ブルボン公式サイトより

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プラスチックごみ削減のために菓子の過剰包装をなくしてほしいとのオンライン署名活動を受け、菓子大手「ブルボン」(新潟県柏崎市)は2020年7月29日、包装の意義などを説明するプレスリリースを出した。

環境問題に対する自社の明確な姿勢を示すとともに、具体的な取り組みを紹介しており、「模範回答すぎる」「ここまで考えられているお菓子をあの安さで販売できる企業努力はすごい」と共感や賛同の声が寄せられている。

菓子から「大量のゴミが出てしまいます」

署名活動は、東京都在住の女子高校生がウェブサイト「change.org」で立ち上げ、約3か月で1万8000筆集まった。

立ち上げのきっかけは、プラスチックごみが世界的な問題となっている中、多くの菓子が過剰包装されていると感じたためだ。「私の好きなブルボンさんのブランチュールは、お菓子自体への包装はもちろん、周りのパッケージ、そして下に引いてあるトレーにまでプラスチックが使われているため、たった10個食べただけでこんなにも大量のゴミが出てしまいます」(change.orgより)

そこで、「過剰なお菓子の包装やトレーなどのプラスチックゴミを減らす取り組みや、プラスチックにかわる材料・デザインを考えていただきたい」との要望とともに、集まった署名をブルボンと亀田製菓に提出した。

署名を受け取ったブルボンは7月29日、公式サイトで見解を発表した。

署名の趣旨は「全くその通り」

リリースではまず、「当社でも、かねてより環境保全に関する活動を種々継続して進めてきており、この度のプラスチックごみの削減の趣旨につきましては、全くその通りであり当社と方向性が一致するものと考えています」と、署名活動に同調した。

マイクロプラスチックによる海洋汚染は同社でも問題視しており、これまで以上にスピード感を持った対応が必要だと考えているという。今後も包装については日々見直しを進めていくとし、「この度いただきました貴重なご意見は、当社が継続して取り組んできた活動の意味がさらに大きく、深くなったものと捉えています」と署名の発起人や賛同者に感謝した。

その上で、

「包装につきましては食品の保護や安全性の確保、トレーにつきましてはお菓子の特性に応じて商品の状態を保持するため、個包装につきましては少子高齢化社会や個食の時代的ニーズに合わせて外装を開封後の商品保存を可能とするためや、楽しくシェアしてご利用いただくときにも安心なアレルギー表示をお伝えするなどの目的で使用しています」

と包装の必要性を説明。あわせて、

「包装の最小化として、使用するフィルムやトレーの厚みを薄くしプラスチック使用量を削減する取り組みでは、2019年11月にファミリーサイズ商品群の外装フィルムを約8%薄くし年間で約27トンのプラスチック削減」
「植物由来のプラスチックであるバイオマスプラスチックの活用や紙などへの代替素材に変更する取り組みも積極的に進めています」
「長年培ってきた菓子製造技術の応用や発展により、ストローとしても使用できるトッピングクッキー『コロネクッキー』を開発し、2020年1月より販売を開始しました。この商品を通じてプラスチック削減への新たな提案を行っています」

など、これまでの環境問題への取り組みを6点紹介した。

ブルボンの発表はSNS上で広く拡散し、同社の企業姿勢を評価する声が寄せられている。

「高校生の提言はきちんと受け入れ、その上で会社として・大人として、きちんと回答されている」
「既にどんな思想や技術で包装を改善してきたか具体的に説明されていて素晴らしい。そしてここまで考えられているお菓子をあの安さで販売できる企業努力はすごいな」
ブルボンのプレスリリースが模範回答すぎる。優しい大人が丁寧に語りかけるような姿勢に感銘すらおぼえる」
「柔らかい物言いだが、要約すると『大昔にそこは通過してますよ』って話なので、企業としての矜持を感じる」

ブルボンの取り組み

以下、ブルボンの取り組み一覧。

1. 包装につきましては食品の保護や安全性の確保、トレーにつきましてはお菓子の特性に応じて商品の状態を保持するため、個包装につきましては少子高齢化社会や個食の時代的ニーズに合わせて外装を開封後の商品保存を可能とするためや、楽しくシェアしてご利用いただくときにも安心なアレルギー表示をお伝えするなどの目的で使用しています。
2. 当社での包装資材の調達におきましては、SDGs(持続可能な開発目標)との関連を意識して、よりサスティナブルな調達活動となるよう、種々の評価項目のもと活動を展開しています。特にプラスチック包装に関しては、商品の流通に必要な品質を確保しながらもコンパクトな包装となるようにサイズや材質を随時見直し、過剰包装とならないようできるだけ工夫をしています。加えて、植物由来のプラスチックであるバイオマスプラスチックの活用や紙などへの代替素材に変更する取り組みも積極的に進めています。
3. バイオマスプラスチックの採用は、2009年(平成21年)に開始し、以降も継続して採用商品を増やしています。すでに、「アルフォート」「レザンヌ」のトレーなどでバイオマスプラスチックの採用を行っています。また、「ブランチュール」のプラスチックトレーでは、かねてよりバイオマスプラスチック10%使用のものを、25%使用したバイオマスマーク25 を刻印したものに変更する計画をすでに進めており、「プチポテト」シリーズの外包装とともに2020年(令和2年)夏の生産より実施していきます。
4. プラスチック製のものを紙などに代替する活動につきましては、「アルフォートミニチョコレート」や「ブランチュールミニチョコレート」での紙トレー化をすでに行っているほか、 「もちもちショコラ」シリーズに梱包していたプラスチック製のフォークを、紙製のピックへ 2019年(平成31年)2月より変更しています。
5. 包装の最小化として、使用するフィルムやトレーの厚みを薄くしプラスチック使用量を削減する取り組みでは、2019年(令和元年)11月にファミリーサイズ商品群の外装フィルムを約 8%薄くし年間で約27トンのプラスチック削減を行ったほか、「ブランチュール」のプラスチックトレーにおきましても、何回もの薄肉化活動を行い現在では発売当初の厚みから35%以上の厚みを削減するとともに、上述の植物由来プラスチック25%配合を使用した改善を図っています。
6. 関連して、長年培ってきた菓子製造技術の応用や発展により、ストローとしても使用できるトッピングクッキー「コロネクッキー」を開発し、2020年(令和2年)1月より販売を開始しました。この商品を通じてプラスチック削減への新たな提案を行っています。
7. 加えて、包装材料の印刷時の作業環境改善や大気中への揮発性有機化合物の排出削減など複合的な環境保全を目指して、水性インキによる印刷を1999年(平成11年)より採用し、2015年(平成27年)には一般社団法人健康ビジネス協議会の「水性印刷商品認証制度」による認証マークを商品パッケージに印刷しています。現在では、水性インキ使用商品の比率は商品全体の約45%に拡大しています。