●次の世代の子どもたちにも見てほしい

平成ウルトラマンシリーズ第2弾『ウルトラマンダイナ』が、放送から25周年を迎えることを記念し、「TSUBURAYA IMAGINATION」で4月1日よりオンライン独占配信がスタートする。

アスカ・シンを演じたつるの剛士 撮影:宮田浩史

前作『ウルトラマンティガ』の世界観を受け継ぎ、完全な続編として制作され、防衛隊などの様々な要素が引きつがれた本作。先ごろ発表されたシリーズ最新作『ウルトラマンデッカー』(テレビ東京系で2022年7月9日あさ9時より放送開始)が『ウルトラマンダイナ』のエッセンスも取り入れた作品になっていることが発表され、いま再び熱い注目を集めている。

ファン待望の配信実現を記念し、主人公であるアスカ・シンを演じたつるの剛士にインタビューを行った。

――1997年より放送された『ウルトラマンダイナ』が25周年を迎えました。25周年を記念した今回の配信決定は、たくさんのファンの方たちにとって心待ちにしていたものだと思います。

よくよく考えてみたら、僕の人生半分以上がダイナなんです。先ほど撮影していただきながら、ふと「四半世紀なんだな」と気づいたんです。写真では、四半世紀に思いを巡らせる表情で撮っていただいているんじゃないかと思います(笑)。

いろいろな現場で、当時子どもで見ていた世代の方たちから声をかけられることが多くなりました。もう作り手として活躍されている年齢なんですね。中には、髭モジャモジャで、僕よりも年上に見えるスタッフさんから「子どものころ見てました」と言われたこともあります。

一方で、幼稚園教諭免許資格を取得するために教育実習に行った先で子どもたちにお手紙をもらったんですけど、そこにはウルトラマンの絵が描いてあるんです。僕はウルトラマン以外にもいろんなキャラクターをやらせていただいたんですけど、やっぱりウルトラマンなんですよね。これだけ時間が経ってもウルトラマンとして認識してもらえているのは、すごくうれしいですね。

――配信されることで、まだ作品を見たことがない方にも届きやすくなりますね。

でも、見た目が変わっちゃってるから気づかれないんじゃないかな。

――ぜんぜん変わってないですよ!

変わってるよ!(笑) 自分の子どもですら気づかなかったんだから。映画『ウルトラマンサーガ』を見に行って、やっとわかってくれましたから。

『ダイナ』はいままで配信がなくて、見たいという方はブルーレイやDVDを購入するかレンタルで借りるしかなく、見るためのハードルがほかの作品に比べて高かった。なんで『ティガ』と『ダイナ』だけ配信で見れないんだという思いがファンの方たちのなかにもあったんじゃないかな。25年が経ち、次の世代の子どもたちにもぜひ見てほしいです。

――あらためて、つるのさんから見た『ダイナ』の魅力とは?

善と悪の部分もはっきりしていて、すごくわかりやすいですよね。それに加えて、描かれるアスカの人生模様も見どころがあります。明るさの裏に、抱えている思いがある。シリアスな部分もいいバランスで盛り込まれています。

そして、この作品では、僕自身が第一話では演技の経験がほとんどないような、そのへんの兄ちゃんでした。ですから、僕の演技の面での成長と、『ダイナ』の世界観の中でのアスカの成長を見ていただきたいですね。これは、週に一話ずつ見るよりも、一気に続けて見るとより感じていただけるんじゃないかな。

――撮影では、ダイナのフィギュアと一緒に撮らせていただきました。

手前味噌で申し訳ないですけれど、ウルトラマンの中でダイナが一番カッコいいですから。配色はもちろん、バランスも顔も。イケメンじゃないですか。実は、毎年新しいウルトラマンが発表されるたびに、ダイナを超えるカッコいいウルトラマンの登場を期待しているんですけど、まだまだ抜かれたことはないですね。ここ、笑うところじゃないですから!

●アスカを裏切りたくない



――カッコよさはもちろんですが、つるのさんがそれだけ『ウルトラマンダイナ』という作品を大事にされているのは、それだけ特別な現場だったからなのでしょうか。

スーパーGUTSは、役者それぞれがキャラクターを作っていった気がするんです。無理やりつけられた役ではなく、1年をかけて本当に作っていった。そういうところも含めて、みんなで作った感が強いんです。なんでも言い合える間柄だったので、すごく話し合いながら作ったことを覚えています。もちろん、そういう距離感になるまでには相当なお酒の量も必要としましたが(笑)。

このあいだ、りっちゃん(斉藤りさ)から「出演者が『ダイナ』をこれだけ応援しているのは、つるちゃんがずっと『ダイナ』のことを言い続けているから。だから私たちもスーパーGUTSでいつづけてるんだよ」って言われたんです。「ほかの俳優さんは、あまりそういうことを言いたがらない人もいるじゃない」って。そういう意味では、僕はちょっと言いすぎてたのかもしれないですね(笑)。

――でも、出演者の方もずっと作品を大切にしてくれているのは、ファンの方にとってもすごくうれしいことだと思います。つるのさんはアスカをどのように作っていったのでしょう。

作るというより、アスカは自分そのもの、そのまんまでした。なので、大事にするしない以前に、自分自身なんですよね。だから、最終回でアスカとしての結末はありましたけれど、そのあともアスカの旅は僕の旅として続いていると思っているんです。本編が終わったあとの僕の姿をアスカと重ねて応援していらっしゃる方もいる感じがするので、そこは大切にしていきたい。アスカを裏切りたくないというか、アスカとともに成長していきたいんです。これは、作品が終わってしまってから、僕があっちの世界に行くまでのドキュメンタリーだと思っているんです。

――それは、ある意味でとても厳しい寄り添い方ですね。

アスカを生かすも殺すも自分の在り方次第。アスカを見て、自分の夢を持った方もいると思うので、そうした方に対しても責任があると思っています。いまでも、迷った時にアスカだったらどうするだろう、アスカだったらこんなことはしないなと、アスカが判断の基準になることがあります。

――25年「ウルトラマン」に寄り添ってきたつるのさんから見て、「ウルトラマンシリーズ」の魅力は特にどんなところにあるのだと思いますか。

やっぱり、「ずっと続いていること」だと思います。長く続いているからこそ、みんなそれぞれの世代のウルトラマンがいます。これだけ大人が夢中になるのも、小さなころに見ていて、それがずっと心の中に残っているからだと思うんです。僕自身もウルトラマンには同じ思いを抱いていて、今でも熱くなるし、キュンキュンするんですよね。

――最後に、配信を心待ちにされていたファンの方にメッセージをお願いします。

何より自分自身が心待ちにしていました。配信される日には、待ってくださっていたファンの方たちと一緒に盛り上がりたいですね。僕もこれを機に一話からもう一度見て、懐かしさとちょっとの恥ずかしさに浸りたいと思います。

(C)円谷プロ