柴咲コウも実践!専門医が語る「トマト味噌汁」の栄養効果

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「私のクリニックの糖尿病外来である患者さんにトマトジュースを毎朝飲むことを実践してもらったところ、数カ月で、過去1〜2カ月以内の血糖の状態を示すヘモグロビンA1c(基準値は4.6〜6.2)が7.1から5.9に下がったんです。これは効果があると実感。みそにも同様に血糖を抑える効果があることから、両方の効果を合わせて取れる『トマトみそ汁』を患者さんたちにすすめるようになりました」

こう話すのは、これまで10万人以上の糖尿病患者を診察してきた専門医の泰江慎太郎先生(銀座泰江内科クリニック院長)。

なぜ、トマトとみそに、それほど血糖値を下げる効果があるのか。次を見てほしい。なんとこれだけの“糖尿病撃退パワー成分”が含まれているのだ。

■「トマト」と「みそ」の有効成分一覧

【トマト】

〈リコピン〉:インスリンの効きをよくするアディポネクチンを増やすように働くだけでなく、それ自体の抗酸化作用も非常に強力。

〈β-カロテン(ビタミンA)〉:抗酸化作用および免疫力アップ作用などがあるだけでなく、皮膚や粘膜の健康を維持することにも重要な成分。

〈抗酸化ビタミン(ビタミンE・ビタミンC)〉:ビタミンEはビタミンCと協調して抗酸化作用を発揮。インスリン抵抗性を改善する作用がある。

〈食物繊維〉:糖分の吸収を遅らせる作用があり、食後の急激な血糖値の上昇を抑える作用が認められている。

〈カリウム〉:余分なナトリウムを体外に排出するのを促すとともに、血圧を下げる作用もあり、高血圧対策に有効。

〈アミノ酸類(グルタミン酸、アスパラギン酸、GABA)〉:アミノ酸類のグルタミン酸、アスパラギン酸、GABAには血液の流れをよくして、血圧を下げる効果が。

【みそ】

〈メラノイジン〉:糖の吸収スピードを抑えて、食後に血糖値が急激に上がるのを防ぎ、インスリンの効果を促進。また強い抗酸化作用がある。

〈β-コングリシニン〉:大豆たんぱくの一種で、リコピンと同じく、インスリンの効きをよくするアディポネクチンを増やすように働く。

〈大豆イソフラボン〉:インスリンの働きを活性化させ、糖質の取り込みを改善。血糖値の上昇を抑える効果が期待される。

「なかでも血糖値を下げる効果があるのは、トマトの赤色色素のリコピンとみそに含まれるβ-コングリシニンという成分です」(泰江先生・以下同)

そもそも糖尿病はインスリンというホルモンが不足したり、働きが悪くなって、血糖値が上がってしまうことから起こる。特に、いわゆるメタボな中高年の人の糖尿病の場合、多くはインスリンの働きが悪くなることが原因だという。

「リコピンは、体内でアディポネクチンというホルモンを増やすことで知られます。このホルモンはすい臓から分泌されるインスリンの効きをよくするので、インスリンの働きが悪くなって血糖値が上がってしまうメタボ型の糖尿病の人に効果があるんです」

同じように、みそに含まれる大豆たんぱくのβ-コングリシニンにも、アディポネクチンを増やす働きが確認されているのだ。

トマトとみそを合わせて取ることで糖尿病を改善できる。効果はそれだけではない。

「血糖値が上がると、動脈硬化が進み、毛細血管が詰まりやすくなります。これが目の網膜症や腎臓の腎症といった合併症を招く原因になります。こうした毛細血管の詰まりを防ぐのに、抗酸化物質が非常に大きな役割をするんです」

その抗酸化物質が、トマトでは、リコピン、β-カロテン、みそにはメラノイジンなどが豊富に含まれる。

「リコピンとメラノイジンは、両方とも、熱に強いのが特徴。ですから加熱してみそ汁にしても、その効果は変わらないんです」

泰江先生のクリニックでは、すでに数百人がこの「トマトみそ汁」を実践。大きな効果をあげている。

じつは柴咲コウも、過去にラジオ番組『I A.M.』(J-WAVE)に出演した際、「トマトみそ汁」を作っていると話していたのだ。

■トマトジュースを使って無理なくリコピン摂取

さっそく本誌記者も泰江式「トマトみそ汁」を作ってみた。レシピどおりに作ってみると、5分程度で完成した。

【「トマトみそ汁」の基本レシピ】

〈材料〉2人分

ミニトマト…8個
トマトジュース…1缶(食塩無添加190g)
みそ…大さじ2(赤みそなど色の濃いみそ)
水…200ml
和風顆粒だし…小さじ1

〈作り方〉

1:ミニトマトは皮をむかず、半分に切る。
2:小鍋に、水と和風顆粒だしを入れ、沸騰させる。
3:2にトマトジュースと1を入れ、ひと煮立ちさせる。
4:火を止めて、みそを溶き入れて完成。

「毎日取ってほしいリコピンの量は最低15ミリグラム。これは生食用のトマトなら3〜4個、ミニトマトで10〜12個。1杯のみそ汁の具としてはかなり大量になります。そこで、みそ汁のベースを水とトマトジュースを半々にするのがコツ。トマトジュース190グラム缶1本にはリコピン約15ミリグラムが含まれているので、具のトマトとジュースを合わせれば、みそ汁わん1杯で1日分のリコピン摂取量をまかなえます。トマトの皮付近にもっともリコピンが含まれているので、皮ごと食すこと。また、みそに塩分が含まれているので、ジュースは食塩無添加のものを使うこと。そしてみそのメラノイジンは褐色色素に含まれているため、色の濃いみそを使うことが肝心です」

できあがったみそ汁はミネストローネスープのような色をしているが、食してみると、さわやかな酸味がありつつ、和風のみそ汁としてもおいしい口当たりだった。

「酸味が気になる人は、完成したみそ汁に、オリーブオイルを数滴たらしてみると、味がまろやかになるはず。オリーブオイルにはリコピンの吸収をよくする働きがあるので一石二鳥ですよ」

また毎日、具がトマトだけでは飽きてしまう場合には、たまねぎ、豆腐、ワカメなどを具として加えると、よりパワーアップした“糖尿病撃退みそ汁”になるとか。

「トマトとみそが、食後に生じる血糖値の急激な跳ね上がりをおだやかにしてくれるので、できれば毎朝、朝食のいちばん初めに食べるのがおすすめですね」

血糖値の高さに悩んでいる人はぜひ継続的に試してみよう。