テレワークの悲劇「嘘…そんな…悲しいこと…!?」同居人の涙を描いた漫画にSNS民も共感「涙が出た」「言われたい」
コロナ禍の影響で、“同居人との関係”が改めて注目されている。一緒にいる時間が増えたことによるメリットとデメリット、それぞれを痛切に感じている人は多いだろう。そこで今回、同居人の“おなかちゃん(男性)”との生活をSNSでユーモラスに描く漫画家・やまちさん(@o_na_ka_with)にインタビューを実施。自身の体験を赤裸々に描くことへの葛藤や、コミックエッセイを描き続けるモチベーションなどを聞いた。
■エッセイ漫画は、ささやかな気づきや、作者が見た当たり前の日常を描いている
――SNSで漫画を発表しはじめた経緯を教えてください。
【やまち】おなかちゃんと暮らし始めたタイミングとコロナ禍がちょうど被りまして、このまま家で過ごしていてももったいないので、「何か発信したいな」と思ったのがきっかけです。給付金でiPadを買ったのも、漫画を描き始めたことに大きく影響しています。
――SNSで漫画を発表するメリットとデメリットは?
【やまち】メリットは、知らない人から“手放しの評価”がいただけることです。最初はコロナで会えなくなった知人や友人に向けて「元気にやってるよ」という生存報告のような気持ちで投稿していたのですが、noteやTwitterなどいろんなSNSを通じてあたたかいコメントや共感の声が届くようになって、一層やりがいを感じるようになりました。デメリットは今のところ感じてないですね!まだまだ楽しくうれしいことばかりです。
――自身の体験を漫画化することへの葛藤はありますか?
【やまち】最初は「こんなしょーもないこと描いてもな…」と題材に迷うこともありました。でも自分が好んで読むエッセイ漫画は、いつだってささやかな気づきや、作者が見た当たり前の日常を描いていました。「自分もそれでいっか…」と思うようになってからは、肩の力を抜いてできるだけ「普通で当たり前のこと」を描くようにしています。
――同居人・おなかちゃんの理解、協力はどうですか?
【やまち】たまに読んでは「こんなにまるまるしてないよ!」と怒ります(笑)。基本的には面白いね〜と言ってくれます。
――ユーモラスでキュートなキャラが魅力です。表現方法で気を使っていることは?
【やまち】表現方法はいまも模索中です…。かわいく描こうとして、だんだん手足が短くフォルムがまるくなっている気がします(苦笑)。
――作品を描くペースも速いですが、ネタ出しで苦労することは?
【やまち】おなかちゃんが想定外な人間で面白いので、ネタ出しにはまったく苦労しないです!“歩くネタ帳”ですね。私にとってのドラえもんです。
■「ただ続ける」ということが目標
――この漫画をどんな方に読んでほしいですか?
【やまち】「なんか世の中が窮屈だな」とか「自分なんてだめな奴だ」と思っている人に届いてほしいです。おなかちゃんと私の日常を見て「なーんだこんなに普通でいいのか」と、心の緊張をほぐしてもらえたらと思っています。
――週一で漫画を描いていて、一番つらかった体験を教えてください。
【やまち】特にありません。2020年に始めた当初は毎日投稿していてかなり大変だったので、今は週一になって、むしろ楽してます!
――これまで発表した漫画でもっとも反響があった回は?
【やまち】「うれしいこと」という回です。おなかちゃんとの何気ないほっこり会話のつもりだったのですが、思った以上に反響があり、同じようなことを言いたい、言ってほしいと思っている人が世の中にいっぱいいるんだなと。DMで「愛を感じました、涙が出ました」と仰ってくれる方もいて、え〜そんなに!?と驚いたし、私も泣きました(笑)。本当にありがたいです。
noteにだけに公開している作品だと、おなかちゃんと関係ないのですが、自分の過去の体験を描いた漫画が一番反響ありました。「お酒とスシとごはんとわたし」と「サンタを疑っていた私がまた信じるようになった話」という回です。普段より話も長く、描くのに苦労したので、その分たくさん見てもらえて報われました。
――漫画を描いているモチベーションは?
【やまち】ただ続ける、ということを目標にしています。基本的に飽きっぽく三日坊主になりがちなので。商業作家ではないので、とりあえずひとつのルーティンというだけですが、十分モチベーションになっています。
――今後の夢や目標があれば教えてください。
【やまち】書籍化はしたいです!本屋さんに並んでるところをときどき妄想します。「おなかちゃん」がもっともっといろんな人に届くとうれしいなあと思います。
画像提供:やまち/おなかちゃん漫画@o_na_ka_with