無差別銃乱射事件を引き起こした青年が憧れたものとは 映画『ニトラム/NITRAM』本編映像の一部を解禁

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3月25日(金)公開の映画『ニトラム/NITRAM』から、本編映像の一部が解禁された。

『ニトラム/NITRAM』は、1996年にオーストラリア・タスマニア島の観光地ポート・アーサーで起こった無差別銃乱射事件“ポート・アーサー事件”初の映画化作品。20代半ばの青年が、なぜ同国史上最多の被害者を出した銃乱射事件の犯人となったのか、なぜ銃を求め、いかに入手し、犯行に至ったのか、その日常と生活を描き出したという作品だ。メガホンをとったのは、『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』のジャスティン・カーゼル監督。主人公“ニトラム”をケイレブ・ランドリー・ジョーンズが演じ、第74回カンヌ国際映画祭で主演男優賞に輝いている。

今回解禁された本編映像は、サーフィンに憧れる主人公・ニトラムと母親がやりとりをするシーン。サーフボードを買いたいニトラムは、母に「カネが足りない」とねだるが、諭されて拒否される場面だ。どうしてもサーフボードが欲しい青年は、サーフィンで楽しそうに波に乗る同年代の青年を、海岸からただ眺めるのだった。

監督は本作の制作意図について、「犯人からの視点を取ることによって、いとも簡単にこのような事件が起こってしまうこと、社会的に孤立していること、簡単に銃にアクセスできてしまうことの危険性を描きたかったのです。この映画に出てくる人たちは、皆、誰かと一緒になりたい、誰かと繋がりたいと思って絶望的になっている」と語る。また、「サーファーは、オーストラリア社会における、男の象徴であり、理想です。荒々しい社会の中で生きてゆくためには、男性はタフで決して妥協せず、肉体的であらねばならない。そんなオールドスクールな男性像が未だ理想とされている。そういう人に男の子は憧れる。一方で、その男らしさは脆弱でもある。最も男らしい種族とされるサーファーにもしあなたが慣れなかったら、どう生きてゆくのか?その答えがまだオーストラリア社会にはありません。そんな男性像の正当性も問いかけたかった」と明かしている。

『ニトラム/NITRAM』3月25日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国公開。