アルファード/ヴェルファイアのカタログがついに1冊に…ヴェルファイアの今後とは

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兄弟車が1冊のカタログに収まるのは史上初!?

2021年4月28日に一部改良を行ったアルファード/ヴェルファイア(以下アルヴェル)。改良の最大のニュースともいえるのが、ヴェルファイアのラインアップの整理である。従来型のカタログモデルがすべて廃止され、一番の人気モデルだった特別仕様車「ゴールデンアイズ」が「ゴールデンアイズ&#;8545」として継続設定グレードに昇格した。いずれにしても、アルファード9グレード(ハイブリッド、ガソリンFF/4WDの設定の違いで見れば福祉車両を除き22モデル)に対して、ヴェルファイアは1グレード(同3モデル)と圧倒的な“差”だ。

そんなヴェルファイアのカタログについて着目してみたい。従来はアルファードとヴェルファイアのカタログはそれぞれ別個のカタログだったが、今回の改良で、1冊にまとめられた。かつての主力モデルがグレード数を減らし、兄弟車と同一のカタログに収まるケースは、おそらく史上初ではないかと思われる。

【画像】アルヴェルのカタログ表紙はゴールド風に輝く

1982年に廃止された日産バイオレットリベルタ(兄弟車オースターJX、スタンザFX)や、86年になくなったホンダバラードセダン(兄弟車シビックセダン)など途中で消えていったモデルでも、生き残った兄弟車とは販売ディーラーが異なることからカタログは専用になっていた。トヨタ車の全車種併売化の動きが今回のアルヴェルのように、カタログにも合理化をもたらしたといえるだろう。


カタログを見ると、やはりアルファードが中心

さて、アルヴェルのカタログの表紙は高級車を象徴するかのように「ゴールド」のカラーを採用(ゴールド風に見える印刷)され、ALPHARDとVELLFIREの車名表記部分にゴールドの型押しが施されている。VELLFIREが上に来ないのは、メインモデルがあくまでもALPHARDだからだろう。

アルヴェルのカタログのページ数は表紙まわりを含めて全74ページ。トヨタ車のカタログは、プリウスやカローラ、ノアなど主要モデルでは60~70ページ構成が多いが、なかでもアルヴェルの74ページはもっとも多い。ちなみに、トヨタブランドで一番高級なセンチュリーは56ページである。

74ページのうち純粋にヴェルファイアだけを紹介しているのは7ページ。アルファードは23ページ。ほかに、メカニズム紹介などアルヴェルの両方を掲載しているのが44ページとなっている。なお、アルファードの特別仕様車「S タイプゴールド&#;8545」の専用カタログ(16ページ)のうち、裏表紙だけヴェルファイア「ゴールデンアイズ&#;8545」となっている。これはボディカラーと外観の一部を除いて装備内容が共通の“兄弟車”だからである。アルファードが特別仕様車なのに、ヴェルファイアでは継続設定グレードという扱いになっている点は興味深い。


2020年にはアルファードがヴェルファイアの5倍売れた

グレード数が1グレードのみになってしまったヴェルファイアは、もはや風前の灯の状態。2017年まではアルファードより売れていたヴェルファイアだったが、2017年12月のマイナーチェンジを機に形勢が逆転。2020年はじつに5倍もの差がついてしまった。その要因はヴェルファイアのやり過ぎたフロントマスクのデザインと、アルファードのエアロ系に、エグゼクティブラウンジSが追加された点にあるようだ。早ければ次の改良で、ヴェルファイアが廃止される可能性もあるが、少なくとも次のフルモデルチェンジの時点ではアルファードだけのラインアップになるはず。平家物語の冒頭では『盛者必衰の理をあらはす』とあるように、ヴェルファイアも滅びゆく運命なのだろうか。

〈文=ドライバーWeb編集部〉