M1 Ultra GPU
Apple

アップルはMac Studioを発表した際に、M1 UltraのGPU性能が「市販されている最もハイエンドのGPUより200ワットも少ない消費電力で、一段と高速のピークパフォーマンスを発揮」すると主張していました。ここでいう「最もハイエンドのGPU」とは、DDR5メモリ搭載Core i9-12900KとGeForce RTX 3090の環境を指していることが脚注で明らかにされています。つまり、「少ない消費電力のもとでは、M1 UltraのGPU性能はRTX 3090に優る」というわけです。

では消費電力に制限を付けなければどうなるかといえば、M1 UltraがRTX 3090を上回ることができないという検証結果が報告されています。

テックメディアThe Vergeは、定番ベンチマークアプリGeekbench 5のCompute(GPU性能テスト)を使ってM1 UltraとNVIDIA RTX 3090を競い合わせています。予想が付いていたことではありますが、チップを電力制限なしのフルパワーで動かした場合には、M1 UltraはNVIDIAのチップに敵いません。公称どおり16コアのMac Proに勝ってはいますが、性能はRTX 3090の約半分に留まっています。

The Verge

また「Shadow of the Tomb Raider」(Windows版とMac版の両方あり)のベンチマークでも、Mac Studio(M1 Ultra版)はRTX 3090に差を付けられています。

The Verge

こうした結果を元に、The Vergeはアップルの提示したグラフを「それは電気自動車がランボルギーニよりも時速80マイルで走ったときに使う燃料が劇的に少ないから、エンジンが優れていると主張するようなものです。ランボルギーニはまだ2倍の速さで走れるという事実には触れないで」と評しています。

それ以外でのM1 Ultraの優秀さは間違いなく、なぜアップルが消費電力に制限をつける必要が薄いデスクトップに「少ない消費電力の元では」というベンチマークを披露したのかは不明です。ちなみにM1 Ultra版Mac Studioには370Wの電源が搭載されており、同じ消費電力(アップルのグラフでは340Wまで計測しています)による真っ向勝負も可能と思われます。

ともあれM1 Maxを2つ繋げたM1 Ultraが、本当にM1 Maxの倍の性能を引き出せていることはThe Verge自らが証明しています。購入したユーザーは、消費電力も少なく静か、それでいてパワフルな「卓上のモンスター」への期待を裏切られることはなさそうです。

Source:The Verge

via:MacRumors