ソニーのPlayStation 5(PS5)に搭載されているSoCは、CPUにAMDのZen2ベースのコア、GPUにRDNA2ベースのコアが搭載されています。「Oberon」あるいは「AMD Flute」というコードネームで呼ばれるPS5内蔵のSoCについて、有志によるダイ構成の詳細な写真と分析が報じられました。

Sony PlayStation 5 SoC die pictured up close - VideoCardz.com

https://videocardz.com/newz/sony-playstation-5-soc-die-pictured-up-close

The PS5’s actual silicon processor is revealed in these first gorgeous photos - The Verge

https://www.theverge.com/circuitbreaker/2021/2/16/22285947/sony-ps5-playstation-5-die-silicon-processor-photos

PS5では、熱伝導材に液体金属が採用されています。GIGAZINE編集部で実際にPS5を分解した際に、液体金属に覆われたSoCダイを確認しています。

「PlayStation 5(PS5)」の爆速動作の秘密を探るべく本体をバラバラに分解してみた - GIGAZINE



丁寧に液体金属とコーキングを除去してあらわになったPS5のカスタムSoC「Oberon」が以下の写真。



そして、このOberonを短波赤外光(SWIR)を使用する特殊な顕微鏡カメラで撮影した写真を、さまざまなチップダイを撮影する写真家のFritzchens Fritz氏が公開しました。



Oberonのダイを拡大した写真がこれ。向かって左側には、Zen2ベースの4コアと3次キャッシュをまとめたコアクラスタであるCore Complex(CCX)が2つ配置されています。また、中央にはコンピューティングユニット(CU)とキャッシュ、上下にGDDR6メモリとメモリコントローラーが配置されています。



さらにCCXを拡大するとこんな感じ。



Oberonのダイ構成を、さまざまなチップのダイ構成について解説するYouTuberのLocuza氏がTwitterで解説しています。画像上部にはCCXが2つ、そして中央にはCU2基ごとのワークグループプロセッサ(WGP)が、キャッシュ部部分とコマンドプロセッサを挟んで20基。そのため、物理的に搭載されているCUは全部で40基となります。



CCXの構成が以下。左右にZen2ベースのコアが2つずつ配置されており、その間に512KBのL2キャッシュ部が4つ、4MBのL3キャッシュ部が2つ配置されています。



Locuza氏はOberonのダイ構成を分析した結果、以下の5点を指摘しています。

1:Oberonでは、浮動小数点パイプラインが256bitから128bitに削減されている可能性がある。

2:Radeon RX 6000シリーズにも採用された128MBのL3キャッシュ「AMD Infinity Cache」は搭載されていない。

3:描画処理の最終段階を担うレンダーバックエンドは新しく設計されたものではない可能性がある。

4:GPUはRDNA1アーキテクチャと同じく、2つのCUを備えたWGPで構成されている。RDNA2アーキテクチャをベースにしたNavi 21やNavi 22、Navi 23ではWGP1つに対して1つのCUしかない。

5:Fritz氏の公開した写真では解像度が足りないため、より詳細な分析には浮動小数点演算ユニット(FPU)やGPU周り、さらにGPUベースの3D音響処理エンジンであるTempest 3D Audio Engineの詳細などが求められる。

なお、Xbox Series Xに搭載されているSoCのダイ構成ついては、半導体集積回路技術に関する国際会議「2021 International Solid-State Circuits Virtual Conference」でMicrosoftが行った講演内で明らかにされました。

Xbox Series X SoC: Power, Thermal, and Yield Tradeoffs

https://www.anandtech.com/show/16489/xbox-series-x-soc-power-thermal-and-yield-tradeoffs

以下がXbox Series Xに搭載されているSoCのダイ構成です。



CPUはPS5のOberonと同じくAMDのZen2ベースのもので、GPUについては、Xbox Series XもRDNA1アーキテクチャと同じ「1WGP=2CU」という構成になっており、この点もPS5と同じ。Xbox Series XではWGPが28基、つまりCUが56基搭載されていることになりますが、一般向けに販売されているXbox Series Xでは、チップの質と安定性を考慮し、WGP28基を1.825GHzで稼働するのではなくWGP26基を1.675GHzで稼働するようにしているとのことです。