様がブレていくと思うんですよ。ティターン自身の心がこれからどう動いていくのかは、僕も注目しているところです。
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◆ティターンを悪役だと思って演じていない◆
――ウルトラマンシリーズとの出会いの記憶や思い出をお教えください。
安元 物心がついたときには『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の再放送を観ていました。『ウルトラマン』の変身アイテム(ベーターカプセル)と間違えてスプーンを掲げるシーンは、何度も観た記憶があります。子供の頃の僕は眼鏡をかけていなかったので、友達の眼鏡を借りてウルトラセブンの変身ポーズを真似していました。あと姉が男の子と遊ぶ人で、エレキングやキングジョーなどの怪獣の塩ビ人形が家にいっぱいいたこともよく覚えています。
――印象に残っているヒーローや怪獣は?
安元 ウルトラマンとセブンはやっぱり印象が強いです。特にセブンは頭のアイスラッガーを投げ飛ばすところとか、驚くようなアイデアがたくさん込められていると感じました。怪獣だとキングジョーみたいに強い怪獣や、ジャミラのことはよく覚えていて、Tシャツを使ってジャミラの真似をしていました。
――安元さんはゲーム好きで知られていますが、ウルトラマンが登場するゲームを遊んだ思い出はありますか?
安元 ゲームセンターの2D格闘ゲームはやりましたね。すごく難しかった覚えがあります。昔は今ほどゲームの選択肢がなく、誰かが持っていたものを貸し借りすることも多くて。その中でバンプレストが出していたSDキャラクターが登場するゲームを遊んで、後にウルトラマンシリーズのキャラクターが出ていたと知ったこともありました。
――半世紀以上にわたって愛されるウルトラマンシリーズの魅力は、どういったところにあると思われますか?
安元 昔は子供が観る作品というイメージでしたが、歴史を重ねて子供も大人も関係なく楽しめるものになった気がします。特に『ウルトラマンガイア』なんかは顕著ですよね。独特なウルトラマンのデザイン、3分間の時間制限といった原点の発想の新鮮さ、その中で毎回観る人を飽きさせない工夫を凝らしているところが、今も昔も変わらない魅力だと思います。そこにベリアル、もしかしたらティターンもそうかもしれないですが、違和感を覚える要素が加わるのもまた面白くて。作り手の皆さんが愛を持って、さまざまな仕掛けをしてくれるからこそ、みんながずっとワクワクしながら観ていられるんじゃないでしょうか。
――今後ティターンのこういった一面を演じたい、という希望などありますか?
安元 善悪で言えば、ウルトラマンが善でアブソリューティアンはきっと悪なんでしょうけど、僕自身はティターンを悪だと思って演じてはいないんです。自分の中の正義を信じて、一生懸命に戦っていますから、僕個人としてはウルトラマンたちに勝ちたいと思っていますよ(笑)。
――アブソリューティアンが勝利する展開も、意外性があって見てみたい気はします(笑)。最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
安元 作品を観て楽しいと感じたら、ぜひまだ観ていない人に向けて広めていってほしいですね。ウルトラマンに限らず、みんなで楽しく盛り上がることはすごく大事なことだと考えていて。皆さんが「楽しい」と思ったことは独り占めせず、多くの人と共有して盛り上がることで、きっとこの先にもっといいことが起きると思います。ようやくみんなでワイワイと楽しむことが少しずつ許される世の中になってきたので、その中の一つにウルトラマンがなってくれれば嬉しいです。
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やすもと ひろき
3月16日生まれ。山口県出身。シグマ・セブン所属。2012年放送の『ウルトラゼロファイト』(メフィラス星人 魔導のスライ)でウルトラマンシリーズに初参加。『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP』(平等院鳳凰)など多数出演。