リコール成立を受けコメントを発表する韓高雄市長

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(台北中央社)韓国瑜高雄市長は6日午後、自身に対するリコール(解職請求)が成立したのを受けてコメントを発表した。支持者に感謝の言葉を述べるとともに、「国民の福祉増進ではなく、自身や市政府への中傷に全力を注いだ」として与党・民進党への不満を吐露した。

開票結果は賛成93万9090票、反対2万5051票、無効5118票。賛成票は、韓氏が2018年の高雄市長選で獲得した89万2545票を上回った。投票率は42.14%だった。

同市の有権者は約230万人おり、リコールに反対する人たちは投票しなかったと強調した韓氏。心血を注いだ多くの政策が正しく評価されず、途中で頓挫することは大変遺憾だと述べた。

公職人員選挙罷免法に基づき、正式な結果は投票終了後7日以内に選挙委員会(選管)によって公表される。このため、韓氏は遅くとも12日までには市長職を解かれる見通し。韓氏の欠員を補う選挙は9月12日までに実施され、市長が決まるまでは行政院(内閣)から派遣される人が市長代理を務める。

韓国瑜氏略歴

野党・国民党所属。1957年生まれ。出身は台北県(現新北市)。東呉大学英語学科卒業、政治大学東アジア研究所(大学院)法学修士。台北農産運銷公司総経理(台北市青果市場社長)、台北県議員、立法委員(国会議員)などを歴任した。2018年11月、民進党の牙城と目されていた南部・高雄市の市長選に出馬。庶民的スタイルで爆発的な人気を博し、同市市長に初当選した。

「(今年1月の)総統選には出ない」と市民に約束していたが、周囲の要望に応えて総統選に臨んだ。結果、現職の蔡英文総統に大敗を喫する。その後、市長職に戻ったが、約束を守らなかったことで信頼を失った。市政運営に対する市民の満足度は低く、国籍や性別をめぐる差別的な発言などでも市民の反感を買った。このため市民団体などから罷免を求める声が上がっていた。台湾で直轄市レベルの市長罷免投票が行われたのは今回が初めて。

(王淑芬、陳怡セン、王承中/編集:塚越西穂)