木村翔選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

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プロボクシングの元WBO世界フライ級王者・木村翔(33)が2021年12月28日、所属する花形ジムの公式サイトで、今月18日に中国・武漢で行われたエキシビションマッチの経緯を説明した。

直前になって「中国カンフー対ボクシング」に変更

木村は18日のエキシビションマッチで、中国の格闘家である玄武と対戦。試合は1ラウンドから玄武がボクシングルールにない危険な技を連発し、2ラウンド開始早々に木村を抱きかかえて頭からリングにたたきつけ終了した。

エキシビションマッチの動画が中国国内のSNSで拡散されると、複数の中国メディアが玄武の危険な行為を批判的に取り上げ、ボクシングファンの間で物議をかもした。日本国内でも現役世界王者や世界3階級制覇王者らが危険性を訴えるなど大きな波紋を広げた。

また、現地メディアは当初ボクシング形式で行われる予定だったが、直前になって「中国カンフー対ボクシング」に変更されたと伝え、木村陣営が変更の事実を理解していたかは不明とし、ルールについても明確ではなかったと報じた。

木村は所属ジムの公式サイトを通じて「この度は 2021 年 12 月 18 日に開催されました中国でのスパーリングマッチ(国際ボクシングルール)において起きました一連の出来事に関しまして、ファンの方々、ボクシング関係者の方々にご心配、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。心よりお詫び申し上げます」と謝罪し、エキシビションマッチを受けた経緯や当日のルールなどについて説明した。

「今回の玄武選手の反則行為は許しがたい事です」

今回、木村が渡航した目的は中国で試合をするために現地でトレーニングを行うことだった。その中で木村の試合をプロモートしてきた中国のプロモーターからボクシング中国マーケットを再開拓するためのプロモーションとして、国際ボクシングルールに基づき、14オンスのグローブを使用してのスパーリングマッチを提案されたという。

木村は「厳格なコロナ対策がなされている中国に入国したのは、このスパーリングマッチを行うためではなく、『なんとしても、もう一度世界のベルトを巻く』、そのための渡航でした」と説明し、対戦相手について「今回の玄武選手の反則行為は許しがたい事です」と怒りを滲ませた。

木村は17年7月に中国でWBO世界フライ級王者ゾウ・シミン(中国)を破り王座を獲得。ゾウは08年北京五輪、12年ロンドン五輪の金メダリストで中国では英雄的存在だったことから、木村の知名度は飛躍的に上がった。中国では卓球の福原愛さんに次ぐ有名日本人アスリートだとされる。

試合後の20日にツイッターで「この件で中国人を嫌いにならないで欲しい」と訴えた木村は、「ゾウシミン戦以降、日本人である私に対して、私のことを知り、そして、応援してくれる中国にいる多くの方々を愛する気持ちは変わりません」と改めて思いを明かしていた。