【川名賢のフランスラリー参戦記 05】208ラリー4初テスト!公道封鎖の欧州流テストでわかった、ニューマシンの驚くべき点とは?

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■ドキドキの初テスト!
皆さんこんにちは。ラリードライバーの川名です。
本日もフランスでの活動の雰囲気をお伝えして参ります。

さて、そろそろ僕の気持ちも半分フランス人になってきましたが、いよいよ本日はニューマシンのチームテストの日がやってまいりました! もうね昨晩からワクワクと緊張で小学生の林間学校の気分を思い出しますね(笑)

ということでチームテストのベースに到着!
峠のなかに突如として現れるチームベース、マジカッコイイです!



あーもうね、テストをするために峠を封鎖する、このヨーロッパのスタイルが本当にかっこいいんですよ!

今回はフォルクスワーゲンポロR5(Rally2)が2台、プジョー208 Rally4が2台の計4台のテストです。



ほかにもスペアパーツを積んだトラック、バン、そして小さなホスピタリティが用意されています。



ホスピタリティの中にはパソコンが開かれており、エンジニアがドライバーの運転やマシンの状態を走るごとにパソコンに吸い出してドライバーとセットアップや走りについてコミュニケーションをとってくれます。



こうやってヨーロッパの若いドライバーは育っていくんですね。

さて僕もスーツに着替えていざテストへ。



せっかくなのでクルマを見てみましょう。



エンジンルームはとてもすっきりしていますね。1200ccの3気筒ターボで馬力が208馬力(車名の208にちなんでいますね!)、トルクが290Nm。



舗装路用のサスペンションはストロークがかなり確保されてバンピーな路面にも対応できるサスペンションです。

そして車内はこんな感じ。



もちろん左ハンドルで、オレンジのレバーが油圧制御のサイドブレーキ、その隣の黒いレバーがシフトレバーで、手前に引くとシフトアップ、奥に押すとシフトダウン。
クラッチ操作はスタートのみで、アクセル全開のままシフト操作が可能、ギヤはサデフの5速です。






■サスとブレーキには驚き!
ロールバーをまたいで乗り込むと、センターコンソールにはボタンが並んでいます。


写真を見てわかる通り、パワーウインドー付きです!リエゾン区間で窓を開けられるのはかなり快適です!勿論エアコンがないので(泣)。左側の赤い枠で囲われたスイッチがマスター、イグニッション、エンジンスタートスイッチ。黄色がステージモード。緑がアンチラグのセッティング、その隣にホーン、ハザード、フロントスクリーンのブロアスイッチです。

一番左の緑と赤のボタンはステアリングに表示される小さなメーターのページ切り替えスイッチですね。

ということで早速乗ってみました!!
雰囲気は下記リンクからオンボードでご覧ください!



どうでしょう!

まず音がカッコイイ(これ僕の中ではかなり重要なファクターです)。下の動画で是非音を楽しんでください!そして、1200㏄なのにめちゃくちゃ速いです!!

エンジンは6500rpmくらいしか回らないのですが、3000rpmあたりからトルクがモリモリなのとスーパークロスミッションで、一瞬で5速に入ってガンガン加速します。

何よりも素晴らしいのがサスペンションとブレーキで、ノーマルの車だと30㎞/hくらいまで落さないとがっつり跳ねてしまうような場所も、5速全開で通過しても何も起きないのです! ラリーカー恐るべし!

何年ラリーやってるんだよって感じですが、愛車自慢したいだけなのでお許しください(笑)

今日はテストだけでしたが、ギャラリーもコースのなかにいてびっくりしました。



テストの外撮り映像も是非ご覧ください。



この日が初めてのドライブとなりましたが、感触は好調で、エンジニアともセットアップを話してテストを繰り返しました。タイムは悪くなかったものの、ラリーとテストでは勝手が違うのは重々承知しているので、無理せずペースをうまくつかみながら走ろうと決めたテストとなりました。



チーム代表で、F1、WRC、WECを経験してきたステファン・サラザンと!

無事テストは終了、夕食は近くの和食レストランで中華を食べました(笑)



お米がおいしかったなぁ!!

それでは次号はコースのレッキの模様をお伝えして参ります!!
Ne le manquez pas!!(Don’t miss it!!)



【川名 賢(かわな・すぐる)】
2019年にFIA アジア・パシフィックラリー選手権(APRC)のAPRC3クラスでチャンピオンを獲得した、国際ラリー経験豊かな若手ラリースト。全日本ラリー選手権の王座や、優勝、チャイナ・ラリー選手権での優勝などタイトルは数知れず。ヨーロッパでのラリー参戦は2015年以来となる。プジョーの最新ラリーカーでどこまで欧州勢と戦えるのか、注目だ!