初参戦のフランスのラリーで、日本人ドライバーが表彰台獲得! 「川名賢のラリー・セヴェンヌ参戦記 07」

写真拡大 (全9枚)


皆さんこんにちは、ラリードライバーの川名です。
本日はラリー・セヴェンヌ7日目、ラリーDay2のお話です。


■ラリー続行不可能の裁定。ということは?

Day1は悪天候のため前半のループで終了。SS3本を走り切りクラス3番手につけた僕たちは、そのままの順位を与えられてDay1を終了しました。Day1が終わった夜、Day2のラリーを続行するかをオーガナイザーたちが会議したようです。

その日の23時。ホテルの部屋をコ・ドライバーのキャシーにノックされました。
「明日の午前のループは中止、午後のループだけになったわ。」
と。残念な気持ちと共に、判断の早さに正直驚かされました。

翌日、Day2の朝。お昼のスタートに向けて準備を進めていると、また部屋をノックされました。いつも通りニコニコしたキャシーがドアの前に立ち、「残念なニュースよ。コースが雨で崩れて午後のループも中止。でもハッピーなニュースもあるわ、私たちは表彰台よ!!」
この瞬間、僕たちの3位表彰台が確定しました。


●ちょっと解像度が荒いですが、崩れた道です


パルクフェルメのラリーカーと対面し、100km先、ポディウムのあるモンペリエまでリエゾンを走ります。来年までこのクルマに乗れないと思うとちょっぴり寂しいですね。






リエゾンでは、『もっと走りたかった』という気持ちと、『表彰台に立てる喜び』の2つの気持ちがとても交錯しました。まだ実感がなかったのもありますが、表彰台という結果を100%で喜べない気持ちを改めて考えると、本当にラリー好きな自分に呆れてしまいました。



■2019年以来の海外でのポディウムゲット!

しかしポディウムに到着してみれば、複雑な気持ちはどこへやら。『俺表彰台に立つんだ・・・!』という実感がじわりじわりと湧いてきました。




チームのメンバーや一緒にポディウムに立つライバル達、ラリーファンやプジョースポールの関係者、すべての人に祝福され、こんなに心が満たされる瞬間は本当に久しぶりでした。





ポディウムでは、即席で教わったフランス語で感謝の気持ちを伝えました。



異国の地での表彰台は2019年のチャイナ以来でしたが、フランスの表彰台もまた格別でした。

シャンパンファイトではしゃいでいるのは、優勝したトデスキーニ選手。ジュニア選手権で頭角を現して、プジョーワークスから今回参戦し見事優勝を飾った選手です。次回は僕がシャンパンをぶっかけてやろうと心に決めました(笑)。




今回のラリーは特殊なシチュエーションの展開でしたが、長年ラリーを経験していると色々な形で表彰台を獲得することがあります。ラリーはSS1が勝負とよく言われていますが、SS1からつねに争えるポジションにいることがとても重要なのです。

そして運もあります。運はつねにその人に降ってくるわけではありません。運が近寄ってきたときに、その運を掴むことができる場所にいることも重要なのです。

今年はCOVID-19の影響でなかなか海外参戦が難しいとされていました。帰国後、2週間の隔離もあります。そんななかで、海外ラリーに参戦したい気持ちを最優先したことでこのように表彰台に立つことができました。本当にチャレンジしてよかったと心の底から感じています。

そしてこんなタイミングで海外挑戦する僕をサポートしてくださったスポンサー様や、家族、これを読んでくれているファンの皆さま、すべての方々に感謝いたします。

これで21年の海外参戦は終了になりますが、22年は表彰台の真ん中を目指し、最終目標であるWRC参戦に向けてコツコツと進んでいきたいと思います。

また読者の皆さんとは、いろいろな企画でお会いできることを楽しみにしています。




<文=川名 賢 Suguru Kawana>