2020年、21年が統合された昨季の国内女子ゴルフツアーで、賞金ランキング、メルセデス・ランキングのいずれかで50位以内に入った52人がシード選手として、22年のフル出場権(一部大会を除く)を手にした。そのうち米ツアーに主戦場を移した笹生優花を除く12人の初シード選手をここで紹介する。今回は植竹希望(賞金33位、メルセデス30位)。
20-21年は、ツアーを席巻する黄金世代からまた1人、ニューヒロイン候補が登場したシーズンでもあった。女子離れしたスイングが、本物の匂いを漂わせる。これから始まるシーズンで初優勝が期待されるのが、23歳の植竹だ。
QTランク48位で迎えた20年シーズン。本来であれば主戦場はステップ・アップ・ツアーになるはずだった。しかし新型コロナウイルスの影響で、海外選手がツアー出場できないこともありレギュラーでプレーするチャンスが増大。同年9月の「ゴルフ5レディス」で6位になるなど、着実に賞金を積み重ねリランキング突破にこぎつけた。ちなみにこの年にはステップにも5試合出場し、8月の「rashink×RE SYU RYU/RKBレディース」での優勝など、全大会でトップ10入りも果たしている。
レギュラー戦士となった21年中盤戦以降、さらにその活躍は顕著なものに。「ゴルフ5レディス」(3位)、「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」(4位)、「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」(2位)と3試合連続でトップ5となり、シード獲得を確実なものにした。
特に住友生命Vitalityレディスでは、最終日の最終18番まで首位タイでプレーするなど初優勝にまい進。しかし右サイドを狙って3番ウッドで放ったティショットを力みでひっかけてしまい、無情にもボールは左の池に消えた。あまりに痛すぎるダブルボギーとなったが「緊張していることに気づいてなく、自分の状況を把握できていなかった。まずは自分を客観的に見られるようになることが重要。緊張しているとスイングのリズムが悪くなることに気づけるようになりました」と苦い経験を、大きな学びにした。
パーオン率は73.3522%で5位。トータルドライビング、ボールストライキングはともに3位と、ツアー屈指のショットメーカーの1人に仲間入りした。そしてこのオフは、武器をさらに磨くための考えを実践している。例えばシャフトを見直し、昨年までのものより柔らかいものをテスト中。ほかにも、「ダウンスイングで右足が前に出て手打ちになって引っかけることがあります。右股関節が硬いのが原因。それが課題」とジムでも積極的に汗を流すなど、スイング向上につながる部分を多角的に見つめ直している。
「今シーズンの目標は、まずは1勝。本当は複数回優勝と言いたいけど、最初の1勝が難しいので」。特にクラブ契約を結ぶヤマハが共同主催に名を連ねる「ヤマハレディースオープン葛城」での勝利は悲願の1つだ。オフはトーナメントコースで週4回のラウンドも積み、さらに宮崎合宿などでレベルアップを図ってきた。大いなる希望を胸に、春の沖縄に向かう。
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