サッカーIQラボ
〜勝負を決めるワンプレー〜

Question
ルカクはこのあとどうやってシュートに持ち込んだか?

 2005年から10年にかけセリエA5連覇を達成して以来、インテルはその栄光から遠のき、現在8連覇中のユベントスに長きに渡って覇権を奪われつづけた。

 しかし今季からアントニオ・コンテを新監督に迎えると、現在3位につけ、あの栄光以来のスクデッド争いに名を連ねている。

 今季のインテルはコンテサッカーを見事に体現し、開幕6連勝で序盤の主役となった。ウイングバックを含め、前線に4人を並べる攻撃は強力で、総得点の約8割を創出するロメル・ルカクとラウタロ・マルティネスの2トップは、スピードとパワー、得点力を備えた、今季を象徴するユニットの一つだ。

 第25節のサンプドリア戦の先制点は、その2トップが起点となった。前半10分、後方からのロングフィードで抜け出したマルティネスが、右サイドでボールを収めると、バイタルエリアに走り込んだルカクにヒールパス。


右のマルティネスからボールを受けたルカク。正面に相手がいるなか、どのようにしてシュートに持ち込んだだろうか

 正面には2人の相手がいるなか、左側からはクリスティアン・エリクセンが走り込んできた。さて、このあとルカクはどのようにしてシュートに持ち込んだだろうか?

Answer
エリクセンとのワンツーで正面から抜け出す

 このシーンで注目するのは、左利きのルカクにとって、この角度からの進入は得意なシュートパターンの一つであるということだ。守備側としてまず阻止しなければいけないのは、当然ここから直接打たれるシュートである。


ルカクは左のエリクセンとワンツー。相手2人の間をうまく突いて、ゴール正面からシュートを決めた

 そのシュートブロックに向かったのは、マルティネスのマークから急行したことで、やや遅れ気味だったバルトシュ・ベレシンスキ。タイミングとして、今にもブロックに飛び込まないと間に合わない状況だったが、それはベレシンスキだけでなく、ルカクもわかっていただろう。

 その心理をうまく利用したのがこのシーンでの駆け引きだ。マルティネスのパスをワンタッチでコントロールしたルカクは、次の瞬間に軽くシュートフェイント。これに反応したベレシンスキは、シュートブロックのために滑らされてしまった。

 そのフェイントからルカクが選択したのは、左のエリクセンへのパスである。そのエリクセンへの対応にモアテン・トルスビーが動いたことで、ベレシンスキとの間にギャップが生まれた。

 ルカクはすかさずスペースに走り込むと、エリクセンからリターンを受けてゴール正面からフリーでフィニッシュ。駆け引きで一枚上手だったルカクの、見事なワンツーでの中央突破によるゴールだった。