<明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント 初日◇11日◇土佐CC(高知県)◇6228ヤード・パー72>
「あの時は私の気持ちが弱かったですね。萌寧の勝ちたいという気持ちの方が強かった。優勝したいですね」。ちょうど1年前に行われたこの大会で、稲見萌寧との3ホールに及ぶプレーオフに敗れて2位に終わった永井花奈が、ボギーなしの5アンダー・3位タイで初日を終えた。
「相性がいいとは思ってなかったけど、回りやすいのはありますね」。ひさしぶりの上位発進で、その表情や声も明るい。2020-21年シーズンは、これまで「不安を感じたことがなかった」というショットが狂い、苦しい時間を過ごした。20年こそコンスタントに成績を残したが、年が明け迎えた21年は、夏場に7試合連続で決勝進出を逃すなど、37試合に出場し予選落ちは23試合にものぼった。今年は復調を期すシーズンとなる。
その昨年の最高順位こそ、この大会での2位。だがそれは、大きく“潮目”が変わったかのように、下降線をたどるきっかけにもなった。「チャンスを逃して、悪いほうにいってしまいましたね。流れの大切さを知りました」。結果的に、このシーズンは賞金ランクで70位に終わるなど最後まで浮上することなく、17年に初めて手にしてから守ってきたシード権も手放すことに。一方、ここで21年の初勝利を挙げた稲見は、その後7勝を挙げ賞金女王を戴冠。まさに“明暗”が分かれる1敗になったといえる。
あの時、勝っていれば…という思いが湧きあがることもあった。「優勝していれば1年間の出場権はあったし、QTも受けたくなかった」。それでもこの不調に陥ったことで、「新しい技術などを勉強できたのは悪くありませんでした。それは『去年があったから』と言えるように頑張りたいですね」と、新たに発見することも多かったという。
昨秋から指導を受け、今週キャディも務める青山充コーチとの出会いも、この苦しい時間を過ごしていたからこそ。「ボールを見すぎ、もっと早く顔を上げていいよとか言われてビックリすることも多かった。これまでは悪かった原因を理解できていなかった。それが自分で分かることで、シーズン中に立て直したりできるようになれればいいな」。ゴルフへの向き合い方にも、変化が生じている。
この日の会見では、気持ちを鼓舞するように何度も「優勝」という言葉を口にした。昨年プレーオフで敗れた最終18番ホールでは、カラーからの7メートルをパターで沈めると力強いガッツポーズも繰り出した。その表情から弱気は感じられない。
17年の「樋口久子 三菱電機レディス」で1勝を挙げているが、この時は雨で最終ラウンドが中止になり舞い込んだもの。「運もあったし、その時の自分と比べても仕方ない。もっと成長したいですね」。まだ2日残っているが、あの時の悔しさを晴らすチャンスは訪れた。今年はこの土佐CCを上昇気流に乗るきっかけの地にしたい。(文・間宮輝憲)
<ゴルフ情報ALBA.Net>