新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は数カ月にわたって症状が続くケースがあると報告されています。なぜ症状が長期化するのかというメカニズムを解き明かすべく研究者が赤血球と白血球の観察を行ったところ、COVID-19の感染者は血球が大きなダメージを受けており、その後7カ月もダメージが回復しないことが判明しました。

How a COVID-19 infectxion changes blood cells in the long run

https://phys.org/news/2021-06-covid-infection-blood-cells.html

Physical phenotype of blood cells is altered in COVID-19

(PDFファイル)https://www.cell.com/biophysj/pdf/S0006-3495(21)00454-9.pdf

COVID-19は、ウイルスに感染後、呼吸困難・けん怠感・頭痛・関節痛・胸痛といった症状が長く続くケースがあることが確認されています。調査が行われた結果、発症後60日間が経過しても全体の87%が何らかの症状を経験し続けており、このようなケースは「Long covid」と呼ばれています。

COVID-19の症状が数週間以上も続く「Long covid」とは? - GIGAZINE

Long covidの原因やメカニズムはまだはっきりとわかっていませんが、COVID-19患者は血液循環とそれに伴う酸素輸送が阻害されることが判明しています。血液循環・酸素輸送には赤血球などが大きな役割を果たすことから、ドイツにあるマックスプランク光科学研究所の研究チームは、COVID-19患者の赤血球と白血球の状態を測定するという方法で調査を行いました。

今回の分析には、マックスプランク光科学研究所が2015年に開発した「リアルタイム変形能サイトメトリー(RT-DC)」が用いられました。RT-DCは赤血球と白血球を引き延ばした状態で電子顕微鏡越しに撮影し、ソフトウェアによって細胞型を判定するという手法で、1秒あたり1000個の血球を分析できるという速さと簡単さが評価されています。

研究チームは、COVID-19の急性患者17人と、COVID-19から回復した14人、および感染のない健康な24人から400万個もの血球を採取。分析を行った結果、COVID-19を患った人の血球のサイズが、健康な人とは大きく異なることが判明しました。これはCOVID-19患者の細胞がダメージを負ったことを意味しており、COVID-19患者に血管閉塞や肺の塞栓症が多いことを説明します。

またこれらのダメージにより、赤血球の酸素輸送というタスクも阻害されます。加えて、COVID-19患者は白血球の一種であるリンパ球が「著しく柔らかくなっていた」ことも判明。リンパ球は通常、強い免疫応答が行われた時に柔らかくなるとのこと。研究チームは、好中球など他の白血球においても同様の状態を確認しており、血球の変化は急性感染があった7カ月後まで続いたと述べています。

急性の感染があった場合には免疫細胞の「骨格」となる部分に大きな変化が生ずることから、Long covidと呼ばれる長期の症状がみられるのではないかと研究チームは示しています。