「一定期間だけ断食して残りの期間は好きなものを食べる」というサイクルを繰り返す断続的な断食は近年注目されているダイエット法です。そんな断続的な断食に、「がんの進行を抑制してメタボリックシンドロームを改善させる」という効果があるという研究結果が発表されました。

Intermittent fasting from dawn to sunset for four consecutive weeks induces anticancer serum proteome response and improves metabolic syndrome | Scientific Reports

https://www.nature.com/articles/s41598-020-73767-w

メタボリックシンドロームは、内臓肥満に加えて、高血圧・高血糖・脂質代謝異常のうち2つ以上を合併症として併発している状態です。日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準については、以下でわかりやすく解説されています。

メタボリック シンドローム | 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

https://www.jamt.or.jp/information/metabo-200804/index.html



メタボリックシンドロームは、さまざまな病気と関連していると考えられており、特に肝臓がん・直腸がん・乳がん・脾臓がんなどのリスクを高めるとされています。そんなメタボリックシンドロームについて、アメリカのベイラー医科大学の研究チームは「断続的な断食」の効果を調査しました。

断続的な断食は、断食する期間と食事していい期間を一定間隔で繰り返すという近年注目を浴びているダイエット法。断続的に行うのがポイントとされており、1日のうち16時間断食をして、残りの8時間は好きなものを食べる「16:8ダイエット」や、1週間のうち2日だけ完全に断食を行い、残りの5日は好きな物を食べる「5:2ダイエット」などのさまざまなバリエーションが存在します。



ベイラー医科大学の研究チームが行ったのは、イスラム教のラマダンに基づいた「被験者に夜明けから日没までの毎日14時間は断食させる」という実験です。という実験です。この断続的な断食をメタボリックシンドロームと診断された被験者14人に4週間にわたって続けてもらい、実験前と実験後の血液をナノ超高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析法で血清のプロテオミクスを分析したところ、血中のがん抑制タンパク質とDNA修復タンパク質のレベルが倍増していたことが確認されました。

さらに、4週間断続的な断食を続けた被験者の体内では、糖尿病を抑制する働きを持つプロテオームや老化を抑制する働きを持つプロテオームが誘発されていたとのこと。これらの反応に加えて、実験終了後の被験者は、肥満度指数や腹囲、血液などに有意な改善傾向がみられました。

研究チームは今回の結果について、「断続的な断食がメタボリックシンドロームの補助治療になり得ると示唆している」と主張。今回の研究結果が、従来の研究結果と一致していると記しました。

「食事する時間帯を1日10時間以内に限定する」だけで肥満や糖尿病が改善したとの研究結果 - GIGAZINE