楽しいクルマをお得に維持したいというワガママを叶える1台は?

  今のクルマは安全装備が充実している。好ましいことだが、価格も高まった。横滑り防止装置やサイド&カーテンエアバッグがオプションだった時代に比べると、割安に装着されているが、それでも今のクルマの価格は15年前の1.2〜1.3倍だ。

  購入後に納める税額も相変わらず高い。小型/普通車の自動車税(軽自動車税を除く)は、2019年10月に値下げしたが、目立って安くなったのは小排気量車だ。排気量が1000cc以下は4500円、1001〜1500ccは4000円値下げしたが、2501cc以上は1000円下がっただけだ。

  このように、クルマは値上げされ税金も高いのに、日本の平均所得は1990年代の後半に比べて低下している。直近では持ち直したが、今でも25年前の水準には戻っていない。

  これらの切実な事情により、クルマの価格と税額を抑えるため、小さな車種に乗り替えるダウンサイジングが進んだ。それでもクルマ好きとしては、運転の楽しさを忘れたくない。

  そこで価格が200万円前後で、自動車税などの税金も安く、なおかつマニュアルトランスミッションを選べるスポーティな車種を取り上げたい。

1)スズキ・スイフトスポーツ(201万7400円/6速MT)

  筆頭はスイフトスポーツだ。エンジンは1.4リッター直4ガソリンターボだから、動力性能は2.3リッターの自然吸気に近い。実用回転域の駆動力を高め、運転のしやすい性格だ。しかも排気量は1.4リッターだから、自動車税は年額3万500円に収まる。

  足まわりはモンロー製のフロントストラットとリヤショックアブソーバーを装着する。カーブを曲がる時には4輪が適度に踏ん張り、しかもアクセル操作で車両の進行方向をコントロールする楽しさも味わえる。6速MTも魅力で、価格は200万円を少し超える程度だ。税金を含めて出費を抑えながら、運転の楽しさを満喫できる。

2)マツダ2 XDプロアクティブ(199万1000円/6速MT)

  スイフトスポーツと同様のコンパクトカーだが、マツダ2・XDプロアクティブは、1.5リッタークリーンディーゼルターボを搭載する。実用回転域の駆動力は、自然吸気のガソリンエンジンに当てはめると2.2〜2.5リッターに相当するから、発進加速も力強い。高回転域の吹き上がりも活発で、ディーゼルを意識させない。

  低回転域の駆動力が高いため、6速MTを駆使すると、1200〜1700回転付近を保ちながらシフトアップを繰り返して加速を続けられる。ディーゼル特有の粘り強い加速感には、ガソリンとは異質の楽しさがある。

  価格は売れ筋のXDプロアクティブが約200万円で、WLTCモード燃費は、ディーゼルとあって25.2km/Lと優秀だ。しかも軽油は価格(正確には価格に含まれる税金)が安いので、燃料代はハイブリッドに近い。1.5リッターだから自動車税も年額3万500円になり、維持費の節約も大きな魅力だ。

コスパを求めるなら軽自動車は最強!

3)ホンダN-ONE・RS(199万9800円/6速MT)

  価格は約200万円だから、スイフトスポーツやマツダ2・XDプロアクティブと同等だが、N-ONEは軽自動車だ。N-BOXのような広い室内や多彩なシートアレンジは用意されず、価格には割高感が伴う。

  しかし外観や内装は上質だ。6速MTの操作感も正確で、動力性能、走行安定性ともに満足できる。本物指向の軽自動車に仕上げた。軽自動車税は年額1万800円と安く、クルマの税金に不満を感じるユーザーにもピッタリだ。

4)スズキ・ジムニーXC(177万6500円/5速MT)

  軽自動車サイズのSUVで、人気は抜群に高い。直線基調のシンプルな外観は、悪路向けのSUVらしく飾り気がなく、しかも上質に感じさせる。ひたすら悪路の走破に打ち込むSUVの本質を突いたデザインだ。すがすがしさとか、潔さを感じさせ、ほかのクルマでは得られない魅力がある。

  しかも高い走破力を発揮するため、独自に設計されたラダーフレーム構造のボディ、サスペンション、駆動力を高める副変速機付きの4WDなどを搭載する。XCはLEDヘッドライトなどの装備も充実するから、180万円弱の価格は割安で、軽自動車だから税金も安い。5速MTの比率は約30%と高水準にあり、クルマ好きのユーザーから愛されていることが分かる。